ちさの花 咲ける盛りに 愛(は)しきよし
その妻の子と 朝夕(あさよひ)に 笑みみ笑まずも
__大伴家持(万葉集)
ちさの花が美しく咲く真っ盛りの頃に
あぁ、いとをしい妻と
朝に夕に
ときには笑い
ときには笑い
ときには真面目な顔で…
やわらかな新緑に
白い花をたわわに咲かせる
庭の
エゴノキ。
万葉集のころには
「ちさ」と呼ばれていたそう。
ちさ
ちさの木
ちさの花
やさしくて
ちょっと古風な響きが
イイ感じ。
白い花が
鈴なりになって、可愛い。
枝に
びっしりと
お行儀よく並ぶ
小さな白い
花。
仲よく
ぶら下がって
うつむくように咲いていて
そばにいくと
やさしい
とてもいい香りが降ってくる。
風が吹くと
小さな鈴のように
一斉にゆれて
ちりり…
ちりりり…りり…
かすかに、
でもたしかに
響きあう鈴の音が
聞えてくる…ような。
つぼみの、
頃。
どんぐりのような
お菓子のような
愛らしさ
なぜかふと
「こけし」が思い浮かんだり。
…なんてかわいい。
散るときも
ちさは
美しい花の姿のまま。
花びらでは散らず
蕊から
すぽっと抜けた花が
そのままの姿で
くるくる回りながら
舞い降りてくる。
次から次へ
くるくる、くるくる
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