いきなり「金星の科学」などとこのブログで言われても、この太陽系の金星は灼熱の世界であり、金星にロケットを飛ばして観測までしているのに、ここで書いているような科学的に発達した惑星とは到底思えないことと思います。
この著書でも書いてあるように、地球と金星の波動においてお互いの振動数が違うために、物質や生命の存在までもが地球の現象と異なっていようとは、なかなか受け入れがたいものです。この本の著者もこの点について疑問を感じています。
私(村田氏)は永い間地球の天地に住みついて来たものですから、地球の生活や物の考え方が根底となっております。
たとえば生活必需品についての地球的な考え方ですと、この金星で見てきた広大な森林地帯から産出する木材を、建築の材料、紙やパルプの原料のチップに加工したり、燃料やその他の利用方法が随分とあると思いましたので、思わずどのように考えておられるのだろうとの疑問が湧き上ってまいりました。
しかし、この考え方もやっぱり私達の狭い地球的な考えでありました。M氏から譚々と幼い子供をさとすように教えて頂きました。
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あなたがそのようにお考えになられるのも無理からぬことだと思います。地球の天地に永年住みついていたのですから、地球での生活経験が基本となっての思考、行動となって現われてまいりましょう。
何回も申しますように、金星の地は波動を異にした別の天地です。だから、その中に入って見ないと、十分に理解することが出来ないと思います。その中に入るということは、波動を合せてゆくことになります。
今こうして金星の天地で見聞しておられるのは、この天地での波動に合わせていらっしゃるから見えたり、触れたり感じたりすることが出来るのです。
もしあなたが地球世界の波動のままであったらこのような世界の実在を知ることも出来ません。ただ高い温度とガスが充満している生物の生息の出来ない死の天地と映し出されるのです。
地球の科学者達は、永年積み重ねて来た実証を基礎にした探究の方法より知りませんし、また自分達の考えている別の世界の実在していることを心の奥では知っていても、これを立証する方法も確証も見出せないので、自分達の範躊でない精神の問題、心の世界、深層心理学や心霊科学と現代科学は余りにも距離があり過ぎて、一つに結びつくものであるとは考えられないのが、地球の科学者の共通した信念であろうかと思います。
それで、こうした考え方を打破し誤てる科学信仰を修正して、真実の科学の世界に導入してゆくには、別の天地に実在する科学の実態を示さなければならないと思います。
科学者達は自分達の生命の問題よりもその映し出された理に従います。科学の理論には万鈞(まんきん)の重さがあり、憧憬や尊敬の心で迎えます。そのことを私達金星人はよく知っています。それで金星の科学が映し出される、調和した波動の醸し出されてゆくことを望むのです。
調和した波動の世界でないと私達金星人は活動が十分に出来ないのです。地球は今や破滅寸前の立場に追い込まれていますが、五井先生の提唱して下さっております世界平和の祈りの中で、素晴しい神々の調和されたひびきで、地球をお守り下さる神霊達が大挙してお働き下さっております。
その基盤をお造り下さっているのが、世界平和を祈っている祈りの同志達でございましょう。地球をお守り下さっている神霊達と、祈りの同志と、私達宇宙人とが、一つ心になって、世界平和を祈る中から計り知ることの出来ない宇宙子科学が、金星の科学が生れて出るのです。
宇宙子科学は、ある時忽然と出現するのではなく、世界平和のお祈りの中で宇宙人達の指導のもとに、五井先生のご指示で永年築かれてきた輝しき実績が基礎となって、その上に現われ出ずるものです。それは私達宇宙人と地球の守護の神霊とが水も漏らさない緊密な共同計画のもとに着々と進められております。
地球世界の新しき世界の夜明け、黎明を前にして、地球人類の奥にひそんでいるカルマが大きく消されようとして表面に現れ出ております。夜明けを前にして闇が一段と深まるのと同じであります。
闇、それは本来在るものでなく、真理の顕現してゆくに従って消え去ってゆきます。この一事をよくよく心に止めて世界平和のお祈りを続けてほしいと思います。
私達の生活もし易くなります。新しき地球世界の誕生もそう遠くはないのです。心してお祈りを続けて頂きたいと思います。
