塚原直也の4年間

 いよいよオリンピックの本開幕。開会式が始まります。明日から全開のオリンピックモード。4年に1度しかめぐってこない一瞬の勝負のきらめきが、次から次へ巡ってきます。たとえ4年間、この大舞台のために努力を重ねてきても、たった一瞬の判断ミスが勝負を分けるかも知れない。見る側には魅力的な時間の重層が、競技者にとっては悲劇への重しとなりうるのです。

 そんなことから思い出されるのは、体操の塚原直也。4年前のシドニーオリンピック、種目別の鉄棒で彼は上位入賞を期待されるも離れ技の際にバーをつかみ損ね落下してしまいます。栄光の目前、文字通り手の内から輝かしい未来は抜け落ち、苦々しい過去だけが彼の胸に残りました。

 そして2004年。塚原がどんな想いでアテネの地に入ったのか、私は知りませんが、団体総合の鉄棒に参加するメンバーに塚原直也の名はありませんでした。それは、すなわち彼がアテネで鉄棒の演技をすることはないということ。4年前につかみ損ねたバーは、つかむチャンスを与えられないまま、彼の胸に残ることとなりました。

 鹿島、冨田、米田、中野、水鳥、塚原。日本体操界は久々に団体でのメダル獲得のチャンスに巡り会いました。そんな中、塚原が与えられた種目でどんな演技を見せてくれるか。個人のメダルはもうありません。団体で、彼が栄光を手にし、この4年間を栄光の助走期と記憶することができるのか。
 男子の体操は、明日、14日から行われます。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ナベツネ退任! 野村&谷 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。