サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

気候変動教育の必要性と課題

2022年12月17日 | 環境と教育・人づくり
1.気候変動対策の動きと気候変動教育の必要性  2015年の第21回動枠組条約締約国会議(COP21)では2020年以降の温室効果ガスの排出削減を話し合い、これを契機に、ゼロカーボンの実現時期を前倒しとし、短期的な対策を強める動きとなってきた。日本では、2019年6月、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を策定し、菅総理大臣(当時)は2020年10月の所信表明演説において、「我が国は、2 . . . 本文を読む
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根本的なライフスタイル転換のための「自己の成長」プロセスの解明に関する研究

2018年05月25日 | 環境と教育・人づくり
科研費(基盤C)により、2018年度から2020年度まで、次のような研究を実施します。 低炭素社会や循環型社会の本格的な構築のためにライフスタイルの見直しが求められるが、普及啓発や環境教育に係る既存施策は規範の活性化あるいは計画的な行動促進による漸進的なライフスタイル改善を進めるものとなっており、移住やプロシューマー化、社会活動参加、コミュニティビジネス起業等といった根本的なライフスタイル転換に踏み込んでいない。  本研究では、根本的なライフスタイル転換が外的要因からもたらされる価値観の転換、暮らしや社会活動等での学びの積み重ねによる「自己の成長」プロセスと一体的にあると考え、その「自己の成長」プロセスモデルと「自己の成長」段階・類型の判定手法となるチェック項目について、環境・エネルギーに係る地域づくりを担うキーパーソンのライフストーリーに関する半構造化インタビュー調査とWEBモニターを用いたアンケート調査により構築・検証を行う。これを踏まえ、「自己の成長」の支援施策の考察までを行う。   . . . 本文を読む
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1992年の「エコビレッジ基本構想」を振り返り、世界のエコビレッジに学ぶ

2015年03月15日 | 環境と教育・人づくり
1990年代前半に、環境庁(当時)が主催した「エコビレッジ研究会」に参加し、報告書のとりまとめをさせていただいたことがあった。   1980年代後半に、環境問題を、(単体技術ではなく)地域構造等も含めたトータルシステムとして解決しようと「エコポリス」が提案されたが、その計画づくりを支援する環境省事業が短期間で終了した。それに参加したかったができなかった私が出会ったのが、都市ではなく、 . . . 本文を読む
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飯田市のスタディ~6年間のまとめ

2015年01月04日 | 環境と教育・人づくり
 長野県飯田市におけるスタディを、2009年からの実施させていただいている。研究論文にしたら、6本分になる。整理すると、それらは当初、企図したものではないが、一連の流れになってる。  ここでは、6年間の研究結果をもとに、環境施策と「地域環境力」との関係、気候変動をテーマとする「地域環境力」の再構築について、飯田市の現状を整理するとともに、他地域への示唆について考察する。  なお、「地域環境力」 . . . 本文を読む
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地方自治体の環境政策への期待~「革新者」たれ。

2014年10月12日 | 環境と教育・人づくり
 第2次環境基本計画(2000年)では、環境問題との関わりと他主体の役割の観点から、国民、事業者、民間団体、国、地方自治体の役割を記述した。このうち、地方自治体は、自らが「事業者」、「消費者」として環境保全行動を率先して実施する主体であるとともに、地域の住民、事業者、あるいはNPOと関わりながら、それらの環境保全行動の支援や調整を行う「推進者」、「調整者」である。    また、同計画 . . . 本文を読む
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環境政策への男女共同参画

2014年09月07日 | 環境と教育・人づくり
「環境とジェンダー」をテーマにしている先生と話をする機会があり、男女共同参画型の環境政策の必要性を考えるようになった。   男女共同参画型の環境政策が必要と考える理由を、2つの点をあげておく。   1つは、行政が地域住民の意見を聞いて、環境政策の立案や進行管理を行う場合、女性の参画が圧倒的に少ないという点である。地域の環境政策における住民参加は、参加メンバーが固定化しが . . . 本文を読む
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フットパスと地域づくり

2014年05月25日 | 環境と教育・人づくり
環境自治体会議のニセコ会議があり、アドバイザーの一人として参加をしてきた。私の担当は、地域資源活用の分科会。今回は、ニセコのフットパスを歩くという体験が中心であった。   フットパスは、もともとはイギリスに発祥があり、囲い込みをされた土地の中に、市民の歩き権利を取り戻すというコンセプトである。   日本の場合は、もともと長距離自然歩道が国によって整備されてきたが、それら . . . 本文を読む
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地域とコミュニティ

