久しぶりに親しくしている東村山のTさんと会い、色々な話をしました。 なかでもお店でのお茶にまつわる話は面白く、また考えさせられましたね。
いったいお茶というのは美味しい飲み物ではありますが、蕎麦屋にとっては、本当は扱いの難しいものだと思います。
今、どの蕎麦屋さんでも、お茶は普通に出しているところがほとんどではないでしょうか。 しかし、東京の老舗と呼ばれる蕎麦屋ではお茶を出さない店があります。伝統的に蕎麦を打ったり茹でたりする、その店が蕎麦に使う水を最初に出し、締めにお茶ではなく蕎麦湯を出しているのです。 いかにも本寸法といった感じですね。
確かに、お茶は旨味も味も強いので、本当に蕎麦を味わってもらうには、水と蕎麦湯を出すのは理にかなっています。もう11年も前の話ですが、自分の店を開店するにあたって、老舗でもなく、都心にもない山の中の店で、お茶をどうすれば良いのか?と迷っていた事があります。
結局亡き父の言に従って、飲み物は日本酒と蕎麦湯と水だけを出す事にしました。
お茶代わりに蕎麦湯を出す事にした訳です。
しかしながら、何年かするとお客様の要望もあり、不本意ながらも注文でほうじ茶等を出す事にしました。
お茶は美味しい。
でも、美味しい蕎麦湯も本当に美味しいと思います。
蕎麦屋なんだし、以前の様にお酒と蕎麦湯と水だけで良いのでは? お茶はいらないのでは?
今もってお茶に迷っているところがあるのです。