鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジン開発物語 その12

2010-01-12 02:00:17 | 車・バイク
松田恒次社長がいかにロータリーエンジンに熱を入れているかは、月に一回は報告会を設けさせたことで明白であった。

山本健一は、「途中でイヤになって、もううまくいかないので換えてほしかったわけで、どっか左遷でもいいから。だけどボクも意地っ張りだから、社長、どうもうまくいきませんから、職を変えてくださいなんて、言いたくない。社長が怒鳴って、なにやっとるんだオイだったら、そうですか、じゃあって相手の責任にして言えるのだけど。毎月一回の報告会の時に、トラブルがいろいろ出てくる。うまくいかない。そういう部品を並べて前向きに説明していた。ここはこう問題が出ているけれども、原因はここにあると思います。それにこういう手を打っている、という説明をしていた。ところが、いいかげんもうイヤになったときがあったので、“社長、これどうも見込みがないんじゃないかと思う、これほどやってもうまくいかない、手がなさそうです”と言ったら怒鳴られそうと思っているから、作為的に、“社長、もう見込みないですわー”とやったら、声がない。アレッと思って見たら、じーっと悲しそうな顔をしてボクを見ている。じーっと黙ってね、何を言い出すかと思ったら、山本君そうか、こういう手は考えられんだろうかと提案を始めた。こういうやり方をやってみたらどうか、こういうことは考えられんだろうかと。でボクはもう文句を言うのはは止めた。この年寄りに提案をさせたら、エンジニアとしてクズだと思ったから。分かりました、もう一回攻めなおします」と引き下がった。

山本健一は、革新技術、新しいエンジンを研究開発するときの攻め方として、基礎テストの方法を重要視していた。

思いつきみたいに、いろんなものを組み合わせてやったり、カタチを変えたりしてテストしていたが、こんなことをいくらやっていてもダメだ。なぜ起きるのかという基礎テストをやらなければダメだと考えた。

山本健一は、まるい円形ドラムにアペックスシールを押し付けて、いろんな計測をする指示を出した。

その装置を作って、振動からストレス、何から何を含めて計測をしたら、チャターマークのピッチがアペックスシールの固有振動数と一致していることが判明した。

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