仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

【ことば】 落石注意

2009-05-05 22:47:45 | ことば
落石に注意せよ、といふ命令文なのだが・・・


山登りをしてゐると、石が轉がり落ちて來さうな地形に出會ふことがある。
たとへば、ガレ場と呼ばれる地形。
これは、崩壞した岩場から剥がれ落ちた岩が累々と積み重なつたところ。
かういふ地形を登る時には、前をゆく者は岩を崩さないやうに注意しなくてはならない。
それでも、何かに拍子で踏んだ岩を落してしまつた時には、即座に「ラク!」と叫ばなくてはならない。
ちなみに、この「ラク!」は落石のラクである。

かやうに、山登りでの「落石注意」は命に關はる重要なことなのである。
落ちてくる石に氣を付けるとともに、石を落さないやうに注意すること。
とくに後者は、これが守れないならば山に登るなといふほどに、重要なことだつたりする。

さて、本題に入らう。
山の中をくねくねと曲がりくねつてゐるやうな道路で、坂から岩が轉がり落ちたやうな標識をご覽になつたことはないだらうか。
あれは「落石注意」といふ標識なのである。
クルマを運轉してゐる時に、岩が上から落ちて來たら、はたして囘避できるだらうか?
私には全く自信がない。
だいたいクルマの屋根で遮られて上は見えない。
サンルーフのやうに上を見ることができるクルマでも、運轉してゐる最中に見るのは危險極はまりない。

では、なぜ、かやうな道路標識があるのだらう。
私の中では長いこと謎であつた。
あるとき、はたと氣が付いた。
あれは、「落ちてくる石に注意せよ」ではなく、「落ちてゐる石に注意せよ」といふ意味なのではないか。
「落石」といふと現在進行形の「落ちてくる」を思ひ浮べがちだが、「落ちた」といふ完了形なのだ、きつと。

あの標識は、道の眞中に大きな岩が落ちてゐる可能性のある道路(怖いなあ)で、使用されてゐるのだらう。
ほんたうかどうかわからないけれど、私のなかでは疑問解消。
めでたし、めでたし。



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