2013年07月21日 | 環境と教育・人づくり
1)地域とは    地理学における地域概念として、等質地域と結節地域といったものがある。等質地域は性質が共通する空間の範囲であり、方言や文化等を同じくする範囲としての地域がこれに相当する。結節地域としては商圏や通勤・通学圏、あるいは流域圏等が相当し、人や資源等のやりとりにおいて異なる性質を持つ空間が結びついたものを指す。    この他、地域の捉え方は社会学や経済学によっ . . . 本文を読む
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気候変動の人そだて~気候変動の地元学

2013年06月02日 | 環境と教育・人づくり
 5月30日から6月1日にかけて、鹿児島県日置市で開催された環境自治体会議にコーディネイターとして参加をさせてもらった。分科会やシンポジウムでの議論が十分になさたわけではないが、私にはふだんにない刺激になり、よい機会となった。たぶん、参加した多くの人が何かしら得ることがあったのだろう。    さて、1日に吉本哲郎さんが、「地元学」の話をされた。ギャグのセンスならあれくらいにはなれそう . . . 本文を読む
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持続可能な発展の概念と構造

2013年03月24日 | 環境と教育・人づくり
 これまで,持続可能な発展に係る多く議論や研究が成されてきている.ここでは持続可能な発展の概念定義,持続可能な発展に係る指標の領域,持続可能な発展に係る構造分析に関する既往研究等の状況を整理する.   1) 持続可能な発展の概念    持続可能な発展の概念は,国際開発分野において,提案されてきた.まず,国際自然保護連合が世界自然資源保全戦略(1)の中で,「持続可能な発展 . . . 本文を読む
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持続可能な地域づくりのチェックリストの試行から学んだこと

2013年03月10日 | 環境と教育・人づくり
 地域の持続可能性のチェックリスト(45項目)を開発し、山間集落で住民による地域診断を試行してもらった。対象とした山間集落は2地域で、各々の人口は数千人規模である。  チェックリストは、他者への配慮、リスクへの備え、主体の活力といった持続可能性のあるべき規範をもとに、設定し、統計的な有為性の検定を経て、絞り込んだものである。  回答においては、地域の現状ではなく、10年前と現在を比較してもらい . . . 本文を読む
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地域アニメータと地域コーディネイタ

2013年02月04日 | 環境と教育・人づくり
山村地域の調査をするなかで、「アニメーター」という言葉をふと思い出した。アニメータとは、アニメーションをつくる人のこと。地域づくりの現場では地域の人を元気づけて、動かす人という意味で、コーディネイターも大事だが、それとは異なる役割のアニメータも大事であると言われた方のことを思い出したのある。その方は若くして亡くなられたが、多くのメッセージを発し、残し、それを受け継ぐ多くの方がいると思う。 &nb . . . 本文を読む
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「居ごこち学会」第1回研究交流会に参加して

2012年12月28日 | 環境と教育・人づくり
   少し前のことだが、11月8日に東海大学で開催された「居ごこち学会」の研究交流会に参加した。  「居ごこち」という言葉の持つ意味や奥深さを理解するよい機会になった。持続可能な地域づくりのチェックリストの開発研究を行っている私は、地域の持続可能性と個人の幸福との関係についても分析を行っている。幸福と「居ごこち」との関係等、今後の研究に役立つヒントをいただいた。  ここでは、「居ご . . . 本文を読む
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未来都市の暮らし その5

2012年12月27日 | 環境と教育・人づくり
過去15年の変化を振り返って(二人の会話)   ここからは、僕たち2人で、ここ15年の変化のこと、K市のことをあらためて整理してみようか。     わかりました。私(美咲)は、最近思うの。この街に住んで15年で、この街は大きく変わったわ。でも、この街は、この街をどうしたいか、どのように変えるかを常に私たちに説明してくれたし、私たちの意見を聞いてくれた。そのことで . . . 本文を読む
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未来都市の暮らし その4

2012年12月17日 | 環境と教育・人づくり
  共有で使うものが増えてきた    さて、クールな僕(?)は、2020年代になって、急激に普及した「シェアリング」のことを話したいと思います。「シェアリング」は、みんなでモノを共有することです。高額でたまにしか使わないようなモノは、個人で所有するのはモッタイないと思う人が増えてきて、「シェアリング」が爆発的に普及しています。    まず、うちではマイカーをもっていません。近隣 . . . 本文を読む
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