2月21日、東京からシンガポールに到着し、ホテルでの2週間の隔離中です。すでに、7日が経過しました。ちょうど中間地点です。人生の中でなかなか経験できることではないので、早めにレポートしたいと思っていたのですが、仕事が重なって、時間がありませんでした。各種案件が金曜までで、とりあえず一段落したので、忘れないうちに書いておきたいと思います。
シンガポール入国に向けての準備
シンガポール入国にあたっては、居住者、PR(パーマネント・レジデンス)、ワークパス (EP)、Sパス、ワークパーミットなどIDやビザの種類によって、またどこの国からの渡航かによって手続きや条件が異なります。
日本とシンガポールの間には、一時はビジネストラックというのがあり、出張での行き来が可能だったのですが、現在は停止されています。1月17日更新の在シンガポール日本大使館のサイトには、「現在、シンガポールの長期滞在パス(労働パス及び帯同者パス(EP,S Pass,DP等)を含む)を持っている方以外、日本からシンガポールへの入国はできません」と書かれています。
私の場合は、ビザは、EntrePassなのですが、ワークパスとして扱われています。妻は、DP(Dependent Pass)が承認されていますが、まだカードはなく、IPA (In-Principle Approval) レターをオンラインで受け取っています。シンガポールのIDナンバーであるFINナンバーはこのIPAレターに記載されていますし、バーコードもついています。IPAレターの場合は、これを出力しておく必要があります。入国審査の時に、これを求められるからです。
MOM(人材開発省)のサイトでシンガポール入国の申請を行う
まず、この申請をクリアーしないと、シンガポールへの渡航はできません。30日前から可能になりますので、ずっと先の予約をすることはできません。オンラインのフォームにシンガポールへの入国希望日などの入力を行い、申請をします。すべてオンラインで行います。基本的に昼までに申請をすれば、その日のうちに結果がメールで送られくるということでした。なかなか届かなかったので心配したのですが、深夜の2時頃、メールが届きました。入国許可のタイトルがついていたのでほっとしました。
その日の渡航者の枠があったり、ビザの残存期間が少なかったりすると却下されることもあります。
このメールには、渡航希望日の前後一日づつの3日間のうちに渡航を許可するということが書いてありあました。また、このメールは飛行機の搭乗の際に、そしてシンガポール入国の際に必要になるので、出力をしておく必要があります。
飛行機の予約は、この許可を得てから行わないといけないのですが、もし万が一飛行機が満席とかだと困るので、あらかじめ申請前に空席状況を調べておいて、予約が取れそうだということを確認しておかれるのがよろしいかと思います。
出発72時間前のPCRテストと英文の陰性証明の書類
入国許可のメールにも書かれているのですが、飛行機が出発する72時間前以降に受けたPCRテストの陰性証明書(英文)が必要になります。私たちは、2月21日の11時5分の羽田発の飛行機を予約していたので、2月18日の午後にPCR検査を受けることにしました。
いろいろとネットを調べて、虎ノ門のチームメディカルクリニックというのが安くて良さそうだということで、ここをオンラインで予約しました。PCR検査が9900円、英文の陰性証明書は5500円です。午後に検査をしたのですが、その日のうちに(約5時間後)結果が送られてきました。陰性証明書は、翌日の朝からできていて、ピックアップすることができました。土日祝祭日は休みなので、注意が必要です。こちらがチームメディカルクリニックのサイトです。
https://www.team-medical.or.jp/departments/pcr/
出発3日前以降にシンガポールのICAに入国申請
ICAとは、入国管理局のような組織で、Immigration & Checkpoints Authorityの略です。ここで入国の日付と、シンガポールの連絡先、14日以内に滞在した国名や健康状況とかを申請します。
IPAレターのみの妻の場合は、もう少し入力情報が多いのですが、これがアライバルカードの役割を果たします。ICAに申請するとすぐに確認証が出るので、これも出力しておく必要があります。
以上、3点が絶対に必要な書類なのですが、それ以外に、もしコロナ感染で入院した場合などに備えて医療費をカバーするだけの保険に入っていることとも必要です。これはチェックされることもありませんが。
あとシンガポールの空港到着時に、PCR検査があって、一人160ドルかかるのですが、これは事前にオンラインで支払いを済ませておくと時間の節約になります。私たちはこれをしていなかったので、空港到着時に、PCR検査の前に支払い手続きをしなければなりませんでした。
