1987年ル・マン観戦から帰国した開発本部長の黒田専務は、4ローターレーシングエンジンの開発を指示した。
FISAが新レギュレーションとして、世界チャンピオンシップのかかった耐久レースは、1989年シーズンから自然吸気純レーシングエンジンが3.5リットル、量産ブロックをベースとしたものはスペックにより5から6リットルとなった。ロータリーエンジンは、1990年までの2シーズンに限り現在のままでよいということになった。4ローターロータリーエンジンは、レシプロ換算で、4.7リットルであり、新レギュレーションに合致する。1991年からは、ターボ、メカニカルスーパーチャージャーなどのすべての過給エンジンが禁止され、レシプロエンジンでないロータリーエンジンも禁止される。
3ローターのターボ化も検討していたが、FISAの新レギュレーション決定を受けて、4ローターに決定。レシプロエンジン勢もこれから開発だ。短期間の開発は長年修羅場を潜り抜けてきたマツダのロータリーエンジン開発チームは得意とするところで、勝算はある。そして、新レギュレーションになる1年前の来年こそ勝負のヘッドスタートであるとして開発を推進することとなった。
開発に当たり、松浦たちは車体を担当するマツダ・スピードと4ローターレーシングエンジンについて意見交換した。その結果、4ローターレーシングエンジンのショート化と車体の構成部品としての高剛性化が重要な開発テーマとなった。3ヶ月しかないが、とにかくチャレンジすることとなった。もっともロータリーエンジン開発チームにとってチャレンジは、日常のことであるのだが。検討を開始すると、とんでもないことが判明。24時間どころか10時間しかもたない。栗尾チーフの下でレーシングエンジン開発エンジニアが何十項目の問題点を検討。緊急動員された若い量産設計エンジニア、技術研究所、エレクトロニクス研究部、社外サプライヤーのエンジニアの力を借り、マツダ総力を上げてそれらの課題を解決していった。
開発された13Jロータリーエンジンは、3ローターから変わっていないのは、ローターとトロコイドハウジングだけで、冷却水やオイルの流れなどその他はすべて新しく設計された。エンジン剛性を上げるために、エンジン上部をアルミハニカムで複合したカーボンファイバー、下部をアルミハニカム板で挟み込んだ。ショート化のためにエンジン補機類をエンジンの上もしくは横に配置した。
600psの13J改ロータリーエンジンが開発された。
757をベースに767が開発された。初期のデザインにはナイジェルが参加したが、設計はマツダスピードが行なった。ボディサイズを極力コンパクトにするため、全長を4550mmから4625 mmに75 mm増大しているものの、全幅は10 mm、全高で15 mm、トレッドは前後共14 mm減に抑えられた。特に13J改となってエンジン長が70 mm増加したが、エンジンをリア・バルクヘッドに食い込ませるレイアウトでホイールベースを20 mmの増加に抑えた。ボディデザインは、13J改となって得られたパワーを余すことなく路面に伝えるために、強力なダウンフォースを得る必要からロングノーズ、ショートテイルとなった。ノーズは757比で100mm長くなっている。リアセクションはフロント・ダウンフォースのセッティングに自由度を持たせるために、独立型のリアウィングを採用したためにショートテイルとなった。
マツダ本社実験研究部や設計の全面協力のもとにこれらの開発が行なわれた。ボディ剛性の測定、風洞実験、サスペンションセッティングの走行状態でのシミュレーションや測定などが行なわれ、その結果が767に反映された。
FISAが新レギュレーションとして、世界チャンピオンシップのかかった耐久レースは、1989年シーズンから自然吸気純レーシングエンジンが3.5リットル、量産ブロックをベースとしたものはスペックにより5から6リットルとなった。ロータリーエンジンは、1990年までの2シーズンに限り現在のままでよいということになった。4ローターロータリーエンジンは、レシプロ換算で、4.7リットルであり、新レギュレーションに合致する。1991年からは、ターボ、メカニカルスーパーチャージャーなどのすべての過給エンジンが禁止され、レシプロエンジンでないロータリーエンジンも禁止される。
3ローターのターボ化も検討していたが、FISAの新レギュレーション決定を受けて、4ローターに決定。レシプロエンジン勢もこれから開発だ。短期間の開発は長年修羅場を潜り抜けてきたマツダのロータリーエンジン開発チームは得意とするところで、勝算はある。そして、新レギュレーションになる1年前の来年こそ勝負のヘッドスタートであるとして開発を推進することとなった。
開発に当たり、松浦たちは車体を担当するマツダ・スピードと4ローターレーシングエンジンについて意見交換した。その結果、4ローターレーシングエンジンのショート化と車体の構成部品としての高剛性化が重要な開発テーマとなった。3ヶ月しかないが、とにかくチャレンジすることとなった。もっともロータリーエンジン開発チームにとってチャレンジは、日常のことであるのだが。検討を開始すると、とんでもないことが判明。24時間どころか10時間しかもたない。栗尾チーフの下でレーシングエンジン開発エンジニアが何十項目の問題点を検討。緊急動員された若い量産設計エンジニア、技術研究所、エレクトロニクス研究部、社外サプライヤーのエンジニアの力を借り、マツダ総力を上げてそれらの課題を解決していった。
開発された13Jロータリーエンジンは、3ローターから変わっていないのは、ローターとトロコイドハウジングだけで、冷却水やオイルの流れなどその他はすべて新しく設計された。エンジン剛性を上げるために、エンジン上部をアルミハニカムで複合したカーボンファイバー、下部をアルミハニカム板で挟み込んだ。ショート化のためにエンジン補機類をエンジンの上もしくは横に配置した。
600psの13J改ロータリーエンジンが開発された。
757をベースに767が開発された。初期のデザインにはナイジェルが参加したが、設計はマツダスピードが行なった。ボディサイズを極力コンパクトにするため、全長を4550mmから4625 mmに75 mm増大しているものの、全幅は10 mm、全高で15 mm、トレッドは前後共14 mm減に抑えられた。特に13J改となってエンジン長が70 mm増加したが、エンジンをリア・バルクヘッドに食い込ませるレイアウトでホイールベースを20 mmの増加に抑えた。ボディデザインは、13J改となって得られたパワーを余すことなく路面に伝えるために、強力なダウンフォースを得る必要からロングノーズ、ショートテイルとなった。ノーズは757比で100mm長くなっている。リアセクションはフロント・ダウンフォースのセッティングに自由度を持たせるために、独立型のリアウィングを採用したためにショートテイルとなった。
マツダ本社実験研究部や設計の全面協力のもとにこれらの開発が行なわれた。ボディ剛性の測定、風洞実験、サスペンションセッティングの走行状態でのシミュレーションや測定などが行なわれ、その結果が767に反映された。