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杉山清貴&オメガトライブ~AQUA CITY
封印領域に近寄らないべく、さかのぼってきた杉山清貴&オメガトライブ祭り。
いよいよ今回は1st.アルバムです。
発売は1983年9月21日。
ジャケットはハワイのワイキキですが、今のホテルが乱立しているのとは全く違う風景ですね。こういうふうに、昔の姿がジャケットに残るのもいいものですね。
・・・・・・・ハワイ行ったことないですけどね。
これはまず貸レコードで借りて、という毎回のパターンですかね。
お金を貯めて自分で買い直そうなんて思っているうちに解散しちゃったんだよなあ。
なんと言っても、彼らとの出会いの原点である「サマーサスピション」とこのファーストアルバムは、単純に好き嫌いだとか、アルバムとしての良いとか悪いとか、言えないレコードです。
比べられない。リーグが違う。特別な存在ですね。
わたしはアマチュア時代の前身となるバンド、きゅうてぃぱんちょすのことは、杉山さんたちがデビューしてから知りました。
きゅうてぃぱんちょすはYAMAHAポピュラーコンテスト、通称ポプコンに出場などしてデビューを模索していました。
第19回、1980年5月のつま恋本選会では「ゴスペルの夜」で入賞、同年10月の本選会は「乗り遅れた747」で出場していますがこちらは入賞に至らず。
初めて出たのは18回大会だそうです。またブロック大会、関東甲信越大会や本選などを通して、作詞家の松井五郎さんやスタレビ、増田俊郎さんとの長年のお付き合いがあるのですね。
さて、私は子供の頃、YAMAHAの音楽教室というものに通っていて、幼児科、専門コース、あとはピアノの個人レッスン、パーカッションすべてYAMAHAで習っておりました。
YAMAHAは日本全国どこにでもあって、転勤族の我が家は流れのままずーっとYAMAHAっ子。三重に移った中学の時に、ピアノだけに絞り、YAMAHAではない個人のピアノ教室へ移るまでそれは続きました。
お教室は、だいたいなんかの駅ビルとか雑居ビルに入っていて、大きいところだと、レッスン室以外に、コンサートホールやリハ室、スタジオがあったり、レコード&楽器店が一緒にありました。
で、その楽器店とレコード屋さん。。
クラシックの楽器売り場、、、これはですなあ、習っている楽器がいくらクラシクピアノでも、なかなか入りにくいですよ。めっちゃ高そうな楽器だらけで、弦楽器なんかはケースに入れられていましたが、各種エレクトーン(教室にあるのより、はるかに高そうなやつ)、G1~、、、まあG3くらいまでのグランドピアノはあったかと。(G5なんかはおいてないと思ったけどわかんない)
しかし、レコード売り場、エレキ関係の売り場とか、楽譜売り場・雑誌売り場、洋楽雑誌売り場、あとは私はパーカッションもやってたので、バチ関係のあるところ、マレットとかの場所(バチの先の綿綿、ポンポンしたところね)は入りやすかったです。
そこではけっこうYAMAHAの映像が垂れ流しだったんですよね。
で、ポプコンの映像もいろいろ流れてはいたんですが、、、
きゅうてぃぱんちょすは全く覚えていません。
何しろお目あては、楽譜とかバチでございます、耳から入ってくるのは「ひーとーり咲~~~き~~~」(チャゲアス)とか、「飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで」(円広志)「まーわるーまーわるーよ、時代ーは」(中島みゆき)、その他クリスタルキングとか、世良さんとか、家でもかかっていて、知ってる曲ならね、「おお、これは知ってるな」みたいな感じで立ち止まったりしましたが。
その後テレビ放送をきちんと見るようになったのは、あみん、アラジン、トム・キャット、辛島さん、吉野さんあたりが出ていた1981年~1985、1986年くらいかなー。
それで、第30回のポプコンのテレビ放送。これのオープニング映像で、杉山さんのロン毛映像を初めて見たんですよ。
この第30回は尾崎和行&コースタルシティがグランプリをとった年なのですが、尾崎さんはそのころ関西圏ではとても有名な方でした。そんな彼が出るということでばっちり見ていた時に目に飛び込んできた杉山さんのロン毛、、というかクリスタルキングみたいなお姿に思わずのけぞりつつ、、、なんで音がないんや、、とがっくりしたのを覚えています。