いま、円盤バスから見ておられるササリーの街は森林地帯でもあるのです。街の周囲に植林して造成したのがこの平原の中の森林地帯なのです。ちょっと見ますとこの森林地帯を造成したとは考えられませんが、今は素晴しい森林地帯の中での静かな、そして実によく働く街、草や木に一番よく溶け合った街といえましょう。
草や木樹はそれぞれの気の流れの中での成長進化を遂げてゆきます。気とは霊気のことです。草々の霊気と樹木の霊気とは違います。水の気、山の気、大地の気と申し上げますと随分と多くの気がありますが、これらの霊気と一つに溶け合って調和してゆくことが生活の基本となっております。
生活の中にこれらの気を取り入れてゆくことを工夫致します。それで金星のどの街を見ても、地球世界で見るような建物ばかりの集団のような、片寄った都市はございません。
地球世界でもそうでしょう。四季に咲く花の色に、伸びゆく若草の緑の色を眺めてゆきますと、自分達の苦労や不安もその他のもやもやしたカルマの想念も、いつの間にか、スウーと消えてゆきましょう。草木の持つ素晴しい汚れの無い波動の中に吸収され、同化されてゆくから、カルマは消え去って、晴れ晴れした気持になりましょう。
金星人の生活は調和を第一に考えます。木樹の持つ霊気と調和してゆくことが最も手近なものとして、家の周囲に誰もが木樹を持っております。金星の都市は、緑の中の都市、草や木や花の街とも云えましょう。
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何と素晴しい金星の世界に住む人達よ、その高い透明に輝くような波動の人達は大自然と生活とも一つに結び、しかも大自然の中にすっかり抱擁された生活のようです。
ササリー大農場群は森林地帯の中に美しく区画整理が施されたように、緑の沃野がひろがります。緑の巨人の眼鏡のように見える森林の中の沃野は空から眺めると本当に美しいものです。
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金星の歴史については、いずれゆっくりとお話し申し上げたいと心得ておりましたのですが、どうしても金星の歴史を、いえその一端でも申し上げておかないと理解して頂けないかと思いまして、そのあらましを申し上げて見たいと思います。
あなたが感嘆しておられる金星の天地も、ある時忽然と出来たのではなく、金星とて地球のように何十億年の年月を経て、荒廃の中から立ち上り、筆舌に尽きぬ苦難の時代を通り過ぎて、現代のような世界にまで昇華してきたのです。
それは長い年月と金星人のたゆみなぎ努力の結晶でしかなかったのです。みる影もなきまでに荒れ果てた金星の苦難の時代は長く続き、もうこのままでは人類の住む天地に再び戻すことは出来ないと思えたときに、他の先輩星から救世主が現われたのです。
透明に輝く白色円盤と眼を射るような強烈な光輝の放射に、誰一人としてその前に立ち向う者はなく、多くの従者と共に金星の世界に降りて来て人の神性を説き、人の尊厳さを教え、荒廃した世界の救済のための素晴しき智恵を授けられたのです。
こうして次第に金星は昔日の姿に帰りゆくと共に、計り知れない智恵の力が人々の神性を開発してゆき、それと共に素晴しい科学が育成されて、開発されてゆく神性と相まって金星は大転換して現在の金星の姿となったのでありました。
その昔、荒廃した金星の大地は、到るところはげ山と砂漠のような地に、かろうじて草や木がポツリポツリと散在しているだけでした。このような地で救世主たちが先ず最初に人々に教えたのは木を植えることだったと伝えられております。
樹木の生命も人の生命も共に大神様から分れ出た生命の現れである。このように人々に教えられて、木を育てることの大事さを身を以てえ伝えられた、その指導者のもとで多くの人達に教育されていかれました。やがてこれらの人達が各地に派遣されて、大衆の指導に当ったと伝えられています。
その時の智恵は今なお生かされて、今もこうした緑の星に輝く、自然と秩序が調和したササリーの大農場のような素晴しい姿として展開しているのであります。
荒廃した金星の天地を救うものは自然の波動を充分発する緑である、と教えた指導者は、自分も卒先して荒野に木を植えて範を示されたのです。
その時代の金星は寒暑の気温の差が甚しくて、天変地変や洪水の害や、干ばつの被害は大変なものであったのでしたが、人々はあらゆる苦難に打勝って植樹を、そして育成をと努力を積み重ねていき、緑が増してゆくと共に気温が変り、人々の心がなごんでゆきました。
