ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

おれは、命をかけるんだ!

2015-03-16 02:03:47 | Weblog
文化祭近づく秋のある日。
連日、放課後遅くまで生徒会室で過ごす。何をやっていてかは覚えていない。

突然、生徒会室にいる僕たちの耳に、物騒な音が届いた。ドッターン!バッターン!的な音だよ。
放課後遅く、もう外は暗闇に包まれている。校舎には、生徒会と文化祭中央実行委員の面々数人がいるだけである。僕はまだ12歳。うける。

なんだろう?と、生徒会室に残っていた数人は廊下に出る。音がしたであろう方向へと恐る恐る歩を進める。
シーンとした校舎。そこには誰もいなかった。「もう誰もいなかった」と言った方が正しい。

その場所には、つまり、廊下の床には血だまりがあった。壁には血をなすったような跡が付いていた。

怖いなぁ、、怖いなぁ、、嫌だなぁ、、嫌だなぁ、、なんなんだろうなぁ、、血だなぁ、、あれは間違いなく血だなぁ・・・。

何が起きたのかは分からぬが、血潮が飛び散るよう何かが起きたのは事実である。
生徒会室に戻って作業を続ける僕たちは、疑心暗鬼、戦々恐々の面持ちであったことだろう。

ほどなくして、副会長の綺麗な先輩が生徒会室へと戻ってきて、事態の詳細を推測を交えながら説明してくれた。

血を流したのは会長の岡田先輩である。
岡田先輩に血を流させたのは、生徒会担当の教師、東大出身の武井先生である。
揉めた原因は、文化祭のメインイベントとしてフォークダンスを組み込むかどうか、である。

補足しておくと、武井先生は良い先生である。天才にして変人の良い先生である。いつでも生徒側に立ってモノを考えてくれる良い先生である。

つまり、推測するに。
「先生!おれは絶対にフォークダンスだけは譲れませんから!」
「わかってる!おれだっておまえと同じ気持ちだ!」
「じゃあ先生!なんで無理だなんて言うんですか!」
「バカヤロー!やらせてやりたいおれの気持ちがわからんか!」

バコーン!!!といった感じか?

血だらけになった岡田先輩は、そのまま武井先生の車で送られ、生徒会室には戻って来なかった。

いやぁ、おれは思っちゃったね。
おれ、すげぇ場所にいるじゃんか!ってね。
フォークダンスのために先生に楯突く会長ってすげぇじゃんか!ってね。
フォークダンスに命をかける岡田先輩ってすげぇじゃんか!ってね。
人生はフォークダンスなんだよ、やっぱり!ってね。
フォークダンスがなきゃ、何も始まらねーんだよ!ってね。
おれも、フォークダンス、本気で踊りたいぞ!ってね。

心にメラメラと炎が湧き上がった、12歳の秋。もうすぐ13歳、の秋。