今はいい世の中です。
ポプコンの映像はいろいろアップされておりますね~。
第30回の映像 ・・・ こちらはオープニング30秒内の映像ででちらっと杉山さん。ちなみに、すぐ後のCMでは高橋伸明さんと河合奈保子の名デュエットソングが聴けます(とんがりコーン)。1時間1分あたりでは雅夢の三浦さんがちょろっとゲストで映っている。そして1時間3分頃に、尾崎さん。尾崎さんのこの曲はポプコングランプリののち、世界歌謡祭でもグランプリでした。尾崎さんも素晴らしい歌手でしたね。。。。
第19回は残念ながら見つかりませんでしたが(雅夢の「愛はかげろう」が優秀曲賞、きゅうてぃぱんちょすの「ゴスペルの夜」が入賞)
第20回はこちら・・・きゅうてぃぱんちょすの「乗り遅れた747」(松井五郎作詞杉山清貴作曲)は12分10秒くらい。
ま、ポプコンについてはこちらをご参考に。
ポプコンでグランプリ→即デビューみたいな道筋がある程度あるのですが、それを果たせなかったため、当時在籍していたメンバーの千住明さんは脱退して純クラシックへの道へ、後任のキーボードとして西原俊次さんが加入。
また実際には、19回の入賞のあと、デビューのお話はあったそうですが、自分たちの楽曲のレベルに不満があった彼らはこのオファーを断って、横浜を拠点にライヴハウスで活動を続けます。
19回の入賞できゅうてぃぱんちょすに注目していた藤田浩一さんが「プロが提供した楽曲を演奏する」ことを提示し、これを受ける形でバンドはは「杉山清貴&オメガトライブ」と名前を変えてレコードデビューに至ります。
藤田さんの経歴はこちら→バミューダ音楽出版のページをご参考に
藤田さんはレイジー、角松敏生さんをプロデュースしていたのですが、角松さんがセルフプロデュースを選択し、藤田さんのところから出ていきます。
その後手掛けるアーティストとしてきゅうてぃぱんちょすに注目し、杉山清貴&オメガトライブとしてデビューさせるにあたり、「新しいAORサウンド」をイメージし、山下達郎さんのようなソングライターを探していました。
いろいろなクリエイターを検討し、リズムアレンジやメロディラインに魅力を感じていた林哲司さんにデモテープを依頼。彼が持ってきた2曲のデモで「これしかない」と決めたそうです。
その後藤田さんなりの「オメガトライブ」のイメージをリクエストして、オメガトライブのプロジェクトがはじまります。
藤田さんにとってのオメガトライブの代表曲は?という問いに「断然サマー・サスピション、あとはテレビプロデューサーの厳しい要求を満たすのに苦労した、マリンブルー、個人的にはアローンアゲイン」と答えています。
オメガトライブはOMEGA TRIBE、ギリシャ文字の最後のΩと民族(トライブ)を合わせた造語で「最後の民族」という意味で、名付け親はハワイの人気DJ(当時、今は東京にいる?まあ、あちこちに出没)カマサミ・コングさんが名付け親です。
#01 SUMMER SUSPICION
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司
シングルリリースは1983年4月21日です。
大事な大事なデビュー曲。リリース前に第12回東京音楽祭で披露されました。
ひとめぼれでした。。。。
いや、このテレビ放送の時は、ひとめぼれというより、あの声にあっけにとられ、ただただ感動。
その後歌番組なんかで見るにつけ、子供ながらに、アイキャンセイ、ユーキャンセイにきゅんきゅんしておりました。
友達と「すごすぎて、『気が狂いそう』なのはこっちだよねー」なんて言いあってました。
おそらく今の杉山さんのほうが、歌い手さんとしての技術、巧さは段違いに素晴らしいし、そして今も歌っているこのサマサス、今のサマサスもほんとに素敵なのですが。
もうこの哀愁テイストと、まっすぐなあの当時の声は、楽曲の一部になってしまってますよね。
サウンドと声がピターっと溶け合って奇跡のようです。
オメガトライブのデビュー用として2曲レコーディングして、でもペンディングとなって、新たに作ったのがこのサマサスだそうですが。
これが無かったら、どうなっていたんだろう。
世界はほんとに不思議に満ちておりまする。
もしポプコンで優勝していたら、即デビューです。
