辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

「下流社会」(三浦展、光文社新書、2005年)

2005年12月05日 | 
本屋で平積になっていたのでつい買ってしまう。

この本で下流社会というのは「基本的には『中の下』」であり「食うや食わずとは無縁の生活」をしていて「しかしやはり『中流』に比べれば何かが足りない」人を指しているのだそうだ。(p.5)

全編を通じて「上・中・下」に分けて統計を示しているが、これは具体的には、アンケートで「『上』と『中の上』を合わせて『上』、『中の中』を『中』、『中の下』と『下』を合わせて『下』とした」(p.90)ものによるらしい。

この本で主に使われている統計は、三つある。ひとつは、質問紙を年齢別に 1150 件郵送して得た 861 件の回答から、生まれた年により 4 つに分けた区分のそれぞれに落ちるものを 100 件ずつ「無作為抽出」したものであるという。他の二つは、「Web 調査」ということである。(p.12)

質問紙を送る相手の抽出方法は、人口別に割り当てたというだけで、無作為であるとは述べられていないのが少し心許ない。どうしてわざわざ有効回答中から一部サンプルを捨てて各年代グループのサンプル数を 100 にそろえたのかも、よくわからない。

年齢別に四つのグループに分け、それを「上、中、下」に分けて、それぞれの回答を分析することが多いので、クロス統計の枡目に入るサンプル数がずいぶん少ない場合もある。

極端な例を一つ挙げておく。団塊ジュニア世代(この本では1975-79年生まれという定義)について「自分らしさ志向を職業別に見ると、男性の自分らしさ派ではフリーターが多く」(p.170) とあるが、この根拠は、次のページに載っている「団塊ジュニアの主な職業別自分らしさ志向(主な項目)」という表らしい。

この表では、「男性」かつ「パート・アルバイト、フリーター」のサンプル数は 5 で、この中で「自分らしさ派」が 60.0% 「非自分らしさ派」が 40.0 % とある。つまり、それぞれ 3 人と 2 人だったというわけだ。いくらなんでもサンプル数が少な過ぎると思うのだが……

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