仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

2/23_「Wine Bar Viola」

2010-02-28 00:54:52 | 仙丈放浪記
 
 
「割烹 なかじん」 でのワイン會が終はつて、次に行つた店がこちら。

「Wine Bar Viola 」 である。
この店は、「割烹 なかじん」から歩いて1分もかからない。

昨年11月に伺つた際 に、たいへん心地好い時間を過すことが出來たので、また行きたいと思つてゐた。
その時に、火曜日はすいてゐると聞いてゐたが、ちやうど良いことにこの日も火曜日。
これは是非伺はなければと思つた次第。

上の寫眞は前の通りから「Wine Bar Viola 」の窓を見上げたところ。







エレベーターで2階に上ると、右手にドアが見える。
ドアまでお洒落だ。
中はライトオーク調のカウンター席がメインで、大人つぽい落ち着いた雰圍氣が漂ふ。



私が入つた時にはちやうど客がをらず、しばらくは貸切状態。
オーナー・ソムリエの石井龍さんと話をしながら、スプマンテ、ワインを頂いた。
ワイン會でシャンパーニュ、ワインと頂きグラッパで締めた筈なのに、その2軒目にまたスプマンテから始めてワインを飮む。
もしかしてアルコール依存症か?


やがて、客がひとり入つて來て、私の左側、2席ほど間をおいたカウンターの端に座つた。
石井さんとの會話を聞くともなしに聞いてゐると、常連のかたらしい。
なにかの拍子に、私と石井さんの會話、彼と石井さんとの會話がシンクロして、その後は3人で話すやうになつた。


この會話の中で、 建仁寺の修行僧の謎 が解けた。


彼の謎解きは、以下の通り。

祇園で飮んでゐると、時々僧侶がカジュアルな服裝で飮んでゐるのを見掛けることがある。
これは、某淨土宗寺院の研修會で全國の寺から僧侶が集まる時に、その研修參加者が祇園に繰出してゐるのだといふ。
どんな格好なんですか?と尋ねたら、まさに今のあなたのやうな格好ですとのこと。
ちなみに、私はベージュのタートルネックセーターを着てゐた。

で、その淨土宗系の僧侶たちもせつかく京都に來たのだからと、近くの寺院を觀光するのだと。
建仁寺は禪宗なので、修行僧たちは節度ある生活を送つてゐる筈。
そこに、祇園で酒を飮んでゐる淨土宗系の僧侶が物見遊山で訪れれば、修行僧たちも面白くはあるまい。
私が建仁寺の修行僧にうろんな目で見られ、素つ氣ない對應をされたのはその所爲である。

どうしてこれが謎解きになるのか?
建仁寺の修行僧たちは、私のことを淨土宗系の僧侶だと思つたからではないかといふことだ。
つまり、私の頭がスキンヘッドであることが、あらぬ誤解を招いたといふわけ。

もちろん、彼のこの推理がことの眞相をついてゐるかどうかはわからない。
しかし、少なくとも私は、思はず自分の膝をハタと打つたのであつた。


「割烹 なかじん」で隣合せたHさんもタダモノではなかつたが、この人もまたタダモノではない。

若くして博識かつ論理的。
しかもそれが鼻につかないし、輕妙洒脱な語り口なので、周圍を卷きこんで話が彈む。
どこか浮き世離れしたところがあつて、時々子供のやうな表情で、自分の夢を語る。
それは、夢といふよりは目標に近いもので、彼の話を聞いてゐるうちに實現可能だと思へてくる。
どういふ仕事をされてゐる人かはわからないが、かなりの實行力がある人だと思ふ。

東京から關西に移り住んだといふ點で話が合ひ、互ひの年齡に話が及んだ。
私の目には40歳を少し出た位に見えたのだが、驚いたことに53歳。
私よりも年上なのであつた。
この年齡にして、少年のやうに夢を語り、それが實行可能だと他人に思はせるとは。

わづか數時間のうちに、タダモノではない人に2人も逢ふ。
京都といふ街は狹い街だが、底の見えない街だ。


午前1時。
その彼が歸つて行つた。
私も歸らうかと思つたが、一人きりだとなんとなく歸りにくい。
そこにちやうど電話があり、これから客が來るらしい。
客が來たら歸らうと思つた。

10分ほどして、若い男の2人組が入つて來た。
よし、歸らうと腰を浮しかけたら、2人組のうちのひとりが云つた。
「仙丈さんぢやないですか!」

なんと、 前日食事をした「京都ネーゼ」 の木原さんだつた。

「けふは、『なかじん』さんのワイン會だつたんですよね?
「まだ、こんなとこにゐるんですか?」
ここで石井さんが一言。
「こんなとこはないでせう!」

ワイン會の終はつたのが23時近かつたと云ふと、
「いまもう1時半ぢやないですか、ここへ來てからも2時間半ですよ」
と、まるで母親のやうな口をきく。

とにかく、彼が私の飮み過ぎを氣遣つてくれてゐるのは、よくわかつた。
考へてみればありがたい話だ。
私が「京都ネーゼ」に行つたのは、今囘で3囘目に過ぎない。
そんな私のことを心配してくれるのだから、やはり木原さんはいいヤツだ。


そんな木原さんの意を汲んで、早々に、いや、やうやく切り上げることにした。
飮んだスプマンテ&ワインは下の寫眞。
照明が暗くて寫眞が撮れないとぼやいてゐたら、エチケットに照明があたるやうに石井さんがボトルを傾けてくれた。

「京都ネーゼ」の森シェフと木原さん、「Wine Bar Rothko」の笹山さん、「なかじん」の中村さん、「Wine Bar Viola」の石井さん。
みなさん、よく氣配りの出來る、ホスピタリティ溢れる人たちだつた。
かういふ人たちのゐる京都の街が、私は好きだ。




















コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2/23_「割烹 なかじん」でワ... | トップ | 2010.02.21 ~ 2010.02.27 の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