飛行機の搭乗
飛行機の搭乗に際しては、チェックインカウンターで、体温を計測され、準備のところでご紹介した3点の書類の提示、そしてパスポートとともに、シンガポールのIDカードの提示(妻の場合はIPAレターの出力)を求められました。
空港は人がかなり少なく、お店とかもほとんど閉まっているので、買い物とかある方は、事前に済ませておかれるとよろしいかと思います。
飛行機は、幸いに乗客はパラパラとしかおらず、私たちの周辺の前後左右は空席でした。機内の空調はコンスタントに機内の空気を入れ替えているというので安心しました。食事の時以外はマスク着用が原則です。
シンガポール到着
飛行機は午後5時20分頃にシンガポールに着陸しました。あまり遅い時間に到着すると、ホテルに入るまでに時間がかかるので、明るいうちに到着する飛行機にしました。
通常の到着と同じように、アライバルホールへのエスカレーターを降りていくと、何人かの係員が待ち構えています。そこで書類の不備がないか確認し、入国審査のカウンターに向かいます。
IDカードを持っている人は、通常は自動ゲートなのですが、コロナ禍の今は、全員が係員のチェックを受けます。私はスムーズに通過するかと思っていたら、別の窓口に移動させられました。おそらく指紋が認識できなかったようなのですが、何度かやり直して通過することができました。ここでステッカーを胸につけられます。私の場合は黄色でした。
ここで隔離ホテルが決まってしまったのかと不安になったのですが、かなりの人が同じ色のステッカーでした。同じ時間帯には、他の国から到着した便の人もいましたが、ステッカーの色はそんなに種類はありませんでした。
荷物をピックアップして、空港でのPCR検査の方向に進みます。ここで事前にPCR検査費用を支払ってれば楽だったのですが、まずその支払い手続きをします。数時間後に結果が連絡されるのでそのメールの登録などもします。
そしてPCR検査です。いくつかのブースがあり、防護服を来た係員が対応をしています。順番が来ると、ブース内の椅子に座り、まずは喉に長い綿棒のようなものを入れられます。その後、鼻です。一瞬で終わるのですが、妻は喉のどこかに綿棒が触れたらしく、ゴホゴホとしていて、係員に心配されていました。
PCR検査が終わると、さらに別のステッカーを貼られ、椅子で待機するように言われます。どこのホテルに連れていかれるのか全くわからないので、不安になります。
同じ飛行機で来た幼児連れの親子4人が近くにいたので、彼らと一緒だったら小さなホテルになることはないだろうと思ったりしました。
やがて、係員が来て、10人くらいに出発を告げます。我々は荷物を持って、外に待機しているバスに乗ります。最初にバスに乗ったので必然的に最後列になりました。バスに乗ったのは、10人くらいでした。
行先はすでに決まっているはずなのですが、ミステリーツアーです。バスは、夕暮れのECP (イーストコーストパークウェイ) をシティー方面に進みます。ブーゲンビリアの花が咲き、右側にはヤシの木越しに海が見えている景色なのですが、どこに向かっているのか心配でした。
ハイウエイの先に、サンテックの建物が見えてきて、バスは左側の車線を取り、ブギスでハイウェイを降ります。ノースブリッジロードや、ビクトリアロードを左に曲がらなかったので、スイソテルや、リッツカールトン、フェアモント、インターコンチネンタル、マリオットなどの可能性は無くなりました。
バスはシムリムスクエアの手前を左に曲がり、やがてオーチャードブールバードに。バスはスコッツロードを右に曲がらなかったので、グランドハイアットなどの可能性も絶たれます。通常リージェントホテルやシャングリラに行く場合は、トムリンソンロードを右に曲がるのですが、そこを直進したので、残された可能性はJEN Singaporeかと思ったのですが、名もなき道を右に曲がった先でバスが停車したのは、何とリージェントホテルだったのです。
リージェントは、泊まったことはないのですが、毎年行われる日本商工会議所の新年会のイベントで何度も来たことがあり、アジアトップ50バーのナンバー1に輝いたこともあるバーのManhattanもあります。Basilicoというイタリアン、Summer Palaceという高級中華、天ぷらの天信なども入っています。ロビーの雰囲気もすばらしく、こんな豪華なホテルに泊まれるのかとワクワクしてきました。
すでに数台のバスがホテル脇に停まっていました。我々が乗ったバスと同じような感じで、それぞれ10人前後が乗っています。この日の夕方到着した少なくとも50人くらいが同じホテルに割り当てられていたと思われます。
