前編の冒頭で述べたように、21世紀後半には、電気エネルギーを主体とした社会に行き着かざるを得ない。だが、現在の自動車社会そのままの形で、電気自動車に置き換わるのではないと筆者は考える。それには、電気エネルギーを主体とした最適社会を実現させなければならない。
では、電気エネルギーを主体とした最適社会とはどんなものだろうか。それは、電気自動車の弱点である走行距離やコスト、重量などを社会システムトータルでカバーするものになるはずだ。筆者がイメージするその具体像は、以下のようなものだ。
今後、都市はますます重要になってくる。高齢化社会になるにしたがって、郊外に住んでいた人たちが都市内に居住を移すようになってきた。医療や介護の関係、日常の生活に必要な買い物も、住居の近くで間に合う利便性がその理由だ。また、働く人たちにとっても、通勤時間や混雑を避けるために都市内に居住する例が増えている。
実際に、東京都が2007年10月に発表した報道発表資料「東京都の人口（推計）」によると、人口増加の多い区市町村（対前年同月比）の1位が港区、2位が江東区となっている。これらのことを勘案すると、将来の都市は、ビジネスと老齢者のための都市内に居住する仕組みを提供するものになるのではないか。
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