[ 注釈 ]
* p.79. l.2-5 : observateur は「移民問題を注視している人々」ということですから、たとえば「識者」なんて訳はどうでしょう。; communaute’s d’orgine immigre’e 「移民出身者が寄って生まれたコミュニテイー」
「こうした経緯から多くの識者は、移民出身者からなるコミュニティーがやがて西洋社会に溶け込んでゆくといった見通しを一から見直すこととなった。」
* p.79. 下から3行目から p.80.l.2 まで : ここで Ironie といっているのは、フランス市民 意識:イスラム系移民とアメリカ市民意識 : プロテスタント(アメリカ建国の原動力となった)という、いわば対照的な取り合わせながら、意識調査の結果がほぼ同一であったからでしょう。
[要旨]
2001年9月11日の事件を機に「文明の衝突」とまで言われ出したが,ことフランスに関する限り、この地のイスラム系移民は原理主義的傾向がもっとも少なく、社会への統合の意思において際立っている。そのことは、アメリカの調査機関によるフランス・イギリス・ドイツ・スペインのイスラム教徒に対する意識調査によって確かめられる。1) フランスのイスラム系移民は、宗教の影響力の低下や、女性の役割の変化よりも,失業問題に関心がある。2) 自身をまずイスラム教徒と考えるか、フランス市民と考えるかという質問に対して,42%が「市民」と答えている。3) 62%のイスラム系移民が、女性を取り巻く状況はイスラム諸国に比べてフランスの方がよいと答えている。4) 78%がフランスの生活習慣を身につけたいと考えている。
………………………………………………………………………….
p.80. l.12以下は、また次回に扱います。Lecon 143 では、p.80 の Autre signe からla re’ussite scolaire まで訳出してみて下さい。いつものように、23日(水)に試訳をお目にかけることとします。
* p.79. l.2-5 : observateur は「移民問題を注視している人々」ということですから、たとえば「識者」なんて訳はどうでしょう。; communaute’s d’orgine immigre’e 「移民出身者が寄って生まれたコミュニテイー」
「こうした経緯から多くの識者は、移民出身者からなるコミュニティーがやがて西洋社会に溶け込んでゆくといった見通しを一から見直すこととなった。」
* p.79. 下から3行目から p.80.l.2 まで : ここで Ironie といっているのは、フランス市民 意識:イスラム系移民とアメリカ市民意識 : プロテスタント(アメリカ建国の原動力となった)という、いわば対照的な取り合わせながら、意識調査の結果がほぼ同一であったからでしょう。
[要旨]
2001年9月11日の事件を機に「文明の衝突」とまで言われ出したが,ことフランスに関する限り、この地のイスラム系移民は原理主義的傾向がもっとも少なく、社会への統合の意思において際立っている。そのことは、アメリカの調査機関によるフランス・イギリス・ドイツ・スペインのイスラム教徒に対する意識調査によって確かめられる。1) フランスのイスラム系移民は、宗教の影響力の低下や、女性の役割の変化よりも,失業問題に関心がある。2) 自身をまずイスラム教徒と考えるか、フランス市民と考えるかという質問に対して,42%が「市民」と答えている。3) 62%のイスラム系移民が、女性を取り巻く状況はイスラム諸国に比べてフランスの方がよいと答えている。4) 78%がフランスの生活習慣を身につけたいと考えている。
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p.80. l.12以下は、また次回に扱います。Lecon 143 では、p.80 の Autre signe からla re’ussite scolaire まで訳出してみて下さい。いつものように、23日(水)に試訳をお目にかけることとします。
他の指標も同じことを示している。移民家族の教育に関する期待である。マグレブ出身の工場労働者や被雇用者の家族は、自分たちの子供が高等教育をうけることを、同じ社会階層のフランス人家族よりもより強く望んでいる。彼らは男の子の40%、女の子の54%にその期待を持っているのに、一方フランス人工場労働者や被雇用者たちは、男の子に21%、女の子に36%しか、そのような将来を思い描いていない。一般的な階層のフランス人はエリート再生産社会の現実を彼らの生き方に組み込んでしまっているからだ。しかしながらマグレブ出身の移民たちは、いまだに「フランス的模範」や、すべての人に開かれていて社会的成功に基づいた能力主義の理論的約束を信じている。
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偽りのない別の特徴:移民の家庭の教育についての望み。マグレブ出身の労働者や勤め人の家庭はフランス出身の同じ社会階層の家庭よりも、子供が高等教育を受けることを望んでいることが多い。彼らは、息子の40%、娘の54%についてこうした望みを持っているが、フランス出身の労働者や勤め人は、21%の息子、36%の娘にしか、こうした未来を思い描いていない。一般大衆のフランス人は、エリートの社会的な再生産という真実を自らの行動に取り入れている。しかし、マグレブ出身の移民は、「フランスのモデル」や、皆に開かれた、教育の成功に基づくエリート支配という理屈の上での約束を、まだ、信じている。
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裏づけられる他の兆候:移民家庭の教育熱である。マグレブ系の労働者あるいはサラリーマン家庭は、同じ社会階層のフランス人家庭よりも、自分の子供たちを高等教育課程に進ませたいと思っている。そう希望する彼らの子供たちは、男子40%、女子54%にのぼるが、一方フランス人労働者やサラリーマン家庭では、そのような将来を男子では21%、女子では36%しか描いていない。一般階級のスランス人には、エリートの社会的輩出の可能性は、それぞれ自らの行動によるものとなった。しかし、マグレブ系移民たちは、依然として「フランス的模範」があると疑わず、誰にでも通じる、学業の成功に基づく成績主義の形式的な約束を信じているのである。
誰しも高い教育を望むのはよいことと思いますが、スーパーエリートになれるかどうかは別として、教育を受ける機会が均等にあるといいですね。
娘に対する数字のほうがいずれも高いというのは面白く思いました。息子たちは自ら望んでいるからなのでしょうか。
別の数字、すなわち移民家族の教育に関する望みについても同様の結果を示している。マグレブ出身の労働者や会社員の家族は、フランス出身の中流階級の家族よりも、子供が高等教育を受けることを強く望んでいる。彼らは息子の40%に、娘の54%にこの望みを表明している。一方フランス出身の労働者および会社員は息子の21%に対し、娘の36%に対してしか、このような未来を描いていない。大衆層のフランス人は社会がエリートを再生産するという現実を行動の中に取り入れているが、マグレブ出身の移民たちは今なお、『フランスの理想』を信じ、エリート支配が全ての人に開かれていて社会的成功に基づいてるという理論上の約束を信じている。