バスから降りた乗客は、正面玄関とは別の方角に向かい、ホテルの小宴会場のようなスペースに誘導されていきます。椅子が10数個並べられていて、書類が置かれていました。その書類を書いて、係員に出さなければならないようです。
その書類は、すべて英語で、名前や連絡先、IDナンバーなどのホテルチェックインの書類と、食事に問題があった場合の免責の書類、そして滞在中の食事のメニューの選択でした。食事をすべて選択しないといけないのかと思ったら、やはりそうでした。到着した当日と、翌日は選択できないのですが、それ以降のランチ、ディナーはそれぞれ二種類の中から選ばないといけないのです。二種類のうち一つはベジタリアンになっており、イタリアン、中華などのメニューが並んでいるのですが、あまり詳しく検討している余裕がないので、適当にチェックしました。何を注文したのか覚えていられないので、写真を撮っておけばよかったと後になって思いました。
鍵をもらう際に、窓が開く部屋か、バルコニーはないかなど確認してみたのですが、残念ながら窓は開かないし、バルコニーもない部屋でした。ツインベッドの部屋にはしてもらいました。
部屋に入れたのは午後9時過ぎ。思ったより広い部屋で安心しました。部屋はこんな感じでした。
食事が届けられたのは10時過ぎでした。食事を食べられたのは11時頃、シンガポール到着から5、6時間経ってからのことでした。届けられた弁当は、チャーハンのようなナシゴレンのようなご飯でしたが、お腹が空いていたこともあり、とても美味しかったです。
同じ頃、空港でのPCR検査の結果がメールで届き、”Not Detected” (陰性)という文字にほっとしました。
かくして、2週間のシンガポールのホテルでの隔離生活が始まったのでした。
シンガポールでの隔離用ホテルでの生活
シンガポールのホテルでの隔離生活はどんなものか実感としてわからないので、来る前はとても心配でした。どのホテルになるのかで条件や、食事も違うようですし、部屋から一歩も外に出られないというのがどんな状況なのかがとても不安でした。
私たちは最悪の事態に備えて、スーツケースの他に、段ボール3箱に非常食とか、日用品(隔離開け後に家で必要になる物も含む)を持ち込んでいたのですが、ここのホテルでは、食事はとても満足のいくものだし、外から注文もできるので、それほど必要のない物がいくつもありました。
1週間が経過して、このホテルでの隔離生活はとても快適です。6階の部屋なのですが、景色は素晴らしいし、食事は美味しいし、ホテルの対応は素晴らしいし、部屋は清潔で非常に満足しています。
それではホテルでの隔離生活に関してもう少し詳細を書いておきたいと思います。
食事
食事は3食きちっと部屋のドアの外の椅子の上に届けられます。届くと、ドアベルで知らせてくれます。
朝食は、毎朝、ほぼ同じメニューで、選択はできません。パン(小さなクロワッサンやデニッシュ)、ジュース(オレンジジュース、マンゴジュース、アップルジュースなど)、フルーツ(りんご、アプリコット、洋ナシ、バナナなど)、ヨーグルト(マンゴ、アップル、アロエヴェラ、ストロベリーなど)がいつものメニューです。ジュースや、フルーツや、ヨーグルトのフレーバーを日替わりでちょっとづつ変えてくれるのが嬉しいです。飽きるかと思ったのですが、全然飽きないですし、量もこれくらいで十分です。バターやジャムも付いてくるのですが、使わないのでジプロックに入れて冷蔵庫に貯めています。
昼食と夕食は、到着翌日は選択できないのですが、それ以降は到着時に選択したメニューに従って届けられます。ホテルによっては、冷めてしまっているとか、美味しくないとかの不満もあるようなのですが、このホテルの食事は、暖かく、とても美味しいので非常に満足しています。
イタリアン、中華、チキンライスやチャークィエイティヤオなどのローカル料理はどれも素晴らしい味です。
このホテルは、Basilicoという有名なイタリア料理のレストランがあるのですが、イタリアンはこのホテルで作っているのではないかと思われますが、とても美味しくて感動的です。ペンネやラビオリは美味で、オリーブやパプリカ、野菜などが食材として使われているのが嬉しいです。
またチキンライスも、ローストのチキンで、すごく美味しく、シンガポールに来たんだという感動さえ感じました。
夕食には必ずスープが付いてくるのも嬉しいです。マッシュルーム、ブロッコリー、パンプキンなどいろいろと変化をつけてくれて、野菜の摂取を助けてくれます。肉を使わないメニューもありますが、野菜がたっぷり使われていて、バランスは非常によいと思います。また味付けも、味が強すぎず、適度な味付けです。
魚や、チキンや、ビーフを使ったメニューはありますが、これまでにポークを使ったものはありませんでした。イスラムや、ヒンドゥーなど様々な宗教に配慮したものだと思われます。さすがシンガポールです。
