【昔の手帳から】 ５月２６日 （80年：睡眠藥、83年：大阪城）

【１９８０年】（１囘生）

睡眠藥購入
我が身の情けなさ！


月曜日。
前日、Ｈにふられてしまひ 、その晩は一睡も出來ずに悶々としてゐた。
思考は空轉し、自分の存在意義を否定する方向へと向つた。
擧句に辿り着いたのは、自らの存在を消し去ること。
朝になり、店が開く時間になるのを待つて、睡眠藥を買つた。
藥劑師は、くれぐれも飮み過ぎないやうにと注意をした上で睡眠藥をくれた。
いまの睡眠藥は一遍にたくさん飮んでも死ぬことはないが、３０年前の睡眠藥はまだ死ぬことも出來たのかもしれない。
少なくとも私は死ねると思つて買つたのだつた。

「我が身の情けなさ」といふのは、死ぬことを選ぶ情けなさ、ではない。
自分のレゾン・デートルを見いだせない、その情けなさ、であつた。




【１９８１年】（２囘生）

洗濯
緊縮財政帳をつけ始める


火曜日。
「緊縮財政帳」とは、何にいくら使つたを記録するノート。
意識せずに金を使つてゐると、いつの間にか金はなくなる。
使つた金を記録することで、金を意識して使ふやうになり、無駄な出費を抑へることが出來る。
それは間違ひないと思ふが、私は自分が面倒臭がりだといふことを忘れてゐた。
この「緊縮財政帳」、ちやんと記入してゐたのは最初の數ページだけで、あとは白いままだつた。




【１９８２年】（３囘生）

コピー代 ￥200
交通費 ￥190＋￥190＝￥380


水曜日。
當時はコピーがまだ高い時代だつた。
ふつうのところで１枚につき￥50はしたと思ふ。
百萬遍の北西にあるコピー屋が一番安くて、￥20だつたやうな氣がする。
いや、もしかすると、この年にはもう￥10になつてゐたかもしれない。

交通費は枚方の塾までの交通費だと思はれる。




【１９８３年】（４囘生）

11:00 梅田
大阪城　→　梅田　→　枚方
秋田沖地震（Ｍ7.7）


木曜日。

前年１０月から６度目のＨとのデート。
５月１４日 以來だから、１２日ぶり。
その前は３ヵ月も間があいてゐるから、１２日ぶりはむしろ短いくらゐ。
待ち合せ場所は阪急梅田のビッグマン前だつたかな？
それで秋田沖地震のニュースを見たのだつたと思ふ。
大阪でも少し搖れたんぢやなかつたかな？

大阪城か。
確かに行つた記憶はある。
でも、それがこの時のことだつたかは自信がない。

それはともかく、この時に枚方に行つたのはまるで覺えてゐない。
一度、枚方の塾に一緒に行つたことがあつたが、その時は塾にオオモリがゐたので火曜日の筈。
そもそも木曜日には、私は塾で教へてゐない筈。
何か用事があつて、それで彼女につきあつて貰つたのだらうか？
だとすると、我ながらあまりにわがまま過ぎる・・・
ゴメンね、Ｈさん、て、いまさら遲いし。