鉄人 須藤 將のホームページ

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「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その26

2009-08-15 06:31:30 | 車・バイク
丁度そのころ、国連で地球温暖化防止緊急会議が招集され、温室効果ガスの排出規制を各国に要請することになった。それを受けてル・マンのオーガナイザーであるAutomobile Club de l'Ouest (ACO)が、温室効果ガスを出さない車両の参加を促す2009年レギュレーション案を2007年に発表した。その中で、
●LMP-1
最低製造台数規定(最低生産義務付け台数) : 規定無し
ボディ全長(最長寸法規定:mm) : 4,650 (リアウイングを含む)
最低重量 (kg) : 925
エンジン最大排気量(cc) : NA6,000など一連の中に
           ターボ/スーパーチャージドエンジン(水素) 6,000
禁止事項:可変長吸気管 (ロータリーエンジンを除く)
が加えられた。
さらに、最低重量のインセンティブとして、水素ロータリーエンジン車には50kgマイスと燃料無制限(ただし、燃料補給回数25回まで)が与えられた。

井巻会長をヘッドとする新中期計画検討委員会に、次世代水素ロータリーエンジン車の市場導入と同時に水素ロータリーエンジンでル・マン参戦プランが上程された。
北米マツダからも、アメリカン ルマン シリーズ(ALMS)に、次期主力商品のアメリカ市場導入キャンペーンのために水素ロータリーエンジンで参戦してほしいという強い要望が出されていた。
「ル・マンのレギュレーションを勘案すると、参戦して優勝の可能性はどうか」の井巻会長の質問に、今では社内で一番のル・マン通である伊藤由香里(結婚しても別姓を通している)が委員会に特別参加しており、リーダーの赤城の指示で、
「今回のル・マンのレギュレーションは、水素ロータリーエンジンにとってかなり有利な内容です。優勝するかどうかは、エンジンだけでなく車両や運営組織・チームの技量が問われます。それらが整うならば、優勝の可能性があります」と回答した。
国内営業、海外営業部門の強い要望もあり、フォードからきた役員も賛成の意を表明。余談だが、その役員のお祖父さんがル・マンを制覇したフォード40の開発責任者であった。全員一致で、水素ロータリーエンジンでル・マン及びALMS参戦が決定された。
2007年3月新中期計画が発表され、その中に水素ロータリーエンジンでル・マン及びALMS参戦が盛り込まれていた。

2007年4月、杉浦はレーシング水素ロータリーエンジン開発グループのリーダーに任命された。
由香里はマツダスピードにテクニカルディレクターとして出向の辞令が出た。

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