olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

今もっとも勢いのあるピアニスト

2018-09-20 | 音楽とか
コンサートが始まり、最初の曲の
まだたった数小節を聴いただけなのに
胸が高鳴り、苦しくなり、自然と目に涙が滲む。

久しぶりにそんな体験をした。

私は、鋭い感性を持っている訳ではない。
どちらかといえば鈍い方だと自覚している。
耳もよくない。
音楽的教養もない。

そんな私の鈍さなどものともせず、
有無を言わせずダイレクトに心に働きかけてくる
理屈を超えた音の力。
彼は、まさにホンモノの芸術家なのだと確信した。

素養がないので、それ以上のことを語る言葉を持たないのだけれど。



ベートーヴェン尽くし。

途切れることのない感動の波に
圧倒されているうちに、
あっという間に終わってしまった。


本当にあっという間だった。


前日に修学旅行から帰ってきた息子は
まだ疲れが残っていたらしく、
月光で気持ちよく寝落ち。
ああ、もったいない!この演奏を聴き逃すなんて!!
と思ったけれど、
おかげで私は子どもを気にせず
演奏に浸ることができたので、それもまたよし(笑)

それでも息子は拍手になったら起きたので、
アンコールはしっかり聴くことができ、
その短い一曲一曲に、
前のめりに引き込まれていた。



アンコールはなんと6曲。
3曲目くらいから、彼がピアノの前に座るたびに
歓声をあげたい気分だった!

舞台では一言も喋らなかった彼。
きっと、そういうの、苦手なんだと思う。
6曲のアンコールには
口下手なんで喋りませんが、感謝の気持ちは演奏で・・・
というメッセージが込められているようで、
演奏だけでなく、彼の人柄に対して
とても好感がもてた。

単純に、聴けて嬉しかったのもあるけど。

もちろん演奏は素晴らしく、
こちらも感謝を込めて
立ち上がって拍手したかった。本当は。
誰か一人でも立ったら、私も立ち上がったはず!
(一人目にはなれない、小心者)



サイン会にて。

CDを渡しながら息子がすかさず「恭平さん、大好きです!」と言うと、
ふわっと顔を上げて、ふわっとした笑顔で
「ありがとう-」と
おっとり優しい響きの声で応えてくれた。

手も、あたたかくふわっとしていたらしい。


なんとまだ24歳になりたて。
学生。

これだけ完成しているのに、人生、まだまだこれから。
これからの彼が、楽しみ。
ああ、ぜひまた聴きたい!!!
こんな小さい島だけど、また来てね♡


---


余談ですが、このコンサート、
聴衆のマナーが驚くほど良かったんです。


いや、この地では、本当に珍しいことなの!!


荷物をガサゴソ、飴のつつみをガサガサいわせ、
携帯の音が鳴り響き、
隣の人とボソボソ(のつもりで)喋り、
傘をバシャンと倒し、途中で退席したりする・・・

子どもよりもむしろ年配者のマナーが悪い気がする。
大衆演劇を弁当食べながら見る感覚なのか??
(ここにそんな習慣があったかどうか知らないけど)

けど、今回は違った。
「本気で聴きたい人」の集まりだったように思う。


入場のため並んでいる時、
私たちの後ろに、感極まってボロボロ泣いている
制服姿の学生さんがいました。
制服から察するに、芸術科の生徒でしょう。

コンサートは前売り完売、当日券無し。
当日券目当てで来たものの、為す術無く
しかし諦めきれずウロウロしていた彼女に、
「来られなくなった身内のチケットが余っているから・・・」と
チケットを譲ってくれた人がいたようです。

泣くだけの価値がある演奏だったよね。
あのときの学生さん、この体験を胸に、
これからの練習、がんばってほしいな。

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