20101024_東京スカイツリー見物

サントリーホールでポリーニの演奏を聽いた翌日。
せつかく東京に出るのだから、お上りさんと云はれようとも、どこか東京見物をしようと思つてゐた。
とりあへず思ひついたのが、 東京スカイツリー 。
なんでも世界一高い自立式電波塔を目指して、完成のあかつきには６３４ｍになるらしい。
民主黨の誰かさんに、「世界一ぢやなければダメなんですか？」なんて云はれたら、いつたいどう答へるのだらう。
ちなみに、なんで６３４ｍなのかといふと、「武藏（ムサシ）」で覺えやすい數字だから。
まあいいけどね。


＜東京スカイツリー公式サイト「TOKYO SKY TREE」より轉載」




前日に少し飮み過ぎた所爲か、目がさめたら１０時で、１１時ギリギリにチェックアウト。
荷物はホテルで預つて貰ひ、財布やカメラなどの必需品だけ持つて、いざ出發。
ＪＲで淺草橋まで行き、そこから都營地下鐵淺草線で押上まで。
押上。
懷かしい響きだ。
高校３年まで京成電車を使つてゐたので、「押上行き」の電車にはよく乘つたものだ。
「押上行き」つて云ふけど、押上つてどこにあるんだ？
そんなところに誰が行くんだろ・・・
などと、子供ごころに失禮なことを思つたものだ。
なので、押上に來たのはこれが初めて。

驛を出たところから見たスカイツリーはこんな感じ。（上の寫眞）
直下から見上げてゐるので、高さを感じない。
それでも前日２３日現在で４９７ｍだつたらしいから、既に東京タワーより１６４ｍも高いのだ。
でも、正直に云つてもいいですか？
なんか不細工なんだよなあ。
通天閣をでかくしたと云ふか、京都タワーを太くしたと云ふか・・・
「高さはもちろん、美しさや親しみでも世界一になりたい。」
なんて公式サイトに書かれてゐるけど、完成したら美しくなるんですかねえ・・・・

そんなネガティヴな感想を抱きながらも、「クソ、ビルが邪魔だ」などと呟いて、もつとよく見える場所を搜して移動した。







スカイツリーを睨みながら少し歩くと、小さな橋のたもとから、ビルに邪魔されずに見えた。
でも、遠近法といふのか、手前のビルが大きく見えるお蔭で肝腎のスカイツリーの巨大さが感じられない。
これぢやあ、私が少年時代を過したＨ團地の給水塔とドッコイドッコイだ。

近すぎると見えなかつたことが距離をおいてみると見えてくる、といふこともある。
こうなれば乘り掛かつた舟だ。
私は大きな通りを歩いてスカイツリーとの距離をとることにした。







道路標示によると、大きな通りは淺草通りと云ふらしい。
「業平１丁目」とか「吾妻橋３丁目」とか、「伊勢物語」や「古事記」を思ひ出させる地名が出てくる。
上の寫眞は、たぶん「業平１丁目」交差點を過ぎたあたりから撮つたと思ふ。







こちらは、上の寫眞からさらに少し離れたところ、「吾妻橋３丁目」交差點を過ぎたあたりからだと思ふ。
畫面右下に黄色いクルマが停つてゐるが、これ、クルマを止めて、クルマから降りて、しかも私のゐるところまで來て、オバサンがスカイツリーの寫眞を撮つてゐた。
東京のオバサンも大阪のオバチャンに負けてゐない。
日本全國津々浦々、やはりオバサンは最強だ。







スカイツリーはもういいや。
さて、これからどうしよう。
ふと思ひついたのが、いま自分のゐる通りが淺草通りだといふこと。
このまま進めば、たぶん淺草に出るのだらう。
よし、歩かう。
といふことで歩いてゐたら・・・
「なんぢや、こりやあ！」
思はず松田優作になつてしまふほどのキテレツなモノ。
まるで金色のキジ（＊）ではないか！
しかも、これは健康で絶好調の時のキジだ。
いつたい誰が何の爲に何を考へてこんなものを造つたのだらう・・・

（＊）山登りをする連中の隱語。詳しくは こちら を參照されたし。







やがて、隅田川が見えてきた。
子供の頃、國電で隅田川を渡る時にはみんなして窓を閉めたものだが、いまはもうあの臭氣はない。
國が長期的な展望のもとで手立てを講じれば、あんなに汚かつた川もここまで綺麗になるのだ。
必要なものはビジョンであつて、子供手當ではない。

隅田川にかかる吾妻橋を渡る。
振り向くと、をを、あの金キジ・オブジェが燦然と輝いてゐるではないか。（曇つてゐて輝いてないけど）
さらば金キジ、ご機嫌よろしう。また來る時にも・・・（自肅）







吾妻橋を渡り終はつた交差點でみんなが携帶で寫眞を撮つてゐる。
何事やあらんと振り向いたら、金キジの横に金ビルを挾んでスカイツリーが姿を現はしてゐた。
うんこれはいい。
「高さはもちろん、美しさや親しみでも世界一になりたい。」 といふスカイツリーと金キジ・オブジェ。
なんだかシュールでいいぞ。
今囘のベストショットはこれで決まり！







＜使用カメラ：Canon PowerShot G11＞