そしたら、千住明さんは現代音楽作曲家にはならなかったかもしれないし、妹の真理子さんのストラディバリウス「デュランティ」購入のための資金はどうなっていたのだろう、とか、西原さんは一緒に活動していなかったかもしれないんですから。
そして角松さんがあのまま藤田さんのところにいたら??ほんとに何が起こるかわかりませんね。
#02 PADDLING TO YOU
作詞:秋元康 作曲:杉山清貴 編曲:後藤次利
私なんでかこれが「渚のsea-dog」とちょっと勘違いしていた時期があります。
明るくてノリが良くて、あとは歌詞に「渚」とか「水平線」とか「岸」とか海満載だからでしょうか。こちらもこのアルバムの中でとても好きな曲です。
#03 MIDNIGHT DOWN TOWN
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司
藤田さんと林さんの、まだオメガサウンドの形がおぼろげな頃、新しいAORを模索していた時期の曲。
出来上がったメロディーに洋楽のエッセンスをどれくらい加味するか、などがテーマだったそうです。
ベースのチョッパーや、イントロのトーンがその後のオメガらしさにつながる楽曲。
ソウルちっくさもあり、ちょっとふんわり、マイアミサウンドマシーンみたいなところもあって好きです。
#04 LIGHT MORNING
作詞:秋元康 作曲:杉山清貴 編曲:志熊研三
乙女な曲だとおもいます。
#05 UMIKAZE TSUSHIN (海風通信)
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司
きゅうてぃ・ぱんちょすとしてデビュー用に作られた楽曲。ちなみにVAPからではなくBMGから出すはずだったそうな。
林さんはエイジアやフォリナーを意識して作ったそうです。
わたしはなんか、ジャーニーみたいで好きです。ノリもいいし。皆様、ぜひ、ライヴ音源で堪能してくださいませ。。。。
いや、この、レコード音源も最高ですけども。
#06 TRANSIT IN SUMMER
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司
アレンジにきめがやたらと多く、林さんが当時のクセに従い、ごくごく素直に書いた曲なので、その分アレンジに時間がかかったそうです。
わたしはこの歌のちょっとウェッティな、、濡れた感じが好きですが、、、これ、歌いにくいよなあ。こういうの、難しいなあ。
#07 TRADE WIND
作詞:秋元康 作曲 杉山清貴 編曲:志熊研三
こちらは杉山さんが初めてキーボードで作ったという曲。
杉山さんの1992年のソロアルバム「彼方からの風」にセルフカバーが収録されています。聴き比べるとめちゃくちゃ面白いですよ。
同じキーで歌っているけど、全く異なるアプローチで。
オメガトライブのほうのアレンジは「ジョジョ」(ボズ・スキャッグス)のイメージになっています。
#08 SEXY HALATION
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司
ボズ・スキャッグスやTOTOなどの当時の西海岸風AORの影響がみられる、と林さんのコメントがあります。
私はなんだかピーター・アレンみたいで好きですね。
#09 ALONE AGAIN
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司
杉山さんもファンの大勢も大好きだという壮大なバラード名曲。
私も嫌いではありません、いや、むしろ好きなんだけども。
だから、バラードはずるいからさー、ごにょごにょ。。。。あはは。
これはソロになってからもずっと杉山さんが歌っていて、素直にとてもいい曲だと思います。
ただ作者の林さんは「そんなにいいのかなあ?そこまで大傑作なのかなあ?」とずっとはてなマークで、ようやく2013年ごろから「いい」と思えるようになったというか、納得したとかどうとか。
それって、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が、最初は楽譜を送られたレオポルド・アウアーが「こんなの演奏不可能」と送り返したり、初演時に批評家のハンスフリックが酷評したけれども、
初演を担当したヴァイオリニストのブロズキーがこの曲を気に入ってあちこちで演奏しまくって魅力を振りまいて人気曲にしてくれたような感じ?
