鉄人 須藤 將のホームページ

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「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その91

2009-10-23 06:45:37 | 車・バイク
土曜日の朝、由香里が目を覚ますと、杉浦は起きだしていた。
シャワーを浴び、身だしなみを整えてから、二人でコンチネンタル風の朝食をとってパドックに向った。
パドックは昼のウォーミングアップ走行の準備で活気があった。
順調にウォーミングアップ走行も終了し、決勝スタートの3時を待つのみである。
スタート前のミーティングで、由香里は昨夜の作戦会議の結論を全員に話した。
各人の役割、分担を確実に実行し、チーム全員の力を優勝に向けて結集しようと結んだ。
クルーからウォーと力強い声が起こった。
スターティング・ドライバーの片山とマンデビルJrがマツダ797に乗り込んだ。
ピットロード出て1周してスターティンググリッドに着いた。
片山のマツダ7号車がセカンドロー、マンデビルJrのマツダ8号車が3列後ろである。
15日午後2時55分、ル・マンのフォーメーションラップがスタートした。
午後3時、先導車がピットロードに入るや、24時間の耐久レースの幕が切って落とされた。
予想通り、プジョー4号車とアウディ2号車は並んでダンロップブリッジ手前の第1シケインに殺到した。両者譲らず、車体を接しての手に汗握る接戦を繰り広げつつあった。
マツダ7号車は、プジョー、アウディを先行させその後ろにぴったりついた。
マツダ7号車の後ろにBMW9号車、その後ろにマツダ8号車がついていた。
フォードシケインで、アウディ2号車がプジョー4号車を抑えてトップに立った。
1周目のグランドスタンド前通過の順番は、アウディ2号車、プジョー4号車、アウディ1号車、プジョー6号車、5号車、アウディ3号車、マツダ7号車、BMW9号車、マツダ8号車、BMW 10号車、トヨタ12号車、トヨタ11号車であった。
2周目は、テルトルルージュでプジョー4号車がアウディ2号車を抜き返した。
こうしたアウディとプジョーのシーソーゲームはしばらく続いた。
BMW9号車がマツダ7号車をパスして、第1集団の中に割って入っていった。アウディ3号車と競り合いを演じ、ミュルサンヌに続くアルナージュで接触、その2台がピットインした。
2台のダメージは大きかった。とりわけBMW9号車は、接触のショックで片側の水素タンクのセキュリティ装置が作動して、タンクをロックしてしまった。このままでは。液体水素がボイルオフして破裂の危険があり、リタイアさせてタンクに穴を開け水素を放出することにした。オフィシャルに届け、安全な場所で、消防車が付いて行なうことになった。
アウディ3号車は、フロントカウルとフロントサスペンションに大きなダメージを受けていた。フロントカウルを外し、左フロントサスペンション・アッセンブリー交換に取り掛かった。
1時間16分でピットアウトした。最後尾である。たちまち、LMGT-2、LMGT-1の車をゴボウ抜きし始めた。
マツダ7号車、8号車は、第1スティントを終了、ドライバーを従野とダウニングJrに交代した。

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