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07年2月3日上級のレイアウト

2007年02月05日 | 上級レイアウト
 素晴らしいお天気に恵まれたスクールになりました。上級はK島さんとY下さんが担当しました。もちろん雨を予想したわけではなかったのでしょうが、先週と同じく、K島さんが細かいコースを作ってくれました。
 分類上はE:技巧派スキル総動員型になります。
 このコースを何と午前中から昼休みを挟んで午後3時まで走り続けたのです。(これは桶川上級にまつわる都市伝説ですが、イントラさんが早朝に名簿を見て常連さんばかりだと遠慮なく細かいコースを作る、というまことしやかな説を聞いたことがあります。いや、あくまで伝説ですよ‥‥‥‥)
 このコースは一見して細かいUターンやZターンが並んでいるのでそこが難しそうに思えます。しかし本当の難しさの原因は、むしろ、いくつかの、より半径の大きなコーナーにあります。



 具体的に言うと6番、12番、14番、19番、24番が、パイロンの規制によって180度を越え、複合コーナーも含めて概ね270度の旋回になります。そしてそれぞれの旋回半径が微妙に異なっているわけです。これらは、17番が小さく、6番、14番が大きめな回転半径を持っていて、それぞれに異なるスピードでパーシャルスロットルを作らなければなりません。

 そして、それらのカウンターパートとして、スピードを落として小さく回るUターンならびにUターンの組合せのZターンが、1番、4番、5番、7番、8番、9番、15番、17番、21番、22番、27番になります。

 何故難しいのかというと、こういうことになります。
 前者のパーシャルのコーナーは、「いかに失速させないで回るか」ということがテーマになり、コーナーへの進入速度を高めてコーナリングスピードを維持することと、さらに旋回の後半で早め早めにアクセルを開けることが要求されます。
 これに対して後者のUターンは、「しっかりとスピードを落として小さく回る」ことが要求されます。この違いがリズムを崩すのです。

 典型的に12番を上手く回れないと14番で失速しやすくなり、開けようという気持ちを残したまま17番に向かってスピードを残して大きめに回ろうとするのですが、スピードが高すぎるので17番と18番の間の2本目のパイロンを倒してしまうのです。ちなみにこの17番から19番の5本の直線パイロンは4メートル間隔です。

 また4番5番、21番22番のZターンはそれらを抜けた後に例のパーシャルのコーナーにつながるのでスピードを高めていきたくなり、2本目のパイロンをアクセルを開けながら抜けたいのですが、そうするとその後の規制のパイロンに引っかかってしまいます。2本目を完全に回り切るまで我慢しなければなりません。

 8番9番も9番をしっかり回り切らないと10-11番が甘くなります。10-11番で膨らむと12番が膨らみます。上に書いたように、12番が悪いと17まで影響を引き摺ります。9番は回り終えたところに制約パイロンがないのでスピードを落とし過ぎず、しかし旋回はきちんと最後まで我慢するという5番や22番とは異なる回り方になります。このコースは本当に細かい思考が要求されました。

 K島さんが「パイロンの位置はミリ単位で設計されていますから」と言っていたのですが、まさしくその通り。



 ちなみに、最後20分ほど、少しだけコースが変更されました。11番を取り除き、21番と23番を緩めたことが主な変更で小さなことなのですが、これだけでもタイムで言うと1秒以上変わってきます。特に12番のコーナーがそれまでの270度ターンから180度Uターンに近いところまで緩くなるのです。
 ライン作りから考えると相当楽になります。



 黒の⇒がオリジナルのアプローチ角で、緑の⇒が変更されたアプローチ角です。このアプローチ角の変化によって10から12で加速して12番コーナーを奥に突っ込んでUターン的に小さく回るというラインが生まれます。黒のラインでそれをやってもスピードが乗らず、ただ大回りするだけになってしまいます。
 
 ミリ単位は冗談としてもパイロン1個の幅、40cm動かしただけでも走り方は随分変わってくるものです。こういう計算されつくしたレイアウトを作ってくれるイントラさんに改めて感謝です。

 パイロンが随分倒れたのでイントラさんが心配されていましたが、コースを変えずに頑張ってもらったのは有難かったです。私個人の考えとしては、15分に1回ずつパイロン修復ボランティアタイムを設けて皆で(心当たりのある人が)手分けして直しながら走るというやり方も、時にはあってもよいと思います。参加者が自分で直すと、その分、理由を考えるという効果がありますし、参加者の一体感や緊張感が増しますからね。(設定が微妙な箇所は私が直しに行きますから

 K島さん、Y下さん。また、こんな挑戦し甲斐のあるコースをお願いします。






[追記]