いや、アローンアゲインは、最初からファンには大人気だったから、酷評はなかったけれども(しいて言えば、当時の杉山さんの英語の発音に文句をつけられたくらい?)。
そんな感じで、作った林さん的には格別の曲ではなかったかもですが、歌い手の杉山さん自身と、ファンがずっと伝道したおかげで、、、ファンに作られた・愛された・育てられた名曲だと思います。
私は当初は、あまりにも素直な直球すぎるバラードに、照れてしまっていた気がします。
いや、このアルバム全体として、杉山さんの声そのものが、素質で勝負というか、ほんとうに瑞々しい若々しい感じで、まっすぐすぎて、、、、それを受け止めるには、わたしもひよっこ部分ととこまっしゃくれた部分とが、ないまぜで、器がいっぱいいっぱいだったんだろうなあ。
この曲の美しさに心打たれるようになれたのは、大学生になってからだったと思います。
いよいよ今回は1st.アルバムです。
発売は1983年9月21日。
ジャケットはハワイのワイキキですが、今のホテルが乱立しているのとは全く違う風景ですね。こういうふうに、昔の姿がジャケットに残るのもいいものですね。
・・・・・・・ハワイ行ったことないですけどね。
これはまず貸レコードで借りて、という毎回のパターンですかね。
お金を貯めて自分で買い直そうなんて思っているうちに解散しちゃったんだよなあ。
なんと言っても、彼らとの出会いの原点である「サマーサスピション」とこのファーストアルバムは、単純に好き嫌いだとか、アルバムとしての良いとか悪いとか、言えないレコードです。
比べられない。リーグが違う。特別な存在ですね。
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#01 SUMMER SUSPICION #02 PADDLING TO YOU #03 MIDNIGHT DOWN TOWN #04 LIGHT MORNING #05 UMIKAZE TSUSHIN (海風通信) #07 TRANSIT IN SUMMER #08 TRADE WIND #09 SEXY HALATION #10 ALONE AGAIN | |
バップ |
わたしはアマチュア時代の前身となるバンド、きゅうてぃぱんちょすのことは、杉山さんたちがデビューしてから知りました。
きゅうてぃぱんちょすはYAMAHAポピュラーコンテスト、通称ポプコンに出場などしてデビューを模索していました。
第19回、1980年5月のつま恋本選会では「ゴスペルの夜」で入賞、同年10月の本選会は「乗り遅れた747」で出場していますがこちらは入賞に至らず。
初めて出たのは18回大会だそうです。またブロック大会、関東甲信越大会や本選などを通して、作詞家の松井五郎さんやスタレビ、増田俊郎さんとの長年のお付き合いがあるのですね。
さて、私は子供の頃、YAMAHAの音楽教室というものに通っていて、幼児科、専門コース、あとはピアノの個人レッスン、パーカッションすべてYAMAHAで習っておりました。
YAMAHAは日本全国どこにでもあって、転勤族の我が家は流れのままずーっとYAMAHAっ子。三重に移った中学の時に、ピアノだけに絞り、YAMAHAではない個人のピアノ教室へ移るまでそれは続きました。
お教室は、だいたいなんかの駅ビルとか雑居ビルに入っていて、大きいところだと、レッスン室以外に、コンサートホールやリハ室、スタジオがあったり、レコード&楽器店が一緒にありました。
で、その楽器店とレコード屋さん。。
クラシックの楽器売り場、、、これはですなあ、習っている楽器がいくらクラシクピアノでも、なかなか入りにくいですよ。めっちゃ高そうな楽器だらけで、弦楽器なんかはケースに入れられていましたが、各種エレクトーン(教室にあるのより、はるかに高そうなやつ)、G1~、、、まあG3くらいまでのグランドピアノはあったかと。(G5なんかはおいてないと思ったけどわかんない)
しかし、レコード売り場、エレキ関係の売り場とか、楽譜売り場・雑誌売り場、洋楽雑誌売り場、あとは私はパーカッションもやってたので、バチ関係のあるところ、マレットとかの場所(バチの先の綿綿、ポンポンしたところね)は入りやすかったです。
そこではけっこうYAMAHAの映像が垂れ流しだったんですよね。
で、ポプコンの映像もいろいろ流れてはいたんですが、、、
きゅうてぃぱんちょすは全く覚えていません。
何しろお目あては、楽譜とかバチでございます、耳から入ってくるのは「ひーとーり咲~~~き~~~」(チャゲアス)とか、「飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで」(円広志)「まーわるーまーわるーよ、時代ーは」(中島みゆき)、その他クリスタルキングとか、世良さんとか、家でもかかっていて、知ってる曲ならね、「おお、これは知ってるな」みたいな感じで立ち止まったりしましたが。
その後テレビ放送をきちんと見るようになったのは、あみん、アラジン、トム・キャット、辛島さん、吉野さんあたりが出ていた1981年~1985、1986年くらいかなー。
