
ピンネシリの温泉からミツバチ村までは15キロ。外はもう暗い。暗いということは寒い。お風呂のあとの湯冷めは怖い。
しっかり防寒を施して、エンジンをかけて、駐車場をぐるりと回って国道へ出る。とその時。
「おーい!」
かなりの怒声が聞こえた・・・ような気がした。
気のせいだと思い更に進むと、「!!!!!」
何を言ってるのかは分からぬが、確かに怒声が聞こえる。
バイクを止めて辺り。を伺うと、誰かがこちらに向かって歩いて来る。その距離50メートル。
確かに僕を呼んでいるようなので、バイクの方向転換をし、おじさんへと向かう。
あっ、さっきのおじさん。
ミツバチ村にいた地元のおじさん一号ではないか。おじさんは、右手に持った袋を僕に差し出す。
トウモロコシが二本。しかも茹でてある。
おじさん、家で採れたというトウモロコシを僕にくれるために来てくれたのだ。なんと優しい。驚いた。
トウモロコシをバッグにしまい、別れを告げる。またねぇ!と元気に両手を降ると、元気でなぁ!とおじさんが返してくれた。
ピンネシリ在住の優しいおじさん。また会えるといいなぁ。
それにしてもだ。それにしてもだよ。
お風呂に入って、休憩所で休んで、二時間近く温泉施設に居たことになる。
僕が出てくるタイミングを、おじさんはどうやって知ったんだ?
ずっと待っていてくれたのかなぁ?
そんなことを考えながら、帰り道の15キロをぶっ飛ばす僕なのであった。