よーくみてごらん。
さくらのはなを。
さくらのはな、は、何色だい?
桜色?
さくらいろ、って、何色だい?
よーくみてごらん。
さくらのはなを。
「満開」って、いつのことだい?
ニュースで言ってたもん。
そう。
で、君のさくらの「満開」はいつ?
よーくみてごらん。
さくらのはなを。
春風に舞う花。
芽吹く若葉。
盛りを過ぎて、忘れられる、さくらのはなを。
よーくみてごらん。
---
3月の27日ごろ。
ニュースで、「満開の桜に…」という声を聞く。
気象庁や報道機関は九段・靖国神社の標本木を基準にしていると聞くけれど、
もう本当に満開を迎えているのかな?と思った。
目白・学習院の杜の桜は、その頃はまだ8部咲き。
花はだいぶ咲いたけれども、枝には、まだ濃いピンク色の蕾たちが、開花のための暖かな日差しを待っていた。
30日の夜には、いよいよほとんどの花が開いた。
これまでに咲いていた花も一層開いて、枝の先にいくつもの、まん丸な花房。
木全体も、咲き誇る花々でふっくらと装っているようだ。
それでいて、枝にはまだ、緑の新芽はない。
こうなってこそ、「満開」というもの。
なので、“僕の今年の桜”は、3月30日を「満開の日」ということにした。
翌31日の夜には、同じ木に、小さな若葉の芽。
さくらのはなのとき、というのは、本当に早くて。
だからこそ、ひとは、これほどまでに、さくらを愛でるのかも知れない。
日曜には雨、との予報だから、「お花見」のピークは土曜だな、なんて思いながら、
近所の神社へ。
そこには、いつも誰もいなくて、静かに花見が出来る。
僕の毎年の場所なのだ。
都内と郊外とでは、たぶん3日ほど、花の時期がずれている。
少し遅い夜桜を見上げながら、巡る時を想ってみる。
週末には少しの雨。
週明けには強い風。
そうして、「さくらのはな」は往く。
春の日に、色褪せて、
春の雨に、散ってゆく。
次の週末には葉桜で、花見をする人もいないだろう。
けれども、僕は。
そんなさくらのはなを、じっくり眺めていたいと思うのだ…。
---
シリーズ「よーくみてごらん。」
よーくみてごらん。1 かわいい苔の…
よーくみてごらん。 2 東京の谷間に…
よーくみてごらん。 3 さくらのはな…
よーくみてごらん。 4 PSE法 ~法律・官僚と、個人・動物
さくら関連記事:
春分2005 ~桜を待つヒト・桜が待つハル
清明2005 ~春のしらべ 花咲き芽吹く季節
春分2006 ~花々笑う、僕らも笑う
ハル ノ イロ
桜をみるひと ~西行、植木屋、そして僕らも…
よーくみてごらん。 3 さくらのはな…