鉄人 須藤 將のホームページ

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「水素ロータリーがル・マンを制覇する日」その52

2009-09-13 06:34:49 | 車・バイク
2008年2月に東富士テストコースでシェイクダウンされ、各種のテストを経て、富士スピードウェイで完熟走行テストに入った。

テストドライバーは、関谷正忠が勤めた。物凄い加速力である。基本的に立ち上がりは電気自動車であるので、強烈な加速である。

最高速は文句無かった。しかし、ハンドリング性能や、コーナリングでブレーキを多用しなければならないことで、ラップタイムはTS020を超えることが出来なかった。
ハンドリング性能改善、コーナリングスピードのアップ、車両の軽量化が課題であると関谷は報告した。

走り込んむと、モーター出力が低下傾向になった。モーター自体は水冷であるので、他に原因があると追求していくと、リチウムイオン電池、インバーター、コンバーターが発熱して電圧が低下することが判明した。これらの熱対策も必要となった。

チーフエンジニアの冨田は、回生制動に目を付けた。
リチウムイオン電池は、回生制動で回生した電力を貯めるには向いていないことに気が付いた。狭いビンの口に大量の水を流し込むのと同じことであった。最高速からの回生制動で生じるエネルギーは膨大なものである。これをキャパシタに変えれば、タライに水を入れるようなもので、比較にならないエネルギー量を短時間に蓄えることができる。
キャパシタの採用で、リチウムイオン電池を2kWhにすることができ、約10kgの軽減となった。このキャパシタの採用は思わぬ効果を生んだ。キャパシタが短時間に大量の回生した電力を大量に蓄えることができることで、その蓄えた大量の電力を加速に使える。
キャパシタ採用で増加した重量を入れて、各部品をグラム単位で見直しを図り、合計で15kgの軽量化を実現、レギュレーションで定める最低車両重量の940kgを達成した。

熱対策は、フレッシュエアを導入することで、雰囲気温度を下げた。
サスペション・ジオメトリーの見直しとサスペンション・パーツの改善を行った。
こうした活動と、動力・制動制御装置のプログラムの見直しを反映した2号車が3月末に完成した。

基本的なチェックを東富士テストコースで行なった後に、富士スピードウェイで関谷がハンドルを握った。
軽量化とキャパシタの採用の効果は歴然としていた。直線から第1コーナーに入るときの強烈な回生制動の利きは違和感の無いものになっていた。油圧ブレーキを利かすための踏み増しはわずかで良くなった。S字カーブも軽量化でやりやすくなったのと駆動・制動制御装置のプログラムの見直しでほとんど違和感のないものになっていた。
発熱によるダレ感も無くなった。

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