月読命

すももが好きなアニメで貴腐人的な妄想話&日々の出来事等

プチ飼育シリーズ

2010年05月17日 23時38分19秒 | チビ15 SS
 △月◎日 晴れ

数日降っていた雨が上がったので、一護さんと散歩に出掛けた。

「一護さん、水溜まりが沢山ありますから、足元気をつけて下さいね」
「うんっ!」

一護さんはとことこと歩いては、大きな水溜まりでしゃがみ込んで水面を覗きながら
のお散歩。
そんな一護さんを見ながら私もフラフラと歩く。



私が水溜まりを避けよとしたら…
「きしゅけっ!あぶゅにゃい!!」
一護さんは私の袴を引っ張った。そして、ホッとした表情で私の方を見上げる。

「有難うございます、一護さん。」
ニッコリと笑い、私は一護さんを抱き上げて足元が見えないようにする。

袴を引っ張られ、少しバランスを崩してしまい水溜まりに入ってしまった事を一護さんに
気づかれないように、さっさと水溜まりの道から脱出してしまいましょ。





                                   おわり




*****************************************

 チビ15さん、浦原氏を助けるつもりが…あうちっ。のお話です。(笑)
浦原氏を助けて御満悦なチビ15さんを見て、何とも言えない心情なんでしょうねぇ、浦原
氏は。(苦笑)

春探し

2009年03月15日 21時59分45秒 | チビ15 SS
□月★日 晴れ

冬は寒くて室内で遊ぶ事が多かった一護さん。
昨日までは寒かったが今日は陽射しが暖かいので、そわそわしながら外を
覗いている。

「お天気もいいようですし、お散歩にでも行きますか?」
私の一言で、蕾だった花が咲くかのように一護さんが微笑み、『うん!』と
大きく頷く。そんな一護さんを見ると私まで顔が綻んでしまう。





私の前をテケテケッと小走りで歩く一護さんに『こけなきゃいいなぁ』と
思っていたら、案の定ポテンッと尻餅をついた。

「怪我はありませんか、一護さん?」
いつもならサッと起き上がるのに尻餅をついたままの状態でいる事に心配し、
近寄ると身を屈め一護さんを除き込む。しかし一護さんはそんな私に気付かず、
道の端をジッと見ていた。
私も一護さんが見ている方に視線を合わせると…ピョンと跳びはねる小さな物体。

「蛙っスか。今日の陽気に誘われて冬眠から覚めたみたいっスね」
「きゃえる…とーみん?」
「蛙は冬の間、土の中でずっと眠っいて、暖かくなると眠りから覚めて地上に
 出て来るっスよ」
一護さんを起こしながら冬眠の説明した。

「怪我はないようですね」
「きゃえる、いちごのあち、ぴょーん。ちょちたら、ぽてんちた」
一護さんの言い分だと、『歩いていた一護さんの足元に蛙が跳びはねて来て、
びっくりして尻餅をついた』らしい。

「蛙は一護さんに春を告げに来たのかも知れませんね」
「はりゅぅ?」
「お散歩しながら春探しでもしてみますか?」
「ちゅる!いちご、はりゅみちゅけりゅ!!」





「きしゅけ~、こりぇは?」
「土筆を見つけましたかぁ。土筆は暖かくなると芽を出す植物っス。それ佃煮
 にすると美味しいんですよ。摘んで帰って、テッサイに作って貰いますかぁ」
「うん!」
土筆を摘みながら、他にも春を探す一護さん。

「もうじき、タンポポの花が咲きそうっスね」
蕾の先が黄色くなっているタンポポ。
「ちゃんぽぽ?」
「一護さんの髪程オレンジではないですが、黄色い花が咲くんっスよ。もっと
 暖かくなった頃、お弁当を持ってまた来ましょうか、この一帯蓮華草みたいで
 すし、花が咲いたらキレイっスよ」
「うん!」
一護さんは両手イッパイに土筆を持ち、元気に頷いた。
「日が傾いてきましたし、そろそろ帰りましょうか」



こんな小さな子一人で、ココロが暖かくなるなんて……永い時を生きてみるもんっ
スねぇ。




「一護さん、走るとこけ……あっ、またこけた」





終わり



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 久々にチビ15を妄想してみました。

かぜひきさん ①

2008年12月30日 22時48分02秒 | チビ15 SS
▼月◎日 晴れ

「くしゅ…くしゅん………うきたけしゃんときょ、いっちくりゅ…ケホンッ…
 クシュン」
「テッサイ」
「承知。…黒崎殿、失礼致します」
私はテッサイに声を掛けると、出掛けようとしていた一護さんを抱き上げ、私の
方へ連れて来る。