あと、食事の容器にプラスチックを使っていないというのも素晴らしいです。他のホテルでは、容器やカトラリーがプラスチックだったりするところも多いのですが、このホテルではすべて紙か木です。
ホテルのアメニティー
ホテルには、湯沸かしポット、コーヒー、紅茶、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル、歯ブラシ、ドライヤー、アイロン、アイロン台などが付いています。コーヒー、紅茶、トイレットペーパーなどはオペレーターに電話をすれば補充してくれますし、タオルなども届けてくれます。掃除機も頼めば貸してくれました。
シャンプー、コンディショナー、シャワージェルなどはロクシタンのもので、妻も喜んでいました。
歯ブラシ、歯磨き粉、洗濯用の洗剤、洗濯物を干すためのハンガー、掃除するための除菌ティッシュなどは日本から持ってきていました。コーヒーやお茶なども持ってきていました。
MOM(人材開発省)からの電話チェック
専用施設での隔離を管轄しているMOM(人材開発省)の担当者から、ランダムに電話がかかってきます。シンガポールの電話番号の携帯を持っていることが必須なのですが、いつ電話がかかってくるのかはわかりません。この1週間で、私も妻もそれぞれ3、4回電話を受けました。聞かれるのは、だいたい次のことです。
1) 名前の確認
2) ビザの種類の確認
3) FINナンバーの最後の4桁(最後のアルファベットを含めての4文字)
4) 宿泊しているホテルの名前
5) 部屋番号
6) 一人でいるのか他に誰かいるのか
7) 健康状況の確認
昨日も電話を受けましたが、次の土曜日にPCR検査があり、その時間、場所はメールで案内が送られてくるので、それに従うようにとの連絡もありました。また、1日3回、検温をし、FWMOM/CAREのアプリで報告するようにとの確認を伝えてくることもありました。
電話をかけてくるのは、毎回違う担当者で、情報は共有されていない感じです。毎回同じことを聞かれます。人によりますが、聞き取りにくいシングリッシュで早口で喋らたりすると、慣れていないと大変ですが、聞かれることがあらかじめわかっていると安心ですね。
FWMOM/CAREアプリでの体温報告
隔離中にはFWMOM/CAREというアプリをダウンロードすることが義務付けられています。入国時にはとくにこれについて確認されることはありませんが、ホテルでの隔離生活が始まると、1日3回(朝、昼、晩)検温して、報告をする必要があります。
最初は2回でよいのかと思いこんでいたのですが、MOMからの電話で3回と念をおされたので、そのようにしています。検温のための体温計は必需品です。
アプリのダウンロードはホテルに入ってからでも大丈夫ですが、私たちは、日本にいる間にダウンロードは済ませておきました。ホテルの住所とか、部屋番号などを入れないといけないので、最終登録はホテルに入ってからしかできませんが。
報告画面はこんな感じです。一番上のTemperatureのところに体温を入力します。その下の、CoughとかはすべてNoで大丈夫です。下二つのOxygen Saturation (SpO2)とHeart Rate (BPM) は空欄のままで大丈夫です。Submitの青いボタンを押すと、すぐにAlertという文字と、"Submitted successfully"という表示が現れます。一回の作業はこれで終わりです。
MOMへの隔離費用の支払い
隔離4日目あたりに、MOMから隔離費用支払いのメールが届きます。これは個人というよりも、ビザ発給の責任者である会社に来るものと思われますので、すべての人に関係することではないかもしれません。私は自分の会社の管理者にもなっているので、これの支払い義務もあります。
事前の情報で、一人あたりの2週間のホテル隔離費用は2000シンガポールドルということでしたが、一つの部屋を妻とシェアしたので、請求金額は、一人あたり1300シンガポールドル、プラス隔離終了前のPCR検査費用125ドルで、合計金額は1425シンガポールドル、支払いは3月2日までに行うべしというということで、即座にカードで支払いました。
デリバリーの注文
足りないものはデリバリーを注文することが可能です。また食事も、GrabFoodや、Food Panda、Deliverooなどでオーダーすることも可能です。ホテルのルームサービスで注文することも可能です。
私たちは水とお菓子などをPandamartで注文しました。注文してから20〜30分で届けてくれるのでとても便利です。
このホテルでは、ネスプレッソのマシーンを2週間45ドルで貸してくれるそうです。
ということで、2週間の隔離の折り返し点に来ました。この投稿が皆様のお役に立てば幸いです。