それで、第30回のポプコンのテレビ放送。これのオープニング映像で、杉山さんのロン毛映像を初めて見たんですよ。
この第30回は尾崎和行&コースタルシティがグランプリをとった年なのですが、尾崎さんはそのころ関西圏ではとても有名な方でした。そんな彼が出るということでばっちり見ていた時に目に飛び込んできた杉山さんのロン毛、、というかクリスタルキングみたいなお姿に思わずのけぞりつつ、、、なんで音がないんや、、とがっくりしたのを覚えています。
今はいい世の中です。
ポプコンの映像はいろいろアップされておりますね~。
第30回の映像 ・・・ こちらはオープニング30秒内の映像ででちらっと杉山さん。ちなみに、すぐ後のCMでは高橋伸明さんと河合奈保子の名デュエットソングが聴けます(とんがりコーン)。1時間1分あたりでは雅夢の三浦さんがちょろっとゲストで映っている。そして1時間3分頃に、尾崎さん。尾崎さんのこの曲はポプコングランプリののち、世界歌謡祭でもグランプリでした。尾崎さんも素晴らしい歌手でしたね。。。。
第19回は残念ながら見つかりませんでしたが(雅夢の「愛はかげろう」が優秀曲賞、きゅうてぃぱんちょすの「ゴスペルの夜」が入賞)
第20回はこちら・・・きゅうてぃぱんちょすの「乗り遅れた747」(松井五郎作詞杉山清貴作曲)は12分10秒くらい。
ま、ポプコンについてはこちらをご参考に。
ポプコンでグランプリ→即デビューみたいな道筋がある程度あるのですが、それを果たせなかったため、当時在籍していたメンバーの千住明さんは脱退して純クラシックへの道へ、後任のキーボードとして西原俊次さんが加入。
また実際には、19回の入賞のあと、デビューのお話はあったそうですが、自分たちの楽曲のレベルに不満があった彼らはこのオファーを断って、横浜を拠点にライヴハウスで活動を続けます。
19回の入賞できゅうてぃぱんちょすに注目していた藤田浩一さんが「プロが提供した楽曲を演奏する」ことを提示し、これを受ける形でバンドはは「杉山清貴&オメガトライブ」と名前を変えてレコードデビューに至ります。
藤田さんの経歴はこちら→バミューダ音楽出版のページをご参考に
藤田さんはレイジー、角松敏生さんをプロデュースしていたのですが、角松さんがセルフプロデュースを選択し、藤田さんのところから出ていきます。
その後手掛けるアーティストとしてきゅうてぃぱんちょすに注目し、杉山清貴&オメガトライブとしてデビューさせるにあたり、「新しいAORサウンド」をイメージし、山下達郎さんのようなソングライターを探していました。
いろいろなクリエイターを検討し、リズムアレンジやメロディラインに魅力を感じていた林哲司さんにデモテープを依頼。彼が持ってきた2曲のデモで「これしかない」と決めたそうです。
その後藤田さんなりの「オメガトライブ」のイメージをリクエストして、オメガトライブのプロジェクトがはじまります。
藤田さんにとってのオメガトライブの代表曲は?という問いに「断然サマー・サスピション、あとはテレビプロデューサーの厳しい要求を満たすのに苦労した、マリンブルー、個人的にはアローンアゲイン」と答えています。
オメガトライブはOMEGA TRIBE、ギリシャ文字の最後のΩと民族(トライブ)を合わせた造語で「最後の民族」という意味で、名付け親はハワイの人気DJ(当時、今は東京にいる?まあ、あちこちに出没)カマサミ・コングさんが名付け親です。
#01 SUMMER SUSPICION
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司
シングルリリースは1983年4月21日です。
大事な大事なデビュー曲。リリース前に第12回東京音楽祭で披露されました。
ひとめぼれでした。。。。
いや、このテレビ放送の時は、ひとめぼれというより、あの声にあっけにとられ、ただただ感動。
その後歌番組なんかで見るにつけ、子供ながらに、アイキャンセイ、ユーキャンセイにきゅんきゅんしておりました。
友達と「すごすぎて、『気が狂いそう』なのはこっちだよねー」なんて言いあってました。
おそらく今の杉山さんのほうが、歌い手さんとしての技術、巧さは段違いに素晴らしいし、そして今も歌っているこのサマサス、今のサマサスもほんとに素敵なのですが。
もうこの哀愁テイストと、まっすぐなあの当時の声は、楽曲の一部になってしまってますよね。
サウンドと声がピターっと溶け合って奇跡のようです。
オメガトライブのデビュー用として2曲レコーディングして、でもペンディングとなって、新たに作ったのがこのサマサスだそうですが。
これが無かったら、どうなっていたんだろう。
世界はほんとに不思議に満ちておりまする。
もしポプコンで優勝していたら、即デビューです。
そしたら、千住明さんは現代音楽作曲家にはならなかったかもしれないし、妹の真理子さんのストラディバリウス「デュランティ」購入のための資金はどうなっていたのだろう、とか、西原さんは一緒に活動していなかったかもしれないんですから。
そして角松さんがあのまま藤田さんのところにいたら??ほんとに何が起こるかわかりませんね。
