久々にSSをUPさせて頂きました。
下記の作品は、今活動しているジャンルで無料配布させて頂いたものです。
桜並木から、少し離れた場所に樹齢500年ほど経っていると言われている
桜が今年も満開に咲きほこっている。
その樹のしたに佇む影に仁鏡は声をかけた。
「乱童」
「おっ、いいの持ってるじゃねぇか、仁鏡」
「まだ終わりそうにないか?」
「場所がわりぃからなぁ」
今は桜並木になっているこの辺りは昔、合戦場であったり、流行り病で亡くなった
人の遺体置き場にされたりして、霊が留まりやすい場所になっていた。
「春の陽気に誘われた人と同じように、出て来たようだな」
「毎年ここに来て聴いてはいるが、いつ終わるか見当もつかねぇ」
「これでも飲みながら、聴けばいいだろ」
「これって、御神酒じゃねぇか。…まぁ、いいか」
差し出された紙コップに酒を注いで貰い、乱童はグッと呑みほして再び聴き
とどけを再開させた。
「よく言ったものだな。 桜が艶やかに、そして妖しく咲きほこるのは
死体が埋まっているからだと…」
仁鏡は風でヒラヒラと舞い落ちる桜の花びらの向こうにいる乱童を眺めながら、
酒を呑むのだった。
下記の作品は、今活動しているジャンルで無料配布させて頂いたものです。
桜並木から、少し離れた場所に樹齢500年ほど経っていると言われている
桜が今年も満開に咲きほこっている。
その樹のしたに佇む影に仁鏡は声をかけた。
「乱童」
「おっ、いいの持ってるじゃねぇか、仁鏡」
「まだ終わりそうにないか?」
「場所がわりぃからなぁ」
今は桜並木になっているこの辺りは昔、合戦場であったり、流行り病で亡くなった
人の遺体置き場にされたりして、霊が留まりやすい場所になっていた。
「春の陽気に誘われた人と同じように、出て来たようだな」
「毎年ここに来て聴いてはいるが、いつ終わるか見当もつかねぇ」
「これでも飲みながら、聴けばいいだろ」
「これって、御神酒じゃねぇか。…まぁ、いいか」
差し出された紙コップに酒を注いで貰い、乱童はグッと呑みほして再び聴き
とどけを再開させた。
「よく言ったものだな。 桜が艶やかに、そして妖しく咲きほこるのは
死体が埋まっているからだと…」
仁鏡は風でヒラヒラと舞い落ちる桜の花びらの向こうにいる乱童を眺めながら、
酒を呑むのだった。