「FUKUSHIMA 50」を見ないで批評する その三 ～特攻賛美と電通過労死問題

「FUKUSHIMA 50」を見ないで批評する企画は書きたい欲求が抑えられずに書いただけで、「書き捨て」と割り切っていた。
　ところがポツポツとアクセスがあったのでアレ？と思ったら、うっすらと検索エンジンにひっかかっていた（あくまでうっすら（笑））
　で検索結果の中に糸井重里氏の名前を発見した。老害という言葉があるけど、このひとはたいがい面倒くさい存在だ。
　私が学生のころはコピーライターブームで広告業界が就職先の花形とされていた。いまでもビッグコミックスピリッツで連載が継続中の「気まぐれコンセプト」はまさにこのブームにのって生まれたギョーカイマンガで電通の過労死問題など昨今、問題になっている広告業界の非道ぶりがギャグとして描かれていた。
　いやギャグと片付けてしまうのちょっと違うか。この国は部活のシゴキからよくわからないスパルタ研修まで、苦痛に耐えてこそ美徳という文化があったが、こういうムチャぶりがクリエイティブなギョーカイなんだと、むしろ自慢げに誇示してさえみえた。
　内容はといえば酒の席で得意先のチンコにラップをかぶせてフェラさせられるなど「現行犯案件」も多数。
　少し前に慶大の広告研究会が街を全裸で駆け抜け送検された事件があったが「けしからん」という論調でバカッターとかとおなじ括りで批判していたテレビ報道には違和感を感じた。
　自分の学生時代（慶大ではないが）も広告研究会が新歓コンパの時期にハチ公前の噴水に飛び込むというのが恒例化していて、そうした暴挙も含めイッキなどのムチャ振りで殺到する入部希望者をふるいにかけていたのだとか。

　なにが言いたいのかといえば、テレビ局側にもそうした暴挙をしたりさせたりしてた経験者が「絶対いるよ」と思ったのだ。

　最低限報道するまでは「役目」としても、けしから～んと拳をふりあげるような正義感演出はちがうだろう。「おまゆう」…だよと。

　で、糸井氏だけど、その時代の花形は（それがアタマを使う商売だったりするとなおさら）、オビニオンリｰダｰ的存在になってしまうことがあった。（NHKの若者向け番組でMCもやってたし）
　今でいうと芸人がそうだ。ビートたけしや松本人志も非常にあやういが、糸井重里にも噴水に飛びんでたようなチルドレンが多数、ギョーカイ内に存在してるんぢゃないかという懸念がある。林真理子氏なんて代表格。

　糸井氏はかつてバブル時代を振り返り
「天気予報撮るだけのためにハワイに行った。だってお金あったんだも~ん」
と喜々として語っていた。
　「無駄なことって実は大事だよね」みたいなコトバが幅をきかせていた時代。一見、無駄に見えるけど実は意味があることは確かにあるかもしらんが、あの時代のああいったモノ言いは単なる思考停止だ。金持ちケンカせずちゃないが、金が余ってるから根拠ゼロでもなんとかなったのだ。

　クリエイティブな職業の人はなんとなくリベラルだなんて思いこみもあった世代。自民党ではなく社会党に投票している自分がただ好きというのもあの時代の思考停止の典型だ。林真理子なんて実は思いっきり保守だし。

　（すごく成功した人は無自覚に体制によっていく。今で言うとつるの剛士とかイチローとかね。）

　無駄なことも実はクリエイティブと無根拠に勘違いしてる世代だから体罰とかシゴキにも意外と肯定的だったりする。
　だから「逆お花畑」的な特攻賛美のような糸井の感想もミョーに辻褄が合う。恐ろしいほどに。
　あの時代に広告業界のハダカの王様ぶりに気づき、だれかがツッコミをいれていればその後の過労死もなかったかもしれない。そーいえば「寝てない自慢」っていまでこそダサいやつだけど当時はむしろ勲章扱いだった。コンプライアンス批判も実はこういうアホと地続きじゃないかと疑っている。だって「お笑いウルトラクイズ」なんてクソつまんねーぢやん？たけしなんて今はひとつも面白くないっしょ。なのにテレビまだ出てる。

　絶対視すべきカリスマがいない、お笑い第七世代がやっと出てきた。これから変わるかもしれないし、一方で嫌韓を含むネトウヨみたいのも多数派だったりする。どうなっていくんだろうか？

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