good day to Die

映画、ドラマ、小説、漫画、音楽についての感想等を
日記代わりに書いておくためのブログです。
ネタバレあり。

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」2D字幕版(ネタバレ注意)

2013-01-26 21:51:05 | 映画
評価:★★★★

ストーリー(Yahoo!映画より)
1976年、インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)の一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、
嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、
ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイと
ベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。

アン・リー監督
スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、アディル・フセイン、タブー他出演

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」を2D字幕版で見た。

見たのは26日で、普段は見たその日にブログに感想を書くんだけど、なんだかとても心を動かされて胸がいっぱいになって、
感想を書くのを先延ばしにしてしまった…(さかのぼって投稿してるので記事の日付は26日だけど、実際に書いてるのは27日)。

ネタバレあるので注意!!


私はオチを知って見てたんだけど、予告編の「少年とトラのサバイバル冒険譚と映像美!」みたいな感じからは想像できない
オチで、大丈夫なのかなぁと思ってた。
実際に見てみたら、オチがどうのとかそういう作品ではなかったよ。
宗教とか死生観とか考える作品らしいけど、私はそういうこともあんまり考えなかった。
でも、久しぶりに心を動かされる作品でした。去年はこういうのがなかったから、うれしい

ストーリーが面白い映画も好きだけど、ストーリーとかあんまり関係なく、感情を呼び起こすような、立ち昇る何かの
ある映画を見ると、しみじみと満足する。
見たタイミングにもよるし、ごく個人的なものなので、この映画が万人にそうであるとは思わないけど…。
実際、結構賛否割れてるみたいだもんねぇ。

私は見ながら結構泣いてて、エンドロールでしみじみと満足して、帰り道で泣きかけて、帰宅してまたさめざめと泣いてた
泣けるとか言いたいわけじゃないけどね。
私が受けたその感じが「シャッターアイランド」と似てるなぁと気が付いた。
どちらもオチを知って見たけど、あまりそれは影響なくて、逆にオチを知っていた方が落ち着いて見られて良かったのかも。
もちろんみんなそうだとは思わないけど…。
「シャッターアイランド」も「ライフ・オブ・パイ」も主人公の気持ちがいくつか、すごく分かる部分があるせいなんだろうなぁ。
「シャッターアイランド」では、子どもたちのあの姿を見たときの主人公の絶望と後悔。
「ライフ・オブ・パイ」では、両親や兄への罪悪感と、生きるために他の生き物を殺すことの罪悪感。

漂流するまでが結構ダラッとしてて、かったるい。
あそこは主人公の宗教観とか描くためのものなんだろうし、あれがあったから私の共感?も生まれたのかもしれないので、
必要なんだろうけど、ちょっとダルいよね

船が沈没して、その後救命ボートで荒れ狂う大海原に翻弄されるところは、怖くて緊張して見てしまった。
その後、悪天候が納まって凪いだ海は、誰もいなくて、どこまでも広がっていて、死後の世界のような美しさと静けさだった。
海もトラもCGだそうだけど、最近の技術ってすごいよね。

トラが怖いんだけどやっぱりかわいい
ねこ好きにはたまらない…。
あの前足のがっしりした太さと、もふもふした感じがたまらないのよね。
現実のトラの仕草は知らないけど、ねこっぽくて萌え萌えでした。
トラが海に入って、ボートに上がれずにしがみついてるところの前足…あれは見捨てられない…。

トラの名前がリチャード・パーカーで、その名前がある意味、大きなネタバレだと見た後で知った。
ミニョネット号事件という、19世紀に起きた食人に関する殺人事件とその裁判があって、そのときに犠牲になった17歳の給仕の
名前が「リチャード・パーカー」。
トラは食べられる側ではなく食べる側だけど。

リチャード・パーカー調べたついでに、食人に絡むいくつかの事件についてネットで読んで、そういう極限状態に遭遇したく
ないなぁと切実に思った

主人公はトラと漂流した話をしたけど、保険調査員(日本人という設定なんだけど、案の定、日本語の発音がネイティブから
するとおかしかった)に問い詰められて、現実的な?話をする。
オチを知らずに見ても、漂流中の状況に色々と違和感を感じると思う。その原因は最後に分かる。

骨折したシマウマ=仏教徒の船員→ハイエナに殺されて食べられた
オランウータン=母→ハイエナに殺されて、海に捨てられ、サメに食べられた
ハイエナ=コック→トラに殺されて、食べられた
トラ=主人公

で、どちらが事実なの?ってなるんだけど、映画としては、事実がどちらかというのではなく、人が選択するものだ、という
スタンスなんだろうか。
私としても、別にどちらが事実でも構わない。
事実は人間同士の方だろうけど、だから?って感じで、そこに重点があるのではないと思う。
「シャッターアイランド」と同じく、あんまりストーリーとかオチに重きを置いて見るものではないのかもしれない。問題は
そこじゃない的な。
だからオチを重視する人には不評なのかも。

(現実として考えると、人を殺して肉を食べておいて、裁かれることもなく、ごく普通の幸せな生活を送ってるぽいのは
それはそれで異様な感じ…。ま、映画ですけど。トラに押し付けて、精神的安定を図ってる形なのかね)

トラが最後に主人公の方を振り返らなかったのは、トラは非常時に現れた主人公の獣性なので、文明世界に戻って獣性が
必要なくなったから、と書かれているのを読んで、なるほど~と納得。
見てる間、私はなーにも考えてなかったけど(少しは考えろよ)、みなさん色々考察していて立派だねー。
勉強になります。

あの浮島は何なんだろね。
島の全体像が女性だったらしいので(私は人間の形してることしか気づかず…)、あそこで「生まれ直した」とかいう考察が
あって、また感心。
あるいは母親の肉を食べて生き残ったことの比喩とか…。ほう~。

遭難する船の名前がTzimtzum(ツィムツーム)で、ヘブライ語で「縮小」、本来無限である神が自らを収縮させて世界創造の
場を与えたという思想を表すらしい。
日本船籍とか言ってたので(違ったかな?)、日本語名なのかと思ったら読めなくて、なんちゃって日本語か?とか思ってたら、
えらい意味づけがされてた

映像は美しいです。
海の中に動物たちの姿を見る幻想シーンとか、ぞっとするような美しさ。
IMAX3Dの評判が良いね。
土浦にIMAXシアターできたから行ってみようかなと思いつつ、もう3DにもIMAXにも見切りをつけているので、いまいち…。
見切りをつけるほど見てないけど…。






コメント (2)
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