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杉山清貴&オメガトライブ~RIVER’S ISLAND


お次に取り上げるのは1984年3月21日リリース、彼らの2nd.アルバム「RIVER’S ISLAND」です。

これは春休みや夏休みに祖父母や叔父叔母にもらったお小遣いをためて、そうですねえ、確かロス五輪の頃(すでに夏になってるし!!!!)にようやく買った記憶がございます。
増田明美さんがフラフラもうろうと走っていた時や、メアリー・ルー・レットンが可憐な魅力でキラキラの中、エカテリーナ・サボーがガッツリ頑張ってた頃にわたしはこれを抱えてうっとりしておりました。
ちなみにサラエヴォの時はまだレコード出ていません。
それまでは、汚さないよう歌詞カードを手書きで書き写し(なんかニュースペーパーみたいな凝った作りだったんだよなあ)、レコード借りて、カセットテープに録ったのを聴いておりました。


このアルバムは。
なんと言いますか。
3rd.での無限の可能性の広がりのあるような感じとか(いまだにあのB面はすごいと思う)、4th.や5th.のバンドそのものの勢い、充実感とはまた別の意味で、傑作というか名作。
これ1個で世界観が出来上がっている感じがします。
・・・・・まあその中で、アスファルトレディがちょっと浮いてるような気もしますが、私はアスファルトレディはライヴ名曲として大好きなので、ドンマイ。(←???)

↑↑↑などということは、中一のわたし(発売時は小学生だしな)は思っていなくて、こういうふうに思うようになったのは、高校の頃かなあ。
それまでは単に「ちょっと大人っぽいレコード」という気持ちでした。
親が聴いていたバート・バカラックとキャロル・ベイヤー・セイガーのアルバムやクリストファー・クロスを聴いてドキドキするあの感じ。



RIVER’S ISLAND

#01 RIVER'S ISLAND 
#02 ASPHALT LADY 
#03 DO IT AGAIN 
#04 SATURDAY'S GENERATION 
#05 KIMI NO HEART WA MARINE BLUE (君のハートはマリンブルー) 
#06 SAIGO NO NIGHT FLIGHT (最後のナイト・フライト)
#07 BECAUSE 
#08 RAINY HARBOR LIGHT 
#09 SILENT ROMANCE 
バップ





#01 RIVER'S ISLAND 
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司

ソロになった杉山さんの2ndアルバム「realtime to paradise」に「bound for RIVER's ISLAND」があって、そのタイトルのもとになった曲です。
(曲そのものの関連性は無いのですが、 RIVER's ISLAND の言葉の響きが気にいってつけたそうです。)
リヴァース・アイランドはマンハッタン島のことだそうです。林さんはこのメロディラインは気に入っているけれど、アレンジには未練が残る模様。
今聴くとけっこうブラ・コンちっくですねぇ。

#02 ASPHALT LADY 
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司


2ndシングル。表記は無いですがアルバム・ヴァージョンであり、演奏時間も1分ほど長いです。これまたクレジットはありませんが、カルロス・リオスがギターを弾いています
シングルでは最後のサビ中でフェイドアウトしていくのに対して、アルバムでは最後のサビを歌い切った後、インストゥルメンタルが続いてフェイドアウトする構成で、こちらが本来作りたかった形とのこと。
プロデューサーの注文で当時はやっていたタイトなラテン乗り、を狙った楽曲ですが、これが売れなかったという。
「おう、歌謡曲だな」と格好つけて歌ったという杉山さんですが、これはライヴ名曲なので、楽しくていいと思います。
2004年の再結成ライヴでの盛り上がりは最高でございましたよ。

当時の私は1分近く長いとか、シングルとの違いとか全然わかっていませんで、テレビの省略バージョンより全曲フルで聴けるアルバムっていうのはいいなあくらいの気持ちでおりました。


#03 DO IT AGAIN 
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司

ファンキーですなあ。
林さん曰く、「アース・ウィンド&ファイア風のブラスはテープ速度を上げて使った」そうです。

#04 SATURDAY'S GENERATION 
作詞:秋元康 作曲:西原俊次/杉山清貴 編曲:松下誠

2004年の20周年同窓会ライヴで、曲作りは何も手伝っていないのに、クレジットには杉山さんの名前がなぜかあるという不思議について、ギターの吉田さんが「俊が作ったといっても採用してくれないかもしれないから」合作ということで製作会議に出したら社長が『いいんじゃない』」と言ったとか。
とりあえず、クレジットは合作になっていますが、100%西原さんの作曲だそうです。
今もって、サタデーズ・ジェネレーションの意味は全く不明ですが、それを押し通せる秋元さんの歌詞のセンスったら。。。なんちゅうマジックでしょう。
これ、キャロルがあの歌い方で歌ったら素敵だろうなあ。。。鼻血出そうないい曲です。


#05 KIMI NO HEART WA MARINE BLUE (君のハートはマリンブルー) 
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司


3rdシングルで1984年1月21日リリース。TBS系ドラマ「年ごろ家族」主題歌。

さて、デビュー曲のサマー・サスピションが26万枚という大ヒットだったにもかかわらず、続く2nd.シングルアスファルトレディが6万枚という、商業的に残念な結果でした。そのため「必ずヒットさせる」ことを至上命題として製作されることになったのがこの3rd.シングル。
その失われた20万枚を取り戻すための製作チームの真剣な検討が、「君のハートはマリンブルー」という大傑作を生んだのでしょう。