#02 PADDLING TO YOU
作詞:秋元康 作曲:杉山清貴 編曲:後藤次利
私なんでかこれが「渚のsea-dog」とちょっと勘違いしていた時期があります。
明るくてノリが良くて、あとは歌詞に「渚」とか「水平線」とか「岸」とか海満載だからでしょうか。こちらもこのアルバムの中でとても好きな曲です。
#03 MIDNIGHT DOWN TOWN
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司
藤田さんと林さんの、まだオメガサウンドの形がおぼろげな頃、新しいAORを模索していた時期の曲。
出来上がったメロディーに洋楽のエッセンスをどれくらい加味するか、などがテーマだったそうです。
ベースのチョッパーや、イントロのトーンがその後のオメガらしさにつながる楽曲。
ソウルちっくさもあり、ちょっとふんわり、マイアミサウンドマシーンみたいなところもあって好きです。
#04 LIGHT MORNING
作詞:秋元康 作曲:杉山清貴 編曲:志熊研三
乙女な曲だとおもいます。
#05 UMIKAZE TSUSHIN (海風通信)
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司
きゅうてぃ・ぱんちょすとしてデビュー用に作られた楽曲。ちなみにVAPからではなくBMGから出すはずだったそうな。
林さんはエイジアやフォリナーを意識して作ったそうです。
わたしはなんか、ジャーニーみたいで好きです。ノリもいいし。皆様、ぜひ、ライヴ音源で堪能してくださいませ。。。。
いや、この、レコード音源も最高ですけども。
#06 TRANSIT IN SUMMER
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司
アレンジにきめがやたらと多く、林さんが当時のクセに従い、ごくごく素直に書いた曲なので、その分アレンジに時間がかかったそうです。
わたしはこの歌のちょっとウェッティな、、濡れた感じが好きですが、、、これ、歌いにくいよなあ。こういうの、難しいなあ。
#07 TRADE WIND
作詞:秋元康 作曲 杉山清貴 編曲:志熊研三
こちらは杉山さんが初めてキーボードで作ったという曲。
杉山さんの1992年のソロアルバム「彼方からの風」にセルフカバーが収録されています。聴き比べるとめちゃくちゃ面白いですよ。
同じキーで歌っているけど、全く異なるアプローチで。
オメガトライブのほうのアレンジは「ジョジョ」(ボズ・スキャッグス)のイメージになっています。
#08 SEXY HALATION
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司
ボズ・スキャッグスやTOTOなどの当時の西海岸風AORの影響がみられる、と林さんのコメントがあります。
私はなんだかピーター・アレンみたいで好きですね。
#09 ALONE AGAIN
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司
杉山さんもファンの大勢も大好きだという壮大なバラード名曲。
私も嫌いではありません、いや、むしろ好きなんだけども。
だから、バラードはずるいからさー、ごにょごにょ。。。。あはは。
これはソロになってからもずっと杉山さんが歌っていて、素直にとてもいい曲だと思います。
ただ作者の林さんは「そんなにいいのかなあ?そこまで大傑作なのかなあ?」とずっとはてなマークで、ようやく2013年ごろから「いい」と思えるようになったというか、納得したとかどうとか。
それって、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が、最初は楽譜を送られたレオポルド・アウアーが「こんなの演奏不可能」と送り返したり、初演時に批評家のハンスフリックが酷評したけれども、
初演を担当したヴァイオリニストのブロズキーがこの曲を気に入ってあちこちで演奏しまくって魅力を振りまいて人気曲にしてくれたような感じ?
いや、アローンアゲインは、最初からファンには大人気だったから、酷評はなかったけれども(しいて言えば、当時の杉山さんの英語の発音に文句をつけられたくらい?)。
そんな感じで、作った林さん的には格別の曲ではなかったかもですが、歌い手の杉山さん自身と、ファンがずっと伝道したおかげで、、、ファンに作られた・愛された・育てられた名曲だと思います。
私は当初は、あまりにも素直な直球すぎるバラードに、照れてしまっていた気がします。
いや、このアルバム全体として、杉山さんの声そのものが、素質で勝負というか、ほんとうに瑞々しい若々しい感じで、まっすぐすぎて、、、、それを受け止めるには、わたしもひよっこ部分ととこまっしゃくれた部分とが、ないまぜで、器がいっぱいいっぱいだったんだろうなあ。
この曲の美しさに心打たれるようになれたのは、大学生になってからだったと思います。
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