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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

2007-05-30 02:08:15 | 
本谷有希子さんの舞台は
残念ながら
まだみていない。

しかし
書店でふと手にとった
本谷有希子さんの
「生きてるだけで、愛」

期待以上に面白く
そして
からだに響いた。

そしてそして
今回
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(講談社文庫)
を読む。


やっぱり、このひと、すごいや。



現実をみる
ことの厳しさ。
現実をみるからこそ
前に進む現実。



「唯一無二」
笑いながら、澄伽は独り言を吐いた。

(講談社文庫p177より)



女優志願の姉(澄伽)が
かつて屈辱を与えられた妹に復讐する--

重たい話の中に
適度に混じる本谷有希子さん独特のユーモア。


そして---
なにより心に響く物語。




小説って、すごい。



表現の形式には
それぞれに
その形式でなければできないことがあるのでしょう。

ジャグリングならでは---
そんなモノをつくって行きたい。


星新一との再会

2007-05-28 03:45:08 | 
同じような時間を過ごしたひとは
結構多いのではないかな。

小学生高学年から中学生に渡り
私が好んでいた作家は
星新一
でした。

文字通り
貪るように星新一のショートショートを読んでは
笑い
意外性に驚き
そして
興奮していました。


「星新一 1001話をつくった人」(最相葉月著, 新潮社)

読んでいて
なんだろう