まずなぜいきなり20万枚も減ったのか、、の検討。
・サマーサスピションのヒット段階では杉山清貴&オメガトライブというグループのネームバリューがまだ足りなかった
・レコードジャケットはメンバー写真ではなく南の島のリゾート写真なので、アーティストイメージより、楽曲のイメージが先行していた
・プロデューサーの意向である「タイトなラテンもの」はいまいち受けなかった

ということで、軌道修正。

まずは康珍化さんの散文詩的な断片、「I WANNNA HOLD YOU AGAIN」(サビの部分。林さんの作曲段階の原タイトルでもある)と「季節外れのバスが1台」(Aメロ)をとっかかりとして林さんが曲を作り始めます。
こたつに入りながら、ギターをポロポロつま弾きながら作ったこの曲は林さん自身が「メロディライン、コードワーク、アレンジともに完成度が高い、個人的にマストフェイバリッツ」と語っています。

ポイントとしては、濡れたマイナー色を好む日本の音楽マーケットを意識しつつ、林さんの特徴のメジャーでもなくマイナーでもない中間色や洋楽テイスト、散りばめられたテンションコードで醸し出されるザ・哀愁。

サビでも「僕の腕の中~」のくだりでは「うでのなか」の『で』、でいきなり音が飛ぶところは、サマサスのなぜ~の音飛びのように、たまらん、、聴き手が心地よく騙されるというか、ころっと引き寄せられるヘンテココードですな。
まさにお手本のような作りです。

イントロのギターとか、抑え目のストリングスとか、職人芸ですよ。ちなみにギターをレコーディングで演奏したのは松原正樹さんで、うっとりです。(あかん、松原さんなんで名前出すとまた封印領域に近づいてしまうーーー。)
ギターソロからまだサビというかあのコーラス部分に戻るためのメロディー「夕日を集めたツイードのジャケット 君の背中にかけて」なんて、神技でしょう。


それから杉山さんのヴォーカル。濡れたメロディーなのになぜか透明感があって、程よい濁りもあるという不思議さ。
杉山さんは曲を渡されたときに「曲の素晴らしさに鳥肌が立った」と言います。
歌入れの前に自分の好きなブルース系やR&B系を聴きまくって研究を重ね、あとはプロデユーサーからかなり細かく歌い方、感情の込め方を指示されて歌ったそうです。それからあの頃のラジオでプロモーションに回っていたころ、杉山さんが「サマーサスピションは高いキーで張るような歌い方でしたが、この曲は静かに抑え目に歌うような試みをしています」と言っていたのが印象に残っています。


さて、この曲は失われた20万枚を取り戻すどころか、50万枚以上の大ヒットとなり、歌番組にも多く出演していました。そしてパブリックイメージとなる「大人のシティ・ポップス」がイメージ作られる元になった作品、、にもなるのかな。
この大名曲が生まれてしまったおかげで、なんていうか、ガキンチョがどの面下げて「杉山清貴&オメガトライブが好き」と言ったらええんや、、、と、ちょっとなかなか言い出しにくい感じで、
返す返すもあの頃すでに「山本達彦さん大好き」と公言していた友人に比べて、、、自分はなんと勇気がなかったんだろうなあ。小さいなあ。
まあいいや。

今は素直にこの曲を受け止められますが、大ヒットしていた時はそんな理由もあって、なんとなく、こそばゆい曲でした。

だんだん好きになっていき、フェアウェルツアーのライヴCDでは「蜃気楼~」の部分で大号泣を繰り返していました。
ほんとにすごい曲だと思います。
杉山さんはかつて「君のハートはマリンブルーとサイレンスがいっぱいはもう一度レコーディングしたい」と語っておられました。
マリンブルーはレコーディングなさってますが、サイレンスまだですよね。いつか聴きたいです。




#06 SAIGO NO NIGHT FLIGHT (最後のナイト・フライト) 
作詞:秋元康 作曲:杉山清貴 編曲:志熊研三

杉山さんがきゅうてぃ・ぱんちょす時代の曲にメロディを足して作った曲。
杉山さんの低めの声が素敵な曲です。これはサビよりもAメロやBメロのほうが好きな作品です。


#07 BECAUSE 
作詞:秋元康 作曲・編曲:林哲司

たぶん杉山清貴&オメガトライブのファンは大好きであろう楽曲。
わたしももちろん大好き。ウェストコースト風なのが個人的にツボです。
2004年の同窓会ライブで、オメガとしての音で聴けて感動でした。


#08 RAINY HARBOR LIGHT
作詞:小林和子 作曲・編曲:林哲司

オメガトライブの曲の中ではちょっと不思議な感じの作風で、でもそのせいか、なんとなくこのアルバムの中では可憐な乙女のように感じます。


#09 SILENT ROMANCE )
作詞:康珍化 作曲・編曲:林哲司

2009年7月1日リリースの杉山さんのシングル「Glory Love」のカップリングにセルフカバーが収録されています。スタッフが1曲はオメガ時代の曲をやりたいと言ったから入れることになったとかで、そちらのカバーもアレンジは林さんですが、少しジャズっぽい感じのスローボッサ風。
私、杉山清貴&オメガトライブの曲も、杉山さんの曲も、バンドサウンドとしてのリアレンジ、若しくはアコースティックアレンジでも、たいていのものは好きになれるのですが、これはもとのアレンジのほうが染みついているのか、オリジナルのほうがいいというか、単に好きなんでしょうね・苦笑
私も心がまだまだ狭い。。。修行が足りませんな~。

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