銀座平野屋女将日記

銀座平野屋210年のあゆみと老舗女将の嫁日記

実用の粋ー煙草ケース(その2)ー

2019-01-12 | 日記

 

銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、

素敵なものが数々ございます。

 

それは江戸からの粋を伝えるものであったり、

先人の技や美を伝えるものであったり様々です。

 

その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。

今回は先のブログでご紹介しました「煙草ケース」の続きです。

 

『煙草ケース「網代」①』縦8.8×横6.5×幅2.8

こちらは3つある煙草ケースの中でも一番大きく、

ちょうどキャラメルが入るサイズです。

 

 

 

『煙草ケース「網代」②』縦7.5×横6.5×幅2.8

こちらは3つのうち中サイズ。

他2つに比べて蓋が少し深くなっています。

↑右が蓋です。

 

 

『煙草ケース「網代」③』縦7.5×横5.1×幅2.3

3つのうち一番小さいこちらは、

ちょうどタバコのショートピースと同じくらいです。

 

✳︎この煙草ケースに特に銘があるわけではないですが

(その1)のものと区別するため、網代編みで編まれたこちらを

「網代(あじろ)」としております。

 

 

3つとも、材質は籐です。

(とう。ラタンともいいます。カゴの素材といえば分かりやすいでしょうか)

籐を網代編みでタバコケース状に形作ったのち、

内側は漆塗りをほどこし、

表面を艶出しして仕上げたものです。

↑内側。少し分かりにくいですが、漆塗りです。

 

ただ煙草を入れるだけなのに、なんて手のこんだ逸品なのでしょうか!

↑こうすると大きさが分かりやすいですね。

 

煙草ケースは紙巻き煙草が主流になった1920年代頃からあったようです。

(その1)でご紹介した煙草ケースも、こちらの網代編みのケースも

内側に漆を塗ることで、煙草を湿気から守る働きがあったのです。

そしてきっちり隙間無く編まれた網代も、

湿気を入れないために丹念に編まれたものでしょう。

 

 

 

湿気から煙草を守る目的で作られ、

そこに職人の技を加わったこの煙草ケース。

実用品であると共に、使い手の煙草への愛着(?)と

実用品以上の美を感じさせる作り手の技と粋が

ひしひしと伝わってくるように思います。

 

こちらのケースも、研出の煙草ケース同様に既に職人はおらず、

作られなくなった逸品です。

実用的なものにも職人が丹念に手を加えていた、

そんなおおらかでよき時代は遥かに遠くなっていくのでしょうか。

 

 

こんなに素敵な煙草ケースに入れて、タバコを持ち歩きたいですね。

…と言いたいところですが、タバコの吸いすぎは毒ですよ!

(こんなところにも煙草ケースが衰退していった理由があるのかもしれませんね)

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

本日1/12(土)〜13(日)は、銀座平野屋本店は定休日です!

⚠️1/14(月 祝)は祝日のため休業です。

 

連休明け1/15(火)より「冬のバーゲン」が始まります!

この間、通常価格の2割引での販売となります(一部商品を除く)

なお、同じく15(火)AM10時よりインターネットでご注文された方も

2割引とさせて頂きます(一部商品を除く)

皆さまのご来店をお待ちしております!✨


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