久しぶりにおもしろい本を見つけた。一気に最後まで読んだ。文章は難しくはない。
著者34歳のかなり鋭い女性の目線から、国会議員へのインタビューについて書いた本です。
国会議員、永田町への当前の疑問、答えへの驚きは今の多数の日本人の疑問、驚きそのものだと思う。
取材から日本の社会の基本的な問題点がたくさん出てくる。
こんな日本に誰がした?(派遣法改悪、緩和の小泉・竹中政権?)
取材した国会議員のほとんどの人は彼女の経験した生活を知らない。本当は知らなきゃいけない大多数の日本人の生活、そのものだと思う。
取材した一人、元検察官の衆議院議員、山尾志桜里議員が「人というのは仕事をなくして、家族がいなくて地域とのつながりもない時は弱い物だと思いました。」「冬ぐらいは刑務所へ入りたいと100円ショップで冬が巡ってくるたびに万引きを繰り返す老人を検察官ができるのはせめて冬の間だけは刑務所においてあげる事」と書いてある背景、現実があるのは悲しく、ショッキングでした。
労働者の4割をしめる派遣労働者の問題点は日本の社会の問題点そのものだ。低賃金で社会保険も十分でないから、起きるべきして起きる犯罪、結婚できない等、多くの問題点を国会議員は見逃している、目を背けている。国会議員が国会で「セーフティネットが十分でない。」と言うだけで現実は全く変わらないし、このことからも絶望を感じられる。自動車会社が国内で、若者が自動車を買わなくなったと言う、一方でその自動会社では自動車を買えるような賃金で派遣労働者を雇用していない、派遣では国民年金、国民健康保険等で生活がぎりぎりだ。
また政治を変えようにも、国会議員の選挙はあっても選択の範囲はない、彼女のように投票用紙に×を付けるしかない。
著者は自分が日雇い派遣で働いてきて、しかも海外での労働者の状況と比べて日本のあまりにも酷い状況を告発しているが、国会議員のほとんどの人は現状を全く知らない。
取材は一部を除いて全く、とんちんかんな物になっているが、国会議員の質の低さを露呈している。
一番、国民の立場への想像力が必用な国会議員と言う仕事をしている人がこの程度のバカばっかりでは日本は衰退の一途をたどるのは目に見えて解っている。大企業が良い優秀な人材を真っ先に確保してしまい、本来社会のインフラとして政治家、官僚、先生、警察官、医者等になるべき人材の質が低下した結果かもしれない。大企業の中では能力があるにもかかわらずくだらない誰にでもできる仕事をさせているたくさんの人達がいる。大企業へ行くと何でこんなに頭がいい人がこんな仕事をしているのかといつも驚きに思う。くだらない仕事でもミスはなく完璧にしかも改善を続ける。
筆者は若い人に日本から逃げた方が良いと言っているような気がする。
私は著者が国会議員、そして大臣になることを望む。