「……風邪のようですね、熱があります。 一護さん、四番隊に行きましょう。
 だから浮竹さんのところに行くのは諦めて下さい」
「うきたけしゃん、やくちょくちた」
テッサイから下ろして貰おうと一護さんは、足をバタバタさせる。
「一護さん、浮竹さんは治らない肺の病気を患ってられます。風邪を引いた
 一護さんが行って、浮竹さんに風邪が移ったりしたら命に関わってきます。
 私の言っている意味、分かりますか?」
「うきたけしゃん、いちごいちゃら、ちんじゃうの?」
「今の状態の一護さんが行けば、そうなる可能性はあります。だから一護さん、
 卯ノ花さんのところに行って早く風邪を治しましょう」
「……ぅん」
テッサイから一護さんを受け取り、後の事をテッサイに任せ、私は四番隊隊
舎へ向かった。



「咽の奥が赤くなってますね。熱も出始めているようです。勇音、注射の
 用意を。 一護さん、チクリと痛みますが、明日には楽になるので我慢し
 て下さい」
「……ィャ……」
注射器を見た一護さんは口をヘの字にし、眉間に皺を寄せ、ギュッと私の
袴を握り締め瞳を閉じ、頭をプルプルと振る。
「一護さん、早く風邪を治さないと浮竹さんのところに行けませよ?注射を
 して、じっと養生していたら2・3日で治るはずです」
「………ちゅる」
「流石、一護さん。早く治して浮竹さんとの約束守りましょうね」
一護さんを抱き上げ、背中をトントンとしている間に卯ノ花さんに注射して
貰った。
勇音さんに一護さんを任せ、一護さんに飲ませる薬の説明と今後の状況に
ついて卯ノ花さんから説明される。
「今夜にでも熱が上がると思われますので、汗をかいたままにすれば治る
 ものも治りませんので、着物を着替えさせて下さい。あと水分補給も忘れ
 ずに。薬は液状飲み薬を三日分ご用意致しますので、毎回食後に飲んで
 貰って下さい」

薬を渡され、部屋を後にし一護さんを自宅へと連れ帰り、蒲団に寝かせる。
「一護さんの風邪が治るまでここに居ますよ」
「ほんちょ?」
「嘘ついたら、針千本飲みましょうか?」
一護さんは首をプルプルと振り、<ケホンッ、ケホンッ>と咳込む。
「さぁ、体を休めて眠って下さい。目が覚めたらご飯にしましょう」
寝付くまで一護さんの髪を撫でてあげた。



「一護さん…一護さん」
「んんっ~」
「起きれますか?……まだそんなに熱は上がってませんね」
額をコツンと突き合わせ、一護さんの熱を確認する。
「テッサイが夕食にお粥を作ってくれましたよ。それにだし巻きも。
 …食欲が無くても、少しだけでも食べて下さいな」
起き上がった一護さんの肩に私の羽織りをかけ、お粥をすくったレンゲ
にフーフーと息を吹き掛け冷ますと一護さんの口元に運んだ。
「どうですか?まだ食べられそうですか?」
「ちゃべりゅ」
「食欲はあるみたいですし、大丈夫そうですね」
一護さんはお粥とだし巻きを半分以上食べ、四番隊から貰った飲み薬を
飲むと再び蒲団へ寝かしつけた。
一護さんが眠っている間に、たまっていた資料を纏める為自室で仕事を
する事にした。

「……け……ゅけ…きしゅけ」
「一護さん!? どうかしましたか?具合、悪くなったんっスか!?」
「ちあう……クシュン!」
「一護さん、早く部屋に入って下さい。…どうしたんですか?あんな
 所にいたら風邪が悪化して、浮竹さんのところに行くのが遅くなって
 しまいますよ」
襖を開け、廊下に立っている一護さんを私の部屋に招き入れた。
何故部屋に来たのかを尋ねても一護さんは口をギュッと閉じ、俯むいて
しまう。

「私の部屋は寒いですから、一護さんの部屋に戻って蒲団の中に入り
 ましょう」
一護さんを抱き上げ部屋に連れて行き、少し熱が出始めたのか、汗を
かいた着物を素早く着替えさせると蒲団に寝かせた。
瞳を閉じた一護さんを見ていたが、資料整理の続きをする為、部屋に
戻ろうと立ち上がると…
「ぎじゅけ?…ケホッン、ケホッン」
「苦しいっスか?」
首を振るが、熱で一護さんの瞳が潤んできていた。
「水分補給しておきましょう、一護さん」
枕元に用意されていた水を一護さんに飲ませた。
「さぁ、眠って下さい」
蒲団の横に座り直し、一護さんの髪を撫でる。