そして、緑の持つ自然の同化力に吸収されて、木々の持つ生命を大切にするようになり、樹木に教えられるものがずい分とあったのです。
その内に洪水も干ばつも次第に少くなってゆき、緑が金星の世界に大きく拡げられていったのです。それから金星の自然は驚くような変化を起して、現在のように調和した天地へと変えられていったのでした。
ですから金星人は樹木の緑を大切にします。樹木の生命を無駄に断つようなことは一切行いません。地球世界のような乱伐などが起ることはありません。先程からご覧になって、金星の山野に大きく伐採した跡などはご覧になられなかったでしょう。樹木の持つ自然の緑は人々に大きな生きた教訓を与えてくれるものと思います。
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M氏から説明を聞いている内に、森林の中に素晴しい工場の一角が見え初めました。丸い大きな建物が見渡す限りに散在しておりますが、それらは、かなりの厚い層の森林で遮断されております。地球上の工場の概念とは全く異なっております。静かな森林の中の公共建物のように思えました。
この化学工場の内容について質問をする前に、金星と地球の波動の相違は、厳しい波動の調整を受けなければ円盤から機外に出ることも許されないことは知っております。それで、金星の空気と地球の空気とでは、どのような違いがあるのかについて質問しました。
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宇宙を形成している万物はすべて波動から出来ております。波動の世界は限りなき段階に分れています。地球世界も一つの星であり、一つの波動が現象の世界を創り出しているのであって、金星と地球の波動は大変相異しております。
わかり易く申ししますと、縦の波動と横の波動となって現われて、縦と横とが交叉して一つの現れが起るのです。その基になるものが異なっていますから、その現れである、空気も水も大地も、山も河も同じように見えても中味はずい分と違います。
地球科学では、現れの世界のその過程の奥を知る智恵を、神様から授けられておりません。何故ならば、神様からの叡智を受け止めるまでに到っておらないのです。成長進化の途上でありますから止むを得ないことです。
科学者達の根底に、人間の知識と経験の積み重ねと努力以外にこの科学の世界は進歩しないとの考えがあります。そして長年月この道に添って築き上げて来た観念が容易に変わることは出来ないと思います。
人間の努力の結集の中で働いている科学の智恵も、その元は神様の智恵が現われ出たものです。肉体人間のカルマと神様の智恵とが混ざって現われているのが地球の科学です。金星の科学は神様の智恵がそのまま現われているものだとお考え下さい。
先に質問がございました空気中に含まれているいろいろな元素を、波動を利用して分析して個々のものを取り出すと、それから得られる元素を分離しては、またそれぞれに再生させる中間体を造り出しているものです。
末端まで創り出すことなく、生活の必要品を創り出す原材料のようなものを創り出している化学工場です。幾種類もの中間体を創り出しております。創り出した原材料のような中間体を創り出すだけでなく、それを圧縮してと申しますと、地球上のプレスを連想されましょうが、波動を変えることによりその形状が全く変ります。これが金星の科学の大きな特徴です。
例えば、地球上の農作物には窒素、りん酸、カリの三大要素が必要とされています。そして、窒素は空気中の窒素から取り、りん酸、カリは鉱物から採っています。そして、これらに必要な要素を混入し、混合肥料を造っております。
しかし、金星の工場では一度化合を完成して再び中間体に戻して縮小したかたちで保管します。そうすることで、この中間体を使用する農場では、これを簡単に再現出来る仕組みになっております。
つぎに、工場と周囲の自然との関係についても申し上げておきましょう。
地球上の工場や、工場が集って造り出している街は、いろんな意味で生産工場からの廃棄物や煤煙等で汚染されていて、余り美しい良い感じを持っていないものです。
金星でも初めの内は工場は各地に分散していて、その地との調和がむずかしかったのでしたが、次第に人々が目覚めて、工場とは最も恵れた自然の中で、その自然とどれだけ調和してその機能を発揮してゆくのかが課題となりました。
