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2012年1月14日レニングラード国立バレエ~ミハイロフスキー劇場~「白鳥の湖」兵庫感想

先週の感動の2日間からもう1週間経つなんて嘘みたいです。





レニングラード国立バレエ
―ミハイロフスキー劇場―
「白鳥の湖」

―全4幕―
2012年1月14日(土)15:00開演 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール
<キャスト>
オデット/オディール: エカテリーナ・ボルチェンコ
ジークフリート : エフゲニー・デリャビン
悪魔 :ウラジーミル・ツァル

道化 :デニス・トルマチョフ
王妃 :ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師 :イーゴリ・フィリモーノフ

パ・ド・トロワ :
ヴァレリア・ザパスニコワ
エカテリーナ・クラシューク
アントン・プローム

小さい白鳥:
アンナ・クリギナ
エカテリーナ・ホメンコ
ナタリア・クズメンコ
マリーナ・ニコラエワ

大きい白鳥:
ヴァレリア・ザパスニコワ
マリア・グルホワ
アステリーク・オハネシアン

ナポリターナ:
ナタリア・クズメンコ ニキータ・クリギン


ハンガリー(チャルダシュ):
エレナ・フィルソワ ミハイル・ヴェンシコフ

ポーランド(マズルカ):
アーラ・マトヴェーエワ アレクセイ・マラーホフ
ダリア・エリマコワ フィリップ・パルハチョフ


スペイン:
オリガ・セミョーノワ クリスティーナ・マフヴィラーゼ
デニス・モロゾフ アレクサンドル・オマール

指揮:ヴァレンティン・ボグダーノフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
第1幕-第2幕約70分 休憩20分 第3幕約40分 休憩20分 第4幕約20分



音楽:ピョートルイリイチ・チャイコフスキー
台本:ウラディーミル・ベギチェフ ワシーリー・ゲリツェル
原振付:マリウス・プティパ レフ・イワノフ
振付:アレクサンドル・ゴールスキー
改訂演出:アサフ・メッセレル
再演出:ミハイル・メッセレル
美術:シモン・ヴィルサラーゼ ヴャチェスラフ・オクネフ

観た場所:4列目センターブロック左より

カーチャが素晴らしかったです!
一緒に観たお友達は「神奈川がほんとに完璧だった」とのことでしたが、いやー、それにしても、
以前までの「カーチャが主役か~。ふ~ん。ま、今日の楽しみはほかのソリストだな~。」みたいなテンションだったわたしにとっては、ほんとにまあ
「カーチャ!素晴らしい!マラジェッツ!!!!!」そして「今までごめんなさい!」というくらい、
これまでの彼女の舞台から得るものとは雲泥の差といいますか。
オデットはロパートキナ路線で、オディールはシェスタコワっぽかったですし、
身体の使い方も、音をたっぷり使ってくれて、好印象。
高い身体能力のせいでともすれば「体操チック」だとか「写真で見るときが一番美しいフォルム」とまで、
我々ファン仲間の間では「才能はあるし、美しいんだけども、どうも、芸術的感動とは違うよね」というほで意見が一致していたのですが、
いやはや。
素晴らしい成長っぷりでした。
前から気がかりだった、苦しそうな表情によるオデットの演技もそんなに目立たなかったし。

しかし。
しかしなのである。

これで王子が完璧で、2人の愛だの、芸術性だの、高い精神性だのに、わたしが没頭できれば、
「白鳥の湖が千秋楽でも良かったよ」とまでのめりこめたのですが、、、、

なんともねぇ。王子が・・・・・ははは。

王子にハラハラしてしまったおかげで、ちと、感動も薄れてきてしまい、
感動よりも「カーチャ良かったね!」気分。
ほんとは「涙、、、、感動、、、胸いっぱい、、、、」と浸りたかったんだけどな。

途中からは(というか、3幕終わった時点で)「なんでここにシェスタコワがいないんだよ!!!!!」と情けないやら悔しいやら。(←産休中だからしかたないべ) 