そぉっと立ち上がろうとしたら、袖が何かに引っ張られる。
「…ぎじゅけ?ケホンッ……ぢょこいぐの?」
「何処も行きませんよ、一護さん。さぁ眠って下さい」
掠れた声で尋ねる一護さんに微笑み、私の袖を握っている小さな手を
ポンポンと叩くと一護さんは頷き瞳を閉じた。

体が弱っているせいか、いつもは見せない弱気な姿を私に見せる。
「早く良くなって、元気にしているアナタを私に見せて下さいな」
寝息をたてて眠る一護さんの手の中に私の指がギュッと握られていた。


この私が看病をする日が来ようとは、思いもよらなかったっスね。



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もぉ少し、続きます。(^_^ゞ



かぜひきさん ②

2008年12月30日 22時36分39秒 | チビ15 SS
▼月☆日 晴れ

一護さんが風邪を引いて四日が経った。
卯ノ花さんからも<もう大丈夫ですよ>とお墨付きを貰ったので、ずっと
約束を延ばしていた浮竹さんのところへ一護さんは行くと言う。



「こんにちは、物々しいっスね。浮竹さんに何かあったんっスか?」
「これは浦原隊長!いえ、これは……」
雨乾堂の襖の前で小椿さんが立っていたので、浮竹さんの具合が悪いのか
と尋ねてみたが、中から聞こえて来る声でそれは違っていたと知らされた。



「浮竹隊長、どちらへ?」
「あっ…ほら、厠へ行こうかと」
「厠すか。それならたもとに入っている、マスクやお菓子等は不要ですから
 置いて行って下さい。俺も厠、お供します」
「………海燕…」

障子を開け、部屋の中に入る。
「浮竹さん、お邪魔しますよン」
「うきたけしゃん、おぢゃまちましゅ」
一護さんは私を真似て言う。
「おっ一護、もう風邪はいいのか?」
「うん、らいじょうぶ!」
志波さんにニッコリ笑う一護さん。
「隊長、もう一護の所に行かなくて良くなりましたよ。一護の風邪は治っ
 たようですし、好きなようにして下さい」
「一護君、見舞いに行かなくてすまないな。海燕達や京楽が寄ってたかっ
 て、『一護君の所に行くのを禁止』と言って、ここから一歩も出して貰え
 なかったんだ」
「当たり前でしょ!病人が病人の見舞いに行くなんて、ありえねぇですよ。
 ましてや一護の風邪が移ったら、隊長マジやばいんですよ!!」
「いや、移らないようにマスクを…」
「浮竹さん、菌は死霸装にも着きますよ」
「うきたけしゃん、ちんじゃらめ!」
一護さんの言葉に浮竹さんは苦笑すると、一護さんの頭を優しく撫でる。
「一護君にも心配かけたようだな、すまない」
「うきたけしゃん、やくちょく…ごめんらしゃい」
そう言えば私は、一護さんと浮竹さんは何の約束をしているか聞かずにいた。

「一護君が風邪だったから仕方ないさ。遅れても構わないよ」
「……うきたけしゃん、おたんぢょうびおめれとう!!」
「有難う、一護君」
どうやら約束と言うのは、浮竹さんのお誕生日を祝う事だったらしい。



あれから一週間経って、今度は私に一護さんがお祝いの言葉を……
「きしゅけ!おたんぢょうび、おめれとー!!」
首にギュッと抱き着いて祝ってくれた。



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 一応と言うか、無理矢理?に旧12番隊隊長のBD話にもってゆきました。f^_^)

ひみつ

2008年11月10日 20時31分41秒 | チビ15 SS
◆月○日 曇り

最近、何だか一護さんは私に隠し事をしているようだ。

「さぁ一護さん、首隊室に行きましょうか」
一護さんを伴い十二番隊へ行こうとすると、一護さんは首を振って
イヤイヤとするので、抱き上げようとする手が止まってしまう。

