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2016年3月13日~ハンブルクバレエ「真夏の夜の夢」~
2016年3月13日 東京文化会館 14:00開演
真夏の夜の夢
ウィリアム・シェイクスピアの原作に基づく、ジョン・ノイマイヤーによるバレエ
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ リゲティ・ジェルジュ 伝承音楽
振付・演出:ジョン・ノイマイヤー
装置・衣装:ユルゲン・ローゼ
指揮:ギャレット・キースト
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ヒッポリタ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ
ハーミア:フロレンシア・チネラート
デミトリアス(士官):アレクサンドル・リアブコ
ライサンダー(庭師):エドウィン・レヴァツォフ
シーシアス(アテネの大公)/オベロン:ウラジーミル・ヤロシェンコ(ゲスト・ダンサー)
フィロストレート/パック:アレクサンドル・トルーシュ
プロローグ結婚式の前夜:ヒッポリタの部屋
ヒッポリタ/エレーヌ・ブシェ
ヘレナ/シルヴィア・アッツォーニ
ハーミア/フロレンシア・チネラート
ヒッポリタの友人たち/
有井舞耀 ウィニー・ディアス 石崎双葉 シュー・リン パク・ユンス ミリヤーナ・ヴラカリッチ
ディミトリアス/アレクサンドル・リアブコ
副官/ダリオ・フランコーニ レナード・ラドケ
ライサンダー/エドウィン・レヴァツォフ
庭師の友人/ヤコボ・ベルーシ クリストファー・エヴァンス
シーシアス(アテネの大公)/ウラディーミル・ヤロシェンコ
フィロストレート(儀典長)/アレクサンドル・トルーシュ
職人たち/
ボトム(織工):ロイド・リギンス
フルート(靴直し):コンスタンティン・ツェリコフ
クインス(大工):リロイ・ブーン
スターヴリング(仕立屋):サーシャ・リーヴァ
スナウト(鋳掛け):リーフォー・ウォン
スナッグ(建具屋):アレシュ・マルティネス
クラウス(手回しオルガン弾き):エドゥアルド・ベルティーニ
お針子/
クリスティーナ・ボルベリョーワ サラ・コフィールド ヤイサ・コル ジョーナ・ヒルズ 平木菜子
グレタ・ユルゲンス エミリー・マゾン ヘイリー・ペイジ マリア・トルシュトゥノヴァ プリシラ・ツェリコワ
宮廷画家/マルチェリーノ・リーバオ
宮廷出納官/デール・ローズ
第1幕
夢夜、森の中―妖精たちの世界
ヘレナ、ハーミア、デミトリアス、ライサンダー、職人たち
タイターニア/エレーヌ・ブシェ
オベロン/ウラディーミル・ヤロシェンコ
パック/アレクサンドル・トルーシュ
蜘蛛の巣/ヘイリー・ページ
豆の花/パトリシア・フリッツァ
からしの種/有井舞耀
蛾/レナート・ラドケ
タイターニアの従者/
ブラウリオ・アルヴァレス ヤコポ・ベルーシ グレアム・フールマン ニコラス・グレスマン アリオシャ・レンツ
マルチェリーノ・リーバオ マチアス・オベリン デール・ローズ トーマス・ストゥールマン ルカ・アンドレア・テッサリーニ
エリオット・ウォーレル フィリップ・クレフォス
タイターニアのお気に入りの妖精/フローリアン・ポール
妖精たち/
クリスティーナ・ボルベリョーワ サラ・コフィールド ヤイサ・コル 平木菜子 ジョーナ・ヒルズ 石井双葉
グレタ・ユルゲンス シュー・リン エミリー・マゾン パク・ユンス 菅井円加 マリア・トルシュトゥノヴァ プリシラ・ツェリコワ
ミリヤーナ・ヴラカリッチ 阿部夏香 リム・チー シュー・リウ エステ・サジェ レイチェル・ウィルトン メンティング・ユー