そして、この課題がクリアできたことで、気候、風土、水と自然に恵まれた地に金星の中心ともいえる科学工場群を創り出したのでした。そして、この金星には七つの工場群が散在しています。その中でも、ポプキン平原の大工場群が最大であり、中心的な存在なのであります。
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私たちはリマの街まで来てしまいましたが、その途中でポプキン平原の大科学工場地帯の一部を上空から眺めることが出来ました。そんな中でリマの街も工場地帯も、木樹に囲まれていて、自然と共存していることがわかりました。
「緑こそ自然の象徴といえましょう。自然と科学の調和は、どのようにお考えになっておられるのでしょうか?」
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科学はいろいろな変った波動を放散してゆきますが、その変化が周囲の緑によって吸収し浄化されてゆくことを十分に計算して、工場の大きさが決定されてゆきます。それも植物の持つ、浄化の限度いっぱいでなく、その能力の七〇%以上のものは設置出来ない仕組になっております。
水もそうです。ポプキン平原の湖は、どれを見ても自然そのままに見えましょう。水程波動を吸収し易いものはなく、その吸収されたものを次の段階で取除く、つまり浄化機能が完全に行われております。
地球での浄化装置では、その残渣が出ますが金星では波動の分離調整が自由に出来ますので残渣は出ません。水と自然の緑に恵まれたポプキン地区に工場が設定されたのも、金星の輝く歴史の一頁であります。
ポプキソ平原の大工場地区の建設も或る日忽然と出来だのではなく、先の農場と緑の関係のように長い歴史の過程を経て、三者の調和融合点を見出して現在に到っています。
こうした三つの相関関係を究明するまでには幾多の失敗と困難な事態に立到ったことが幾度もありました。そして、遂に科学者達の努力が実って現在のように自然と科学が見事に調和して、大きな生命の中での各自の役割を果しているのであります。
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私はM氏の説明と同時にバスの中から下をのぞき見ました。この基地は円半型ではなく円型のバス基地でありました。白い十字の吸引板が今しがたの太陽の光に輝いているのが眼に入ります。そのときでした、基地の上空に停止していた円盤バスがスーッと下降しはじめました。そのとき私は金星の引力は地球の何十分の1くらいのものではないかと思いました。
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波動の相違が根本になっているので、地球の引力と比較対照しようとしても、そのままでは対照になり兼ねるのです。でも人間の想念の習慣は直ぐに比較をしてみたいものです。 地球上での現世と霊界とをどのように対照して見ても真の対照にはなりません。それは波動の相違であり、異なる世界の状態をどのように接ぎ合せて見ても、水と油のように、調和し難いのが実状です。
いろいろと煎じ詰めても、やっぱり波動の相違という結果になりましょう。地球から円盤で金星に降り立つまでに、何回も波動の調整装置で調整されてから、次の場へ移りましたでしょう。あなたの波動が完全に霊化しなければ次の波動調整の場へ移行出来なかったあの時の事実を思い出して下さい。
次元の異なる世界への出入りには、必ず波動の調整が必要となります。従って時間の観念も距離つまり長さや空間の考え方も全く異なって参ります。
こうした観点にたって考えて見ますと、水も山も川も皆地球のような現れで、同じように見えるのでありますが、その本質においては全く異なったものであることがお分りになると思います。
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「今までは両方のけじめが不十分のまま過してまいりましたが、これからは、この相異点をはっきりさせて対処するようにとのご注意、本当に有難うございます」
私たちが話し合っているうちに円盤バスはリマの街に到着しました。
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