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仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

読書録 2025年4月中旬

2025-04-21 19:55:00 | 読書録(備忘)

4月16日読了
『剣客商売 番外編 黒白』(上下巻) 池波正太郎
1983年2月刊行

 再読。ぼくの好きな長篇。
 剣客・波切八郎の物語。人生、黒でも白でもない。いろいろな色があっていい。
 
 寛延三年(1750年)。
 秋山小兵衛32歳。小野派一刀流の剣客、波切八郎28歳。その門人、水野新吾19歳。
 波切八郎は翌年3月に秋山小兵衛と真剣勝負をする誓約をしている。
 門人の水野新吾が辻斬りをしていることを知って、波切八郎は水野新吾を切り捨てる。そして、弟子が辻斬りをしていたこと、それを成敗したことの責任を負って、波切八郎は道場を捨てて出奔した。
 
 橘屋忠兵衛とお信の世話になり、お信のからだに溺れ、お信の語るがままに高木勘蔵を切り捨てた挙句にお信に逃げられ、さらには忠兵衛の口利きで岡本弥助とともに過ごすことになった八郎。岡本弥助の頼みを受けて人を斬る生活を送ることとなった。
 
 翌年3月、秋山小兵衛は約束の場所で半日待ったが、波切八郎は現れなかった。剣の腕も人格も優れた波切八郎がなぜ現れなかったのか。
 たった一度の試合で小兵衛の剣士としての人柄に敬慕したからこそ真剣での立ち合いを申し込んだ八郎だったが、汚れた自分の剣で小兵衛と立ち合うことは出来ぬと思いきわめたのだった。

 そののち、波切八郎と秋山小兵衛の人生が交錯する。
 剣に生きる者としてやり直し、秋山小兵衛と真剣で立ち合いたいとの思いがつのり、丹波に行って剣の修行をすることに決めた八郎であったが…
 いかなる運命のいたづらか、岡本弥助を助けようと飛び出して立ち向かった相手が、まさかの秋山小兵衛だった…
 
 二十年後、京都の三条大橋で秋山小兵衛は右腕のない町人姿の男とすれ違う。ああ、自分が右腕を切った波切八郎は生きていた。
 熱くなった目頭を指で押さえて、秋山小兵衛は三条大橋を東に渡って行くのだった。 
 
 


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