 この記事を書いているときに訃報を聞きました。弊ブログでもブックマークさせていただいている講習会初心者集い処「バイクに乗ろう」を主宰されていたばなさんこと橘和弘さんが、この2月3日の夜に交通事故でご逝去されたそうです。
 いつもニコニコして楽しそうにバイクに乗っていました。大柄なばなさんの前ではバイクも大ジョッキのビールも小さく見えました。ばなさんのHPやメーリングリストによって何百人ものライダー達がライディングスクールの世界にいざなわれてきたことと思います。素晴らしい人格者で多くの人に慕われていました。本当に残念です。
 つつしんで故人のご冥福をお祈りいたします。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ああっ (光Ginji)
2007-02-07 08:17:48
ううむ。カラダが火照ってきますな。これも走りたい。体がひとつしかないのが悔しいですね。湖畔にいましたので。
脳内でシミュレーションしますと、ぼくが大きなエクスタシーを得られるは④、⑥~⑦、⑧、⑨、⑮~⑰、⑲~…ええい、全部だ。:)
味わいがいのあるコースですな。

それにしてもパイロンがよく倒れる、というのはいただけませんな。この点については、埼玉のみんなは浜名湖のみんなに見習わないといけない、と僕は感じています。
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光Ginjiさん (@sushi)
2007-02-07 21:35:35
こんにちは、いらっしゃい!!

>ええい、全部だ。:)
>味わいがいのあるコースですな

本当にそう思いますね。レイアウトを聞いてから参加を決めるという性質のものでないですし、こちらがこんなのが欲しいと考えても「それを上回る作品」をイントラさんが提供してくれるという意外性の楽しみを与えてくれるというのが、HMSの良いところですよね。


>それにしてもパイロンがよく倒れる、というのはい
>ただけませんな。この点については、埼玉のみんな
>は浜名湖のみんなに見習わないといけない、と僕は>感じています。
 そうですね。練習している中では、色々なやり方を試しているうちに失敗するとか、何十回かやっている中で思わず操作をミスするということはあって、そういう時にパイロンに当たってしまうのはやむを得ないかなあと個人的には考えているのですが。
 でも湖畔では細かいコースでもパイロンを倒さないという話を聞くと、それこそ安全のために練習をしているという観点からはマージンをきちんと作りながら練習するということも理にかなっていると思います。
 すこし桶川では「丁寧に走る」よりは「速く走る」方にモードが寄っているかもしれませんね。

 色々なやり方があっても良いと思うので、パイロンを自分で直しながら、その都度考える練習と、パイロンを絶対倒さないぞというラインで丁寧に走る練習と、両方経験してみたいです。まあ、パイロンを直しながらという練習は、こちらが言うのは簡単ですが、実際にそれを運営するのは大変ですからなかなか難しいですよね。

 「安全」という言葉が心に染みますね、今は‥‥‥‥。
 上達という観点からはエクステンションしてちょっと自分を引っ張ってみるということと、きちんと丁寧に積み上げてベースを高めるということの両方が必要なので、その意味で「パイロンを絶対倒さないぞ!」という練習と「どこでパイロンが倒れるか確かめながら克服していく」練習の両方が必要なのだと思います。でも後者はイントラさんにも他の参加者さんにも迷惑をかけますからねえ。この両者の間の微妙な加減でいったりきたりしている私です。

 ところで、ここのところ肩の怪我が回復してきたので、そろそろパイロン起こし隊に復帰したいと思います。

 「倒すより、起こす本数、増やしたい」

 次回はぜひご一緒に、パイロン起こしましょう!



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最近パイロン倒してコケまくり (リターンおっさん)
2007-02-14 12:45:59
いつもこの解説を参考にさせて頂いており、ありがとうございます。

パイロン倒しについてですが、2月2日(金)中級9名(だった?)にての出来事です。バリアブルコースを全員がしゃかりきになって走っていた(らしい?)。

イントラのT木さんが突然我々を止めて、集り腰を下ろすよう言いました。
そして「今日の皆さんは毎週のように平日熱心に通われている方々なのであえて言います。サーキットのようにコースを0.1秒でも早く走りたいのか?、それともライディングの本質を究め、幅広いテクニックを身に着けたいのか?、どっちですか」。当然参加者は全員「後者です」。
T木さん「それなら考えながら色々と試しながら走って下さい。2つのコーナーを組み合わせていたのを3つにしてラインを考える、リーンイン一辺等では無くアウトの方が早く切り返せるコーナーは無いか?、加速を今までの半分で止めて進入したらその後どうなのか?、兎に角考えてトライし自分で見つける事が大切です」と。