「いちご、じぃーちゃとこゆく」
「……山本総隊長とこっスか?」
「うん」
「じゃあ、一番隊に立ち寄ればイイんっスね」
「!…いちご、しとりゆく!」
「私の家からじゃ、一番隊隊舎まで距離ありますよ?」
「きしゅけ、らめ!いちご、しとりゆく!!」
キッと私を睨み上げ、譲る気のない一護さん。
「では、気をつけて行ってらっしゃい。…あっ、お昼はテッサ
 イがお子さまランチって言うのを作るそうですよ」
「おこしゃまりゃんち!!」
以前、テッサイに『今度作ってみます』と聞かされていた一護さん
の顔が一瞬にして笑顔に変わった。
「お昼一緒に食べましょうね、一護さん」
「うん!いっちぇきましゅ~」



小さな手を大きく振りながら、一護さんは一番隊舎へと向かっ
て行く。
「………前見て歩かなきゃ…あっ!やはり、こけた」
私の予想通り一護さんはこけたが、素早く起き上がり、また歩き
出した。
「今日もフラれましたか。 さぁて、私も行きますかぁ」
最近、一護さんは私と一緒に護廷に行ってくれないのだった。





お昼になり、一護さんは十二番隊舎に帰って来た。
「たーたーいまー」
「お帰りなさい、一護さん。きょうは秋晴れのイイ天気ですし、
外でお昼にしましょうか」
「お帰りなさいませ、黒崎殿。 隊長、それはよろしゅうござい
 ますなぁ。では、外にご用意致します」
私達は色付き始めた紅葉の側で、敷布を引いてお昼を食べ始めた。
テッサイお手製のお子さまランチを見た一護さんは瞳をキラキラさせ、
どれから食べようか悩んでいると窓から声がかけられた。

「兄らは、何をしている」
「これは朽木さん。何って、お天気もイイのでココでお昼を食べよ
 うとしてるんっスけど?」
「びゃくやぁ~、れーぢ~、いっちょちゃべよ」
一護さんに誘われ、断れなくなった朽木さんと阿散井さんが加わり、
そして廊下を歩いていた浮竹さんと朽木さんの妹さんも一護さんに誘われ、
一緒に庭でお昼を食べることに。
テッサイのお弁当だけでは足りないかと思われたが、急遽作られた朽木家
特製弁当も加わり、豪華絢爛なお弁当が所狭しと並べられた。


「りゅきゃ、ちゃっぴぃ、あげぇりゅ」
「これは一護の林檎ではないか」
「一護さん、体調悪いんっスか?林檎だけじゃなく、お子さまランチ余り
 食べてないようですが」
いつもなら嬉しそうに食べるのに、眉間に皺を寄せて食べていた一護さん。
「わりゅくない!……りんぎょ、しゅき…れも、りゅきぁ、あげぇりゅ」
「じゃあ、変わりに一護君にコレをあげよう」
浮竹さんが袖口から大きな飴玉を出し一護さんに差し出すが、本人は受け
取るのを戸惑っているようだ。

「一護君この飴玉、好きじゃなかったか?」
「……しゅ、き……」
差し出された飴玉をゆっくりと取り、口に入れるのを悩んでいたが、私達
が見ているのでポイッと口に入れた。

「一護、頬が膨れてんぞ」
苦笑しながら阿散井さんが人差し指でツンッと膨れた頬に触ったら、
一護さんの瞳からポロリと涙が溢れてきた。

「お、おいっ、一護!?」
「「恋次!貴様、何をしたっ!」」
「か、軽く頬を突いただけっすよ!他に何もしてませんって!」
兄妹、声を揃えて阿散井さんに問い質すが、軽く頬に触れただけの阿散井さ
んは戸惑うばかりだった。

「黒崎殿?」
「い、一護さん、どうしたんですか?」
「……ぃ……ちゃぃ……ヒックッ……」
涙を流しながら呟くように話すので、何処が痛いかが聞き取れない。
「何処が痛いんですか?」
「…………は……ぃちゃ…い……」
「「「「「歯が痛い?」」」」」
「一護君、口を大きく開いてくれないか」
浮竹さんに言われ、一護さんは飴を落とさないようにしながら大きく
口を開けた。

「…虫歯だな…」
「虫歯っスね…」
「まだ初期のようですし、卯ノ花隊長に連絡を取り治療を……」
「やぁー!!」
テッサイが地獄蝶で連絡しようとすると一護さんは、テッサイの手を
取り地獄蝶を止まらせないようにする。
「一護、虫歯では好きなモノが食べられぬぞ」
「そうですよ一護さん、早く治療しないと物が食べられなくなりますよ」
「卯ノ花隊長に任せれば、痛くないぞ」
「うちょ!!いちゃい、れーじ、いちゃもん!」
涙を溜め、嫌がる一護さんが阿散井さんを見て言う。

