鉄人 須藤 將のホームページ

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ロータリーエンジンとモータースポーツ その53

2009-09-14 05:30:50 | 車・バイク
前年のル・マンの後、国内レースに参戦したときに、サスペンション・アームの破損が起こったことから、さらにサスペンションの解析がなされた。
どこにウィークポイントがあるのか、入力荷重の測定が行われ、どこを改善すれば良いかを提案した。その結果を反映し、応力を分散した新サスペンション構造ができあがった。

また、カーボンブレーキの採用にあたり、ブレーキ温度をいかに管理すればブレーキ力を最大限確保でき(温度が高くても、低くてもブレーキ力を最大限確保でききない)、磨耗を含めた耐久力を確保できるかシミュレーション行なった。このシミュレーション結果は、ル・マンのレース運営に大いに役立った。

さらに、本社の技術研究所は、‘90年のテレメーターデーターを活用して、ル・マンサーキットの周回シミュレーションが行われた。路面の摩擦係数、タイヤの温度とグリップ力、各ポイントのエンジン回転数、コーナーのRと横G、ブレーキポイントと減速Gなどのパラメータから、ラップタイムと燃費の関係が明らかになった。そして、ミュルサンヌのストレートにシケインが設けられる情報から、シケインが設置された状態でのラップタイムと燃費の関係をつかむことができた。これは、事前情報として大変貴重なものであった。

こうしたマツダ本社のバックアップのもとに、ナイジェルのデザインによるレーシングカーが月島にあるマツダスピードで製作されていた。ナイジェルは、ロータリーエンジンの特徴や欠点を熟知しており、マツダ本社のテクニカル・アドバイスも設計の中に十分に織り込んでいた。昨年のように徹夜、徹夜の連続(4、5日連続徹夜が常識であった)ではなく、余裕のある計画的なスケジュールでレーシングカー製作が進行していた。

こうして、燃費を除き、「レースに勝つための4つの品質」である第2の製造品質が確保された。

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