時の恋人

2010年09月15日 | 
「手のなかの空 奈良原一高 1954-2004」、島根県立美術館を観覧。
「消滅した時間」のモノクロ作品を見てから、一度はしっかり見ておきたかった写真家。


作品は歴史順に紹介されていて、それぞれの時代で少しずつ変化してく様子が感じられる。しかし、一貫して変わらないのが構図の格好良さ。戦時中に幼少を過ごした時代の人が、50年間もこんな写真が撮り続けるられるなんて。恵まれた時代の私たちでは、その凄さを本当に理解することは難しいかもしれない・・・。

     

人は前を向いて歩き続ける。 僕も未来ばかり見続けてきた。 過去を振り返るのが苦手の僕が、今回は50年の時間を振り返らねばならなかった。改めて沢山の過ぎ去った時間の断片と向き合った。 一 枚の写真を見ると、それが生まれた瞬間へと一気に想いは飛ぶ。その瞬間に発生したエネルギーを再び味わう。そして、言いようのない切ない気持ちが尾を引いて残る。その切なさは、もう再びそのきらめく刹那に肉体が立つことが叶わぬことを知っているからだろうか。それは、想うだけの恋に似ているかも知れない。
写真は時間の恋人なのだ。
恋人を想うとき、僕たちはそのひとの写真を眺めるだろう。その時、瞳は画面の中の恋人を見ているのではない。その画面を越えてその向こうにいるひとに向かって僕たちの眼は語りかけているはずである。

『奈良原一高写真集時空の鏡』「時の恋人」より

”写真は時の恋人なのだ。”  ・・・う~ん、この名言、深いねぇ。


個展なび


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