「えぇっ~、俺かよっ!?」
「恋次、貴様一護に何を言ったのだ!」
「虫歯のことなんて、何も言ってねぇよ、ルキア!………あっ!…以前
 一角さんが、『歯を折って治療して貰ったら、痛かった』って話しを
 してた時、一護お前いたのか?」
ポロポロと涙を零しながらも一護さんは小さく頷く。

「一護、あの人は『戦う時、感覚が鈍る』って言って、痛み止めして
 貰ってなかったんだよ。お前は痛み止めして貰ったら、痛みなんて感じ
 ねぇよ」
「……ほんちょ?」
「卯ノ花隊長が一護君に『痛い』って言わせた事があったか?」
「…にゃい」
皆さんに説得させられた一護さんを伴い、私は四番隊舎へ行った。



治療を余程怖がっていたのか、一護さんは四番隊隊舎に着いてからも
私の羽織りをギュッと握り締め、降りようとする気配さえしなかったの
だが、山田さん達にまた説得され、渋々治療室へと入って行ったのだ。



「あのまま放置していら大変な事になってましたよ、一護さん。 食後は
 ちゃんと歯を磨いて予防して下さい。それでも虫歯かなって思われたら、
 早く四番隊に来て下さいね」
「あい、れっしゃん!」
「夜には、美味しくご飯が食べられるそうですよ」
治療を終えた一護さんは、嬉しいそうに微笑む。
「さぁ、隊舎に帰りましょうか」
一護さんは大人しく私に抱かれ、卯ノ花隊長に手を振る。



「ねぇ、一護さん。最近、私に抱っこされなかったのは何故ですか?」
十二番隊舎に帰る廊下で、疑問に思っていた事を一護さんに尋ねてみた。
「きしゅけ、いちゃいにょ、わきゃるみょん」
一護さんは私に知られると、『虫歯治療は痛い・四番隊に連れて行かれる』と
思って、バレないようにしていた訳だったらしい。

一護さんの秘密は『虫歯を隠している』だった。




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 数日に分ければ良かったのですが、一日に収めようとすると長くなって
ました

ないちょ

2008年11月01日 22時29分43秒 | チビ15 SS
XX月◎日 晴れ

「きしゅけ、ないちょ……コソコソ……」
「へぇ~、そうなんっスかぁ」
「うん!」
一護さんは話し終えるとニッコリ笑って、<おしょと、いっちぇくりゅ!>と
行って遊びに行く。



開発技術局へ行くために首隊室を出ると、帰って来た一護さんと出会う。
「きしゅけ!」
「お帰りなさい、一護さん。 一護さんを送って来て頂いて、有難うござ
 います」
今日は体調がいいのか、浮竹さんと志波さんが一護さんの後からノンビリと
歩いて来た。

「きしゅけ、あのにぇ……コソコソ……ないちょ」
「凄いですねぇ。一護さん、部屋にオヤツがあるっスよ。テッサイに用意し
 て貰って下さい。これから私、開発技術局へ行って来ますね」
「うん!きしゅけ、いってらったい。 うきたけしゃん、きゃいえん、あー
 とう!ばいばい~」
一護さんは私と浮竹さん達に手を振り、部屋に入って行った。



「一護の内緒話、知らねぇ奴はいねぇと思うんですがねぇ」
「まぁ、一護君自身が会う死神達に<内緒>と言って喋るんだから、みんな
 知っているだろうな」
「一護さんの内緒話は、護廷内が知っているって事っスね。でも秘密と言っ
 て話せば、一護さん誰にも話しませんよ」
私達は部屋に入って行った一護さんを思い、クスクスと笑い合う。

 一護さんの中で、内緒と秘密はどう違うのでしょうかねぇ。



                               ちゃんちゃん

み~つけた

2008年09月11日 23時53分31秒 | チビ15 SS
★月○日 晴れ

「浦原隊長、一護君は遊びに出掛けてるのかい?」
「ええ、ここ数日林の方へ遊びに行ってるようですが…帰って
来たようですよ」
浮竹さんの問いに答えていたら、廊下からパタパタと足音が近
付いて来た。
そして首隊室の扉がバタッンと大きな音を立て開く。扉の音よ
り大きな声で一護さんが<たたーいま!!>と入って来たのだ。

「いつも元気だねぇ、一護ちゃん」
「おっ、一杯何か拾って来たようだな」
一護さんが持っていた手提げ袋を見て、浮竹さんが微笑む。

「うん!うきたけしゃん、おてて、はい」
一護さんは浮竹さんの前に自分の掌を差し出した。
私と京楽さんは首を傾げるが、浮竹さんは一護さんの言いたい
事を理解して、自分の手を一護さんに差し出す。