第2幕
目覚めと結婚式
ヒッポリタ、ヘレナ、ディミトリアス、ライサンダー、fヒロストレート
結婚式の招待客/
クリスティーナ・ボベリョーワ ブラウリオ・アルヴァレス ヤイサ・コル フローリアン・ポール
ウィニー・ディアス デール・ローズ パトリシア・フリッツァ トーマス・ストゥールマン
ヘイリー・ペイジ エリオット・ウォーレル プリシラ・ツェリコワ グレアム・フールマン
副官とその奥方/
パク・ユンス レナート・ラドケ
ミリヤーナ・ヴラカリッチ ダリオ・フランコーニ
ヘレナの付き添い/
有井舞耀 平木菜子 グレタ・ユルゲンス 石井双葉 シュー・リン 菅井円加
ハーミアの付き添い/ジョージナ・ヒルズ マリア・トルシュトゥノヴァ 阿部夏香 リム・チー シュー・リゥ レイチェル・ウィルトン
ディベルティスマン/「ピラマスとシスビー」
ピラマス役のボトム:ロイド・リギンス
シスビー役のフルート:コンスタンティン・ツェリコフ
壁役のスナウト:リーフォー・ウォン
壁役のクインス:リロイ・ブーン
月役のスターヴリング:サーシャ・リーヴァ
ライオン役のスナッグ:アレシュ・マルティネス
手回しオルガン弾き役のクラウス:エドゥアルド・ベルティーニ
ノイマイヤーが若いときに作った作品のせいか、これぞザ・ノイマイヤーな深くて苦しいような切ない作りではなくて(あれはあれで好きなのですが)、あのメンデルスゾーンのラッパぱらっぱー的な明朗快活さがダイレクトにこちらに伝わってくる、とても華やかで楽しい作品でした。
そして、多幕ものの、物語バレエらしく、ダンサーの踊りてんこ盛りで、見ごたえ十分!
また、作られた時代の実験要素とか創作にかける熱意っていうか、それからいいものになんでもかんでもかける余裕があったせいでしょうね、今なら削られてしまうような省エネ演出もなくて(その分冗長ととらえる人もいるかもしれないですが、いいんだよ、無駄と思える部分があってこその芸術なんだもん。)嬉しかった。
最近は「あの1分、あの30秒が、なんで削られちゃうのよ」って世知辛いのが多すぎて。。。。
それにしても!なんといっても、演出が素晴らしいというか、あの着想が、すごいなあと。
人間界と妖精界を、音楽・衣装・踊りで描き分けていて、クロスオーバーするところは、時間の進み方が異なる世界というのがすごくわかりやすく描かれていて、素敵でした。
妖精の世界を描くときがリゲティの現代音楽といかにも70年代なスペースオペラ的なあの衣装と美術!いいわー!
(80年代のハードSFも好きなんだけど、60~70年代のフリーダムなSF、それもスペースオペラのあのジャンルは、今の足かせだらけのSFより、ほんとに独創性があると思う!!!!)
人間界を描くときはもちろん、メンデルスゾーンのなじみの劇付随音楽で。
メンデルスゾーンは、モーツァルトに通じるところがあると私は思うのですよ。
普通に聴くと、時々モーツアルトもメンデルスゾーンも「ぱらっぱーすぎる」と思う時もあるんだけども。たまに。(つきつめすぎて馬鹿じゃないか?と思うこともあるんだ)
やっぱり、長調なのに悲しい、短調なのに楽しい、って感じさせるあのすごさは、モーツァルト・グループの作曲家特有のぱらっぱー具合だと思うんだなあ。
なんか普段の生活に追われていて?主演はエレーヌ・ブシェ(とりあえず、純ハンブルクのメンバーで観たかっから、この日を選んだのよ)ぐらいの気持ちで行ったあ、いろいろ玉突きでキャスト変更?
え?ヤロシェンコって誰さ?
お???シルヴィアを観られるんですか?ラッキー
そんな感じで迎えた幕開け。
これがもう、ほんとに、素敵な出演者の皆様じゃありませんか!
