
天使の腕に抱かれて
ここから飛び立つ
この暗く冷たいホテルの一室から
そしていくつもの永く
心細い夜から
沈黙の白昼夢が作り出す
瓦礫のしたから救い出されて
天使の腕に
ここから飛び立つ
この暗く冷たいホテルの一室から
そしていくつもの永く
心細い夜から
沈黙の白昼夢が作り出す
瓦礫のしたから救い出されて
天使の腕に
しっかりと抱かれている
どうか
この世界に
どうか
この世界に
安らぎを見いだせますように
"ANGEL"
サラ・マクラクラン
鈍色の
重たい雲の切れ間から、
朝日はその輝きを
ほんのわずかに覗かせながら
ゆっくりと昇っていき
重たい雲の切れ間から、
朝日はその輝きを
ほんのわずかに覗かせながら
ゆっくりと昇っていき
厚い雲の向こうの
はるか遠く、
澄んだ空が静かに広がってゆく。
そんな夜明けの空を
ぼーっと眺めていたら
いつの間にか口ずさんでいたのは
サラ・マクラクランの "Angel"
美しい透明な歌声
美しい旋律
美しい旋律
美しいピアノの音色
美しい歌。
聞きながら空を眺めていると、
肉体が消え
風や光になって
あの空へ
昇っていけそうな気がする。
とても美しいこの歌は
『シティ・オブ・エンジェル』という映画に流れる。
静寂と
叙情的な雰囲気で紡がれる
天使の物語。
天使たちの視線、その俯瞰の映像
言葉のひとつひとつ
森羅万象の描写
サラの歌う "Angel" や
アラニス・モリセットの "United"
なにもかも
アラニス・モリセットの "United"
なにもかも
とても美しい映画。
ただ、
ニコラス・ケイジ演じる天使のセスが
変態ストーカーに見えるシーンがあって…ヘン
ただ、
ニコラス・ケイジ演じる天使のセスが
変態ストーカーに見えるシーンがあって…ヘン

好みの問題かもしれない。
ラブ・ロマンスの苦手なわたしは
主人公の二人よりも
周りの人びとに魅力を感じて
相棒天使のカシエルと
誰よりメッシンジャーさんがお気に入り。
そしてなによりも
この映画、
天使の描き方がすてきなのだ。

© Warner Bros
彼らは翼を必要とせず、
白や金髪どころか黒い服を着ている。
驚くほどたくさんいて
図書館か、高いところにいることが多い。
高層ビルの屋上
道路標識の上
建設現場の足場やヘリポート
飛行機の翼の上
ハリウッドサインの上…
風をまとっているような
佇まいや歩き方に
なぜか無性に、こころ惹かれる。
夜明けと日暮れには海辺に集い、
太陽の調べを聴く。
太陽の調べを聴く。
その様子を見ていると
わたしにも
太陽の調べが聞こえてきそうな気がする。
太陽の調べが聞こえてきそうな気がする。

© Warner Bros
どうして
この映画の描く天使たちに、こんなに惹かれるのだろう。
ときどき天使たちが見たくなって
映画を見返すのだけれど、
たいていは、セスが "堕ちる"ところまでで
見るのをやめてしまう。
そこまでで十分。
それとこの映画には
わたしのお気に入りの一冊、
ヘミングウェイの『移動祝祭日』が
印象的に登場する。

© Warner Bros
この映画を思い出したり
見返したりすると、
いつも、『移動祝祭日』を読みたいと思う。
そういうわけで
映画『シティ・オブ・エンジェル』はわたしにとって
"美しくも切ない純愛ストーリー"ではなく
天使と『移動祝祭日』と、サラの歌う "Angel"、なのです。
天使たちがところどころで見られます ↓
『シティ・オブ・エンジェル』
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