「おめめ、ぴたぁ」
「目を閉じるんだな」
一護さんの言われた通り、浮竹さんは目を閉じた。すると一護さ
んは持っていた手提げ袋の中から取り出そうとしたが……
「きしゅけ、おじしゃん、おてて、はい。おめめ、ぴたっ!」
「私達も浮竹さんと同じようにすれば、イイんですね、一護
さん」
頷く一護さんに、私と京楽さんも手を差し出し、目を閉じた。す
るとゴソゴソと音がした後に私達の掌に一護さんが拾って来た
物を乗せてくれた。

「へぇ~、どんぐりがもう落ちてたのか」
「もみじっスか。少し色付いてきたようですね」
「痛い!ねぇ、一護ちゃん、何で僕だけコレなの?痛いんだ
けど…」
浮竹さんの掌にはどんぐり、私の掌には少し紅葉し始めたもみじ、
京楽さんの掌にはイガのままの栗を一護さんは置いてくれた。

「あきゃいのいっぴゃい、ぶーん」
「赤いの?……もしかして蜻蛉かい、一護君?」
浮竹さんの言った単語に聞き覚えがない一護さんは、首を傾げ
る。すると浮竹さんは持っていた懐紙を懐から取り出し、私の
机にあった筆で絵を書くと、<こりぇ!>と一護さんは答えた。

「赤蜻蛉が沢山飛んでいたのを見たんですね、一護さん」
「うん!あきゃとーぼ、いーぱっい」
楽しげに林で見た、赤蜻蛉・どんぐり等の話しをする一護さん。


次の休みぐらいにはもみじも色づいてるでしょうし、一護さんと
紅葉狩りにでも出掛けましょうか。



                           おわり


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 久々の妄想更新っス なかなかUP出来なくてすみません

 この本当の題は「小さい秋み~つけた」です。(笑)
この妄想に合わせて、テンプレートも紅葉に変えてみました。

観察?

2008年07月22日 19時50分45秒 | チビ15 SS
■月☆日 晴れ

一護さんを伴い十三番隊へ向かう廊下で、庭に向かい足をプラプラさせた十三番
隊の隊員達が並んで座っていた。

「皆さん、廊下で何やってるんっスか」
「やぁ、浦原隊長。今、一護君を呼ぼうとしていたところなんだ」
「いつもいいとこにやって来るなぁ、一護」
「??」
キョトンとして首を傾げる一護さんに志波さんが、ホラとばかりに差し出す。

「西瓜ですか」
「しゅ…いか?」
「夏に実る瓜科の植物っスよ」
「さっきまで井戸で冷やしてたから、冷たてぇぞ。食い過ぎて腹痛くすんなよ、
 一護」

私は抱いていた一護さんを下ろした。
一護さんは浮竹さんの横に座り、志波さんから切り分けられた西瓜を受け取
ると、パクッと食べた。

「ちめたぁ…あみゃい」
瞳をキラキラさせた一護さんはパクパクと西瓜を食べてゆく。

「浦原隊長もどうだ?冷たくて甘いぞ」
「ありがとうございます」
浮竹さんから西瓜を受け取り、私も廊下に座る。

「一護、西瓜の種はこうやって出すんだぜ」
志波さんはプップッと種を口から飛ばす。するとそれを見ていた隊員達が志波
さんより遠くに飛ばそうと競い合い始めた。
種を飛ばし合うのを見ていた一護さんは、真似をして種を飛ばそうとするが
上手く飛ばず、種は唇に付いたり、顎にくっついたりした。
何度やっても一護さんは上手くゆかず、笑っていた顔が次第に歪んでゆく。

「一護さん、こうするんですよ」
私は手本を見せるようにして種を口から飛ばしてみせた。
一護さんは私がしたようにして種を口から飛ばすが、やはり唇にくっついて
しまう。
自棄になった一護さんは西瓜を口いっぱいに頬張って種を飛ばそうとしたら、
ゴクンと間違って種を飲み込んでしまった。

「おい一護、西瓜の種飲み込んだのか?…暫くすると臍の穴から西瓜の芽が
 出てくるぞ」
志波さんの言葉に驚いた一護さんは泣きそうな顔になり、私を見つめる。

「おい、おい。一護君をイジメるんじゃない、海燕。大丈夫だ、芽なんて出て
 こないから」
「一護さん、西瓜の種を食べても芽は出てきませんよ。志波さんの冗談ですか
 ら、気にしなくていいっスよ」
浮竹さんと私は一護さんを慰めるが、笑顔が戻ることはなかった。