えーっと、デリャビンは。
率直に申し上げて、ワタクシはこの手のお顔にてんで弱いんです。
写真や動画なんか見て、「き、きた!!!!!」とわたしのスラヴ男子のとある分野にメガヒット!
背が高いのも重要。人間、無いものにあこがれるのです。
私は背が低いから、背が高い人とか、ある程度身体ががっしりしている人とか、手がでかい人(ラフマニノフほどとは言いませんけども。マールイならミーシャくらい「手!!!」ってのが遠方からわかるのがいいし、スケーターならマクシム・トランコフやスタニスラフ・モロゾフやセルゲイ・ポノマレンコみたいな大きなお手手)にあこがれるのです。

顔+身長+ガタイのよさ+手の大きさ、そして、エイフマン・バレエからおそらくカーチャのために呼ばれて移籍してきたんだし、エイフマンだって、あーんなリフトやこーんなリフトをやってるんだし、踊りもいけてるはずだよね!って、期待値はすごく高かった。

しかしそれは、ロシアで彼をご覧になったオマール大好きさんから
「どうも彼のジークフリートは、、、いつも悪い日にばかりあたる。全然イケテナイ。」とさんざ聞かされ、
あげくに学校公演も「。。。。。。駄目だったらしいよ」ということでしたので、


どれほどすごい「イケテナイ」んだろうかと、ハラハラしておりましたですよ。


うんとね。まず立ってるだけで王子度は、、、、、皆無。
何故?何故なの?ってくらい、オーラなし。ま、普通にハンサムなお兄ちゃんだったよ。
それなりにわかりやすい演技だったし、決して下品だとか、臣下のものにしか見えないとか、そういうわけじゃないし、何しろビジュアル的にはすばらしいので、ほかに埋没しちゃうわけじゃないんだけども。


なんでしょうか、彼はクラシックの踊り手としての身体の使い方が戻ってきていない?コンテ向きなのかなー、なんて思ってしまいました。
それから、これは、共演したバレリーナの方にお聞きしましたが、
「彼はほんとに、ほんっとに、ごくまれにしか、ジークフリートを踊ってないし、日本でもこの、たった2回だけだから、、、、」とフォロー。

誰かを相手にしての王子としての演技は、なかなか好印象というか、オーソドックスでしたしね、たとえば道化が王妃さまがおみえですよ~、と耳打ちした後なんかの「シャンとせねば!」的動きとか、トロワの女の子に向ける笑顔とか、学友たちとの和気藹々っぷりとかはわかりやすかったんですが、
1人で佇んでるところとかがちょっとねぇ。
4人のご学友たちのほうが、よっぽど王子でねぇ。。。。
(てか、この4人、コリパエフ・マスロボエフ・モロゾフ・ヤフニュークのほうが王子経験は多いしね)

4人のご学友たちは、千秋楽のノリも手伝ってか、ご機嫌。
ヤフニュークはワルツ面々と一度退場してから、また戻ってくるときの場面で、トルマチョフばりにスキップるんるんでした・・・。

ほんとに上手くいかないものです世の中って。
あれだけ恵まれた体躯とお顔なのに、勿体無い
上手くいかないなー。
アタシは個人的には「コルプやクズネツォフ(イリヤのほう)呼んでちょうだい!」なんですが、コルプが立ってるだけで王子かというと、、、
わたしはそれを信じて疑わないですが、意見を異にする方だっておられましょう。
世の中そんなに、ザクリンスキーやヴァシュチェンコやサンソムやジュドさまみたいな人は転がっていないのだ。

こうなってくると、若いってスバラシーな、レベデフに期待がかかるのは仕方ないよね、、、
あるいは華麗なる大根(演技面では大根だよね)なアスケーロフをゲストで呼ぶとか。
アスケーロフはキラキラだし、大きいし、いいんじゃないでしょうか、カーチャのお相手に。
ま、でも、マリインスキーが貸してくれなさそうだよな。


