まわる世界はボーダーレス

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Cスイートの話

2021-01-08 20:05:05 | ビジネス

C-Suite(Cスイート)という言葉があります。CEO(Chief Executive Officer/最高経営責任者)、CFO (Chief Financial Officer/最高財務責任者)、COO (Chief Operating Officer/最高執行責任者)、CIO (Chief Information Officer/最高情報責任者)、CMO (Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)、CDO (Chief Digital Officer/最高デジタル責任者、Chief Data Officer/最高データ責任者)など頭にCがつく役職をまとめてC-Suiteと呼びます。企業経営に関わる役職ですね。



2019年5月に、カナダのバンクーバーで広告関係の国際ネットワークの会議が三日間行われ、私はそれに参加しました。その最終日にゲストで登場したのが、マイクロソフトのスティーブ・クレイトン(Steve Clayton)という人でした。何と、その人のタイトルが、チーフ・ストーリーテラー (Chief Storyteller)だったのです。ストーリーテラーというのは、物語を語る人、語り部。そんな役職の人がいたとはと驚きました。

マイクロソフトは、GAFAMと呼ばれる世界の5大IT企業 (Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)の一つで、1975年にビル・ゲイツとポール・アレンによって設立された会社です。現在のCEOは、インド人のサティア・ナデラ(Satya Nadella)です。

スティーブ・クレイトンはイギリスのリバプール出身ですが、アストラ・ゼネカに就職した後、マイクロソフトに転職します。最初はテクニカル・セールスの担当で、技術的なことを誰にもわかるようにブログで紹介していたそうです。そのブログが話題となり、マイクロソフト本社から声がかかり、やがてチーフ・ストーリーテラーという役職を得ることになります。

このへんの事情は、英語ですが、以下の動画で語られています。興味のある方はご覧ください。



チーフ・ストーリーテラーとして彼はマイクロソフトの企業文化や、企業としての考え方を社内外に語っていく役割を担っています。彼自身のサイトはこちらにありますので、ご参考まで。
http://www.stevecla.com/about

私はシンガポールで働いておりますが、2年ほど前、シンガポールの楽天のオフィスで開催されたセミナーに参加したことがありました。楽天はいち早く英語を公用語として採用した企業ですが、企業文化の国際的共有ということにも注力しています。そのセミナーの中で、会社の組織図が紹介されたのですが、小林正忠という人がChief People Officerというタイトルになっていました。



小林正忠さんは楽天の創業メンバーの一人ですが、現在は楽天の常務取締役で、Chief Well-being Officerとなっています。以前のChief People Officerがこの名前に変わったようですね。人々が(社員も顧客も社会も含めて)みんな幸せになることを目指す役職とのことです。

私は一年前にシンガポールで起業したのですが、自分自身のタイトルをどうするか考えた結果、Chief Navigation Officerというのにしました。もともとは船舶の「主任航海士」という職業名だったのですが、海外市場の広告を主な仕事としていて、水先案内人の役割もあるので、これをタイトルとしました。



船が航行していくにあたって、星の位置や、緯度経度や、岩礁などを把握しながら、安全に、目的地に向かって船を進めていく。そのためのビジネスのナビゲーションをしていくのが自分の使命だという思いがありました。日本やシンガポールの企業が、未知の市場で広告活動をする場合でも、自分の会社がナビゲーターとして的確な市場分析をし、媒体選択、クリエイティブ制作をしていくというメッセージを込めました。

そういうタイトルをつけたのですが、スタッフが沢山いるわけではないので、実はほとんどすべての業務を自分でやらざるを得ず、ナビゲーションだけしていればよいというわけではないんですが…

ということで、チーフ何とかというタイトルはいろいろとあるんですが、これからも珍しい、クリエイティブなタイトルがいろいろと出てくることでしょうね。今後時代はどんどん変化していき、既存の知識や過去の経験では的確な企業の舵取りができない状況となるでしょう。そんな時代には、既存の組織体系を超えた柔軟な考え方が必要となるでしょうし、チーフなんとかという新しいタイトルが出てくるのではないかと思います。

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