その後、お風呂に入る時や着物を着替える時、一護さんはお臍をジィ~っと
見ている。
志波さんに言われた事を気にしているようだ。



次の日、目が覚めた一護さんは着物をバッと開げお臍を見る。
この日から一護さんは、朝起きるとお臍を観察する事が日課になった。



                                おわり



************************************************************************
 地元のJRの最寄駅から自宅へと、テクテクと帰宅する途中で妄想したお話です。
子どもの頃、西瓜を食べて種を飲み込んだら「お臍から芽が出てくる」とウチで
働いていた兄ちゃん達(従業員)によく、からかわれた(遊ばれてるとも言います)も
のです。 そしてよくタネの飛ばし合いとかをして、そんなに遠くまで飛ばない
から「ヘタ」とも言われたなぁ。
そんな思い出を引き出して、妄想してみました。(笑)

特等席

2008年06月12日 21時48分18秒 | チビ15 SS

  ■月◎日 曇りときどき雨


 障子の向こうから楽しそうな声が聞こえてくる。

「お邪魔しますよ、浮竹さん」
そう言って、スーと障子を開けると部屋の中では一護さんが浮竹さんの膝の上にちょこんと
座り、本を呼んで貰って、楽しそうにしていたのだ。その光景を見た私は霊圧を上げ、グッと
拳を握りしめながら、いつもと変わらぬような声で一護に話し掛けた。
もし紅姫を持っていたら……抜いていたかも知れない。



「今日は本を読んで頂いてたんですか、一護さん?」
「うんっ!」
「いつもお世話になりましてすみません、浮竹さん」
「いや、今日は体調も良かったから一護君と一緒にいられただけだ。一護君、お迎えが
 来たようだから、また今度な」
「うんっ!」
浮竹さんの膝から立ち上がると一護さんは、タッーと走って来て私の脚に抱き着たので、
私は上げていた霊圧を緩めた。

「テッサイが夕食の用意をして待ってますから、さぁ帰りましょうか」
「うん!!」
私は一護さんを抱き上げ、浮竹さんに再度礼を言い部屋を後にする。
平常を保っていた浮竹さんは、私達が退室するとホッと息を吐いていた。



家に帰り着き、夕食を食べ、風呂に入って蒲団に入るまでののんびりとした時間に私は
一護さんに本を読んであげようと近くに呼び寄せた。
すると…一護さんは座った私の片方の腿の上に座り横向きになる。

「あの~、一護さん。それだと私、読みづらいんっスけど…」
すると一護さんは私が読みやすように本を私に手渡してくれる。
期待したキラキラとした瞳で、私が本を読むのを待っている。一護さんにそれ以上は
何も言えず、私は本を読む事に。





  ■月☆日 晴れ

 浮竹さんの膝に座ってる一護さんを見てから、隊長格達の膝の上に一護さんが
座っているのを見掛けるようになったが、何故か私の時は片膝にしか座らず、横を
向いて座ってくれる。



「はぁ~ぁ」
「どうしたんだ、浦原隊長。大きな溜息なんかついて」
「最近ずっとこの調子なんじゃ」
「浮竹さんや夜一さんはいいですよねぇ」
「「??」」
首隊室の机にしがみ付くように俯せ、人差し指で机の上にのの字を書く。

「えぇーい、欝陶しいわっ!!何を拗ねておるのじゃ!!」
「だってぇ~、一護さん、私の膝にはちゃんと座ってくれないんですよぉ。いつも片膝に
 座って、横向きなんですもん」
私はのの字を書き続ける。

「くだらん事で拗ねるな、喜助っ!!隊長の威厳が台なしじゃぞ!!」
「……なりたくてなった隊長じゃないっスよ。夜一さんが無理矢理押し付けて、試験受け
 させたんじゃないですか」
「おいおい、話しが外れていってるぞ。……横向きかぁ……もしかして、浦原隊長だからこそ、
 横向きなんじゃないか?」
「どう言う意味っスか、浮竹さん?そう思われる根拠をお教え願えませんか?」
俯せたまま、恨めしげに浮竹さんを見る。

「俺も確信はないんだが…でも、何となくそう言う気がするんだ!」
「喜助!他人に頼らずとも己で答えを見つけてみよ!…一護を見ていれば自ずと分かるやも
 知れんぞ」

浮竹さんと夜一さんは私の疑問に思っている事の答えを知っていそうだが、教えてくれそうに
ない。
「夜一さんのイケズぅ」
泣きマネをすると一層二人に欝陶しがられた。



特等席 2

2008年06月12日 20時22分16秒 | チビ15 SS

 ■月◇日 雨

夜一さん達に言われた通り、一護さんを観察する事にした。



一番隊隊長の山本さんには膝に座らされて何か話しをして貰ってるようだが、
話しの内容が難しいのか一護さんの眉間に皺を寄せ聞いている。


七番隊隊長のピクピクと動く耳に興味津々の一護さんは、対面に座って動く
耳をキラキラとした瞳で見つめ、そぉ~と手を伸ばし触ろうとするが、狛村さ
んに見られ一旦は手を元に戻し、そしてまた触ろうと手を伸ばす行為を何度も
繰り返していた。


八番隊隊長の京楽さんに膝の上に座らされても一護さんは、伊勢さんに話し
掛けられると、素早く下りて伊勢さんの方に行ってしまう。


十番隊副隊長の松本さんに捕まると、一護さんは抵抗をする。膝の上で
対面に座らされ、胸にギュッと抱きしめらるのが苦手らしく、ジタバタ
と抵抗している。


ひなたでは、夜一さんの膝に抱っこされ、ウトウトと舟を漕ぐ一護さん。


十三番隊副隊長の志波さんには、膝に抱かれるよりも肩車して貰う方が
多く、楽しそうに笑っている。


十三番隊隊長の浮竹さんだといつも大人しく、膝に座って絵本やおもちゃ等
で遊んで貰っていたり、胸に凭れ掛かって眠ったりもしていた。


「はぁぁ~、何なんっスかねぇ」
偵察用に作った機械で一護さんを数日観察していたが、サッパリと分からない。
何故一護さんは私だけ……





一護さんを片膝に座らせ、縁側でのんびりとしていた。
「今日は良いお天気っスねぇ。流魂街の方までお散歩にでも行きましょうか、
 一護さん」
「きしゅけ、おちごとは?」
「今日はお休みっスから、一日中一護さんと一緒っス」
「ほんと?」
「はい」
私が休みと分かり、ニッコリと嬉しそうに一護さんは笑う。
そして『おしゃんぽ・おしゃんぽ』と言い、片膝の上ではしゃぐのだった。

「じゃ、行きましょうかね」
私の襟元をギュッと掴む一護さんを片腕で抱き上げる。
「…?…」
「どぉちたにょ、きしゅけ?」
「いや、…何でもありませんよ」
一護さんを抱き上げた時、何か感じたのだけれども、それが何なのかが分か
らない。分かるまで考えてしまうと、一護さんが楽しみにしているお散歩が
行けなくなりそうなので、今は考えるのを止める事にした。
「さぁ、行きましょうか、一護さん」





 ■月×日 曇り時々雨

「一護さん、下りて貰ってもいいですか?ちょっとお茶を入れ直して来ま
 すんで」
「いちごも!!」
私と一緒に行くと言うので、片膝に座っていた一護さんを抱き上げようとし
たら、襟元をギュッと掴まれた。
「…………」
「きしゅけ?」
一護さんを抱き上げ、動作が止まった私に一護さんが首を傾げて私の顔を覗き
込む。
「別に何でもありませんよ。さぁ、行きますよン」
微笑んだ私に一護さんは安心したのか、微笑みを返してくれた。
一護さんが私にだけ片膝にしか座らないのは、もしかしたら……





 ■月〇日 晴れ

一護さんを伴い、浮竹さんの雨乾堂へ来ていた。
いつものように一護さんは私の片膝に座り、私と浮竹さんの話しをつまらなそ
うな表情もせずに静かに聞いていた。

「もうこんな時間っスか。長話してすみませんねぇ」
「いや俺は構わないが、一護君は退屈だったよな」
一護さんの頭を撫でながら、微笑む。
「じゃあ、私達はこれにて失礼します」
一護さんを抱き上げ、立ち上がるろうとすると、一護さんは私の襟元を握り
締める。
そんな一護さんを見て浮竹さんは更に微笑み、私に視線を合わせた。
その微笑みに私も微笑み返し、そして頷く。
「さぁ帰りましょうか、一護さん。今夜は何のおかずですかねぇ」





何故一護さんが私にだけは片膝に座る理由、それは…『私が一護さんを
抱き上げる時、直ぐに私の襟元をギュッと握れれるから』
そして何よりも私が抱き上げやすいようにとの一護さんの優しい心使い。

私の片膝は、一護さんにとっては特等席。



                              おわり