でもカーチャのために呼ばれたであろうデリャビンにも頑張ってほしいのです。


おそらくプレッシャーとかもあっただろうし、1幕のチャイパドの曲で踊られるソロなんかはものすごくガチガチだったので、手に汗にぎっちゃいました。
ほかのダンサーが日本ツアー最後の2日間で、気合やサービス精神十分な立場なのと比べると彼はほぼ初日みたいなもんだったしね。

そんなわけで4人のご学友の面々はさらに美しく見えて目の保養。
トロワのプロームもハイパー・テクニックなトロワで、気合もものすごくて、こういうふうに「そのときの踊りに全力をかける」みたいなものが伝わってくるのはとても嬉しいです。

クラシュークも美しい「これぞロシアのバレリーナ」という踊りで感動しました。
ザパスニコワはやっぱりここでも早かった(汗)


トルマチョフは『別人ですか』と思うくらい、というかこれが本来の彼なのでしょうか、
どこをとっても完璧な道化。東京で観たときよりすばらしかった!!!!
1幕の王子が受け取るべき男性パートの拍手は完全に彼のものでしたね(汗)


2幕はグルホワとクリギナとクズメンコがよかったです。
あ、もちろんカーチャもです!
デリャビンは、それでも、オマール大好きさんが今まで見た中では「まあまあの出来」だったそうです。

デリャビンは3幕のオディールとのパ・ド・ドゥが終わってから、ようやく緊張から開放されたようで伸びやかに踊っていました。オツカレサマです。(そういうのが観客に丸わかりって、どうなのよ、ですよね。。。)


ディベルティスマンはみなさん素晴らしい気合とファンサービスのこもった、いい場面でした。
ラッパ卒は岡山で道化を踊ったラプシャノフで、彼はきちっとラッパ吹いてましたよー。

前も書いたけど、ミーシャは白い前の衣装のほうが似合っているし、
フィルソワはやはりロマンとの踊りが一番素敵でした。
珍しい組み合わせで、しかも両方ご贔屓さんだったけども、ちょっと微妙でした。


オケは総じて良かったです。オーボエが暴走したり、テンポを緩めたり、指揮者は何やってんだ?みたいなところはあったのですが、もうちょとゆっくりめに演奏してほしいな、と感じた部分以外はおおむねハラショー。
(あ、、でも、、、大きな白鳥のとき、金管がやらかしていたっけ)





演出やプロダクションがいろいろと変わるのは、時が経つのと同様、避けては通れないものだと思います。

仕方ないことだと理屈では理解できています。

ボヤリーが正直に語っていたように、「日本での獲得外貨はほんとうに大切。これがあるから新しいものを創れる」という、正直「金銭的な成功」も必要です。

でもまあ、興行的成功だとか、フルーツ王のビジョンとか、そういうものより、わたしはスーシャの爪先一つ一つにこめられた一歩一歩を愛していますし、ああいう芸術にまた触れられる日が来るといいなと思っています。
毎回毎回至高の芸術ってのは無理でも、年に数回で構わないから、それを味わいたいと願います。










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コメント
 
 
 
デリャビンは・・・ (オマール大好き)
2012-01-23 21:56:38
コメントするのって、久しぶりですね~
散々けなしてた私が言うのもなんですが・・・デリャビン、コンテは良いですよ。
安心して観ていられるし、本人の余裕すら感じられます。
そもそも彼をクラシックの王子にキャスティングしたこと自体が間違いですね、きっと。
日本でナチョの作品が上演されることがあるのなら、是非ともデリャビンをキャスティングして欲しいものです。
 
 
 
デリャビン! (おロシア人 to オマール大好きさん)
2012-01-24 22:32:26
はい!プログラムのコンテンポラリーの写真とかとても素敵ですし、いつか生の舞台で観てみたいと思います。
もちろんクラシックのレパートリーもまた頑張って開拓してもらえたら(笑)嬉しいです。
だってと~っても好みのタイプなんですもの!
 
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