月読命

すももが好きなアニメで貴腐人的な妄想話&日々の出来事等

セピア(仮題)

2007年07月27日 20時06分09秒 | ハンサムエロ商人×15 SS
今にも雨が降り出しそうな午後、買物に出掛ける途中で通りがかった公園で見かけた学生
達の喧嘩。
オレンジ色の髪をした子に向かって数人が挑んで行くが、彼は上手くあしらい優勢に立っ
ていた。
関わり合いたくないと誰もが見て見ぬ振りをし、通り過ぎてゆく…自分もその一人。


買物を終え、店を出るとやはり雨が降っていた。
「帰るまで降らないで欲しかったんっスけどねぇ」
独り言を言い、出来れば使いたくなかった雨傘を広げ、雨の中を歩いて行く。


行きしなに喧嘩があった公園の前を通ると、オレンジ色した髪の子が傘もささずにしゃ
がみ込んでいた。


さっきは見て見ぬ振りをしたのに…
「……怪我してるの?」
俯いていた顔を上げ、私を睨むように見つめる。
「私ん家、直ぐそこなんで寄って行きません?このまま雨の中にいたら風邪引きま
 すよ」

胡散臭そうに見つめている子に傘を半分かざす。
立ち上がろうとするが、足首を押さえ膝を付く。

「足を怪我してるんっスか……ねぇ、傘持って貰えます?」
彼に傘を持たせ、空いた手で彼の腕を掴むと私の肩に腕を回させ、<よいしょ>と言っ
て立ち上がらせた。

「私の肩に体重かけたら、歩けますか?」
「……何かと」
「じゃあ、ゆっくり歩きましょうか」
ゆっくりとしたペースで雨の中を、彼の腰に腕を回して支えながら帰る事に。





「さぁ着きましたよ」
「………ここがアンタん家?……」
「はい、そうですよン」
そこは蔦が全体を覆っていて、見えるのは入口の扉と僅かに見える看板の<Moon>の
文字。

<ここ、人住んでんだ>

支えてくれていた男が扉を開けると<カランカラン>と扉の内側に付けられていたベルの
音が響く。


「テッサイ~、タオルを何枚かと薬箱を持って来て下さい」
誰か居るのか、大きな声で言う。暫くすると奥からエプロンをした大きな男がタオルと
薬箱を持って現れた。
「お帰りなさいませ店長。何処かお怪我でもされましたか」
「いや、私じゃなく、この子っスよ」
大きな男はタオルと薬箱を店長と言った男に手渡した。
手渡された男はタオルを数枚、俺にも渡してくれた。
「頭とか拭かないと風邪引きますよ。って言っても…その恰好じゃ確実に引きそうです
ねぇ」
俺を連れて来た男は上から下へ見下ろし、奥から現れた男に着替えを持って来るように
言うと男は、俺を近くにあった椅子に座らせると、その場に膝間つき痛めた足首を触り
始めた。


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