エレーヌ・ブシェの崇高な女王さま。
なによりあの総タイツがきまる、ってのがもう、それだけで女王さま。
あの総タイツと帽子、、銀ギラ衣装。あれが現実にそこらへん歩いていたらただの罰ゲームですが。
芸術は突き詰めて考えると馬鹿、それぐらい、紙一重ってもんです。
あの銀ギラ衣装が舞台に上がると、それだけで、異世界へこちらをいざなうってなもんですが、そこへきて、エレーヌの完璧なフォルム。
人間じゃないってレベルだった。
ただ綺麗なだけじゃなくて、あっち側なんだな、という畏怖もあり、神々しさもありました。
そしてゲストダンサーのヤロシェンコが、ほーんと、ロマンチックな風貌で、ジェントルで。
2人のパドドゥ、目覚めのあとの踊りは二人がほんとに恋人同士というか、まさに目覚めのパ・ド・ドゥで恋に落ちましたーみたいな初々しい喜びに満ちていて、思わず泣いてしまいましたし、
最後のパ・ド・ドゥは喜びと幸せにあふれていて、これがほんとのクライマックスなんだ、と大納得。
千秋楽というのもあったのかな、ダンサーの意気込みとか、喜び、気合みたいなのも一体になっていて、感動しました。
それから、人間界のもう一つの音楽を担っていた、手回しオルガンの伝統音楽と一体になった、職人たち。
彼らが最高でした。
ちゃんとシェイクスピアの原作どおり、きちんと「ピラマスとシスビー」を入れるノイマイヤーにニヤリ、ですが、、やっぱり、キャストが最高で。
ロイドとコースチャが最高でしたわ。なんであんなに素晴らしいんでしょうか。すごいなあ。
プロローグや1幕での、あのボトムおなじみの場面も、手回しオルガンでのコミカルな演技も踊りも涙が出るほど笑える大熱演でしたが、やっぱり結婚式の余興「ピラマスとシスビー」(石壁を隔てて愛し合っている恋人たちが、ロンドンの街に逃げ出したライオンに襲われたと誤解して、お互い死を選ぶ、というロミジュリのパロディ劇)での演技が最高でした。
これがあって、よけいに、四角関係の人間界のカップル、妖精界の女王さまとオベロンの対立がよけいに錯綜した感じをあおっていて、まあ、この余興、省かれてしまう演出も多いですが、
これを残してくれたノイマイヤーに感謝です!
職人たちの職業と、劇中劇のキャスティングがそこはかとなくリンクしているのもいいですよねぇ。
そしてなんかこの職人たち、おひな様の五人囃子さんとか、あとは沓もってるおじさんたちとか、ああいうの?お嫁入りに職人は欠かせないよね、みたいな感じで。
うっとこの姫さん、もしくは大公の旦那のために、余興もやるかいな、みたいなあのノリが好きです。(まあ原作ではヒッポリタは略奪された花嫁ちっくではあるのですけども。。。)
サーシャ・リアブコのディミトリアス、めちゃくちゃノリノリだったと思います。パックもきっと素晴らしいはずですが、あの騎兵隊の休息みたいな、あの振付とか、よかったなあ。
キレのある踊りも最高だったし。
彼の「ぬらりひょん」な、ニジンスキーもいいですが、こういうコミカルな踊りでお客様を幸せにできるのも、ダンサー名利につきるかと。
そしてカップリングとしてはもうこれ以上は望めないでしょうという、眼鏡っ子ヘレナのシルヴィア。
あの難しい振付をさらりとサーシャと、なんてことのないようにこなして、観客を笑いに引き込むすごさ!脱帽です。
ライサンダー役はレヴァツォフで、これも似合ってて素敵でしたね。最後の結婚式はおみゃーそれ、反則だろう、というハンサムっぷりを発揮しておりました。ライサンダーは、やっぱ、この華麗なる大根さがいいんですよ!ほんとに。スバラシー。
ああでも、ほんと、前に書きましたが、女王さまのお通り、あの場面がほんとにツボでして。
(あとは女王様のお眠りシーン?あれも好き)
あの空中散歩、この世のものではない、威厳たっぷりさと美しさ。また見たいなあ。
あれがあるからこそ、最後のパ・ド・ドゥが泣けるんだよなあ。
からくり箱の中の閉じ箱、だったり、パラレルワールド的だったり劇中劇だったり、物語の中の物語、あちら側とこちら側、どっちが現実?みたいな多重構造がさらに錯綜した人間関係を俯瞰しているようで、やっぱりノイマイヤーの深読み世界観が現れている、いい舞台でした!!!!!
カーテンコールのスタオベ。良かったですね。
ダンサーたちもノイマイヤーも嬉しそうでした。
また来てね。
真夏とニジンスキー、持ってきておくれ~。
バレエファンは、懐深い人多いから、こう、痛いMっ気たっぷりのニジンスキーも、楽しい真夏も、両方楽しみたいと思うのよ。そりゃ、椿姫も見たいし。ああもう、たくさん観たくて困るね。
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