その後はペースが落ちたにも関わらず、転倒やパイロン倒しが続出でした。私も4回パイロンに突っ込んでコケました。
嬉しかったのは今までのように失速や操作ミスで突っ込んでしまったのでは無く、sushi様が初級テクニック等で解説されてた「新しいツボ」に嵌って「何時もより素早く倒れた・切り返せた」「スピードが上がったにも関わらず早く回り始めた」が理由なので自分は充実感で一杯でした。

ただ、後ろの方には迷惑以外何者でもないので、6日以降は一番後ろに下がって、接触イコール公道での事故と考え、試しながらも倒さないように走っています。

12月から桶川に通い始めて、最近漸くsushi様の解説を実体験として読めるようになってきました。重ねて御礼申し上げます。長文すいません。

追伸)
ばなさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。新参者の私は勿論お会いした事も在りませんが、私も検索でばなさんのHPを見つけスクールに通い始めた者の一人です。
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パイろん (とおりすがり)
2007-02-14 14:35:21
はじめまして。
パイロンにぶつかったら事故と考え・・リターンおっさん様のコメントについて、触発されて書き込みします。


倒れてるパイロンは障害物の練習と考えよけたらいいのですが、へたくそな自分はよけたつもりがバンパーに接触して転倒したことがありまして。。。(お笑い下され)
以来倒れてるパイロンを見ると気になって仕方ないW

パイロンを直す余裕、充分なスペースがあれば何度も通ってる受講生なら直してもいいんじゃないかなと思うことがあります。(ケースバイケースですが)

また、倒してしまったら、後続の人にせめて、すまんと挨拶してもいいんじゃない?と思うこともあります。
もちろんイントラさんにも、すみませんと。
自分の走りのことだけじゃなくて、自分が与える周りへの影響、自分が作った危険の種、そんなことを考えさせられました。
コースは大事に使用しましょう。









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>リターンおっさんさん (@sushi)
2007-02-15 09:46:00
初めまして、ようこそいらっしゃいました。

>「今日の皆さんは毎週のように平日熱心に通われている方々なのであえて言います。サーキットのようにコースを0.1秒でも早く走りたいのか?、それともライディングの本質を究め、幅広いテクニックを身に着けたいのか?、どっちですか」

これは正しくT木さんの発言であって、T木さんがあの表情で語らなければならないという緊張感のある箴言ですね。
よい経験をされましたね。

>その後はペースが落ちたにも関わらず、転倒やパイロン倒しが続出でした。私も4回パイロンに突っ込んでコケました。

「エクステンション=多少の無理をする」というのは学習と成長のためには必須のことなのですが、しかしスクールを実施することを考えるとやって欲しくないことでしょうね。平日ならではで、またT木さんならではで、挑戦させてくれたのでしょうね。
普通の状況では難しいと思いますよ。

>嬉しかったのは今までのように失速や操作ミスで突っ込んでしまったのでは無く、sushi様が初級テクニック等で解説されてた「新しいツボ」に嵌って「何時もより素早く倒れた・切り返せた」「スピードが上がったにも関わらず早く回り始めた」が理由なので自分は充実感で一杯でした。

まさにそういうことで、試してみなさいというのが、T木さんのオーダーだったのでしょうね。またそこでパイロンを倒したり、転んだりすることを許してくれるという度量を示したということでしょう。
そこでリターンおっさんさんが何かをつかんだというのは何よりでした。

楽しみましょう!


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>とおりすがりさん (@sushi)
2007-02-15 10:19:13
こんにちは。

>倒れてるパイロンは障害物の練習と考えよけたらいいのですが、へたくそな自分はよけたつもりがバンパーに接触して転倒したことがありまして。。。(お笑い下され)
以来倒れてるパイロンを見ると気になって仕方ないW

うまい、へたということとは別に、バイクというのは「心理」で乗るものですから、色々な影響があることは確かですね。パイロンが倒れているというのは、よいことは一つもありません。

>パイロンを直す余裕、充分なスペースがあれば何度も通ってる受講生なら直してもいいんじゃないかなと思うことがあります。(ケースバイケースですが)

パイロンを直すときは、必ず「止めて」直しに行くということだと思います。「止めて」というのは、バイクから降りてという意味ではなく、「皆の走行を止めて」ということです。参加者全員がコース慣れしていて、誰かがパイロンを直しに行ったら誰もがすぐに気付くような条件なら良いですが、一人でも不慣れな人がいるとしたら、やはり「止めた」方がよいと思います。

自分が直しに行くならば、次の人に「どこそこのパイロンを直しますので、間を空けてください」と言ってからコースなりに走っていって、当該パイロンで止めて直すという手もあります。

>コースは大事に使用しましょう。
どう弁解しても、パイロンは倒さないのが一番です。とおりすがりさんのおっしゃるとおり、まずはコースを大事に使うという気持ちが大切ですよね。

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