サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

未来都市の暮らし その5

2012年12月27日 | 環境と教育・人づくり

過去15年の変化を振り返って(二人の会話)

  ここからは、僕たち2人で、ここ15年の変化のこと、K市のことをあらためて整理してみようか。

 

  わかりました。私(美咲)は、最近思うの。この街に住んで15年で、この街は大きく変わったわ。でも、この街は、この街をどうしたいか、どのように変えるかを常に私たちに説明してくれたし、私たちの意見を聞いてくれた。そのことで、私たちも街の取組みに参加しようと思えた。今の街や暮らしは、とても楽しいけど、その楽しさは与えられたものでなく、自分たちも参加してきたから楽しいんだと思うの。 

 

  僕(翼)もそう思うよ。K市以外の街をみると、大手のデベロッパーが大規模な空き地を利用して、大規模な住宅地を整備して、そこにハイテクな設備をふんだんに盛り込もうとしたけど、結局、与えられたカプセルの中での暮らしは楽しくないと引っ越す人が増えているというよね。

 

  私、この前、お隣に最近、引っ越しきた中村さんの奥さんと話をしたの。中村さんたちは、郊外の歴史ある街に暮らしていたけど、駅から離れたところに大型ショッピングセンターができて、鉄道駅前がどんどん寂れたみたい。車がないと移動できないような街になったのだけど、ここのところガソリンが上がっているでしょ。そうするとガソリン車をやめて、電気自動車にしようと思ったけど、その街では電気自動車の充填施設も少なかったみたい。このK市にくると、電気自動車の充填施設は充実しているし、カーシェアリングで利用することもできる。そもそも、自動車を利用しなくとも歩いて買い物にいくことができる。それに気づいたら、K市に引っ越したくしてしかたなくなったと言っていたわ。

 

  確かに、最近、寂れている街が増えているね。この15年の間に、未来を先取りしようと頑張った街と、問題を先送りして何もしなかった街の差が出ているね。僕の出身地のS県のH市なんかも、自動車に依存する街づくりを変えようとしなかった。そのうち、高齢化が進んで、高齢者が増えてきたのだけど、そうすると駅前に入居型老人ホームばかりが立つようになった。昔あった有名なデパートも老人ホームになった。

 

  私たちはK市という成功した街のことを話したけど、日本全体をみると、失敗した街は少なくないわね。他の街はなぜ、未来に向けてやるべきことがわかっていたのに、それをしなかったのかしら。私はそれが不思議だわ。

 

 そうだね。僕の知るところでは、失敗した街の中にも未来都市を名乗り、いろいろな構想をつくったところもあったんだよ。でも、そうした街が失敗したのは、何かが欠けていたと思う。

 

 何が欠けていたの?教えて。

 

 そうだね。その答えはk市と他の街の違いを比較すればわかることだよ。美咲だって、わかっているはず。

 

 詳しくは、白井信雄著「図説 スマートシティ・環境未来都市」に書いてあるから、読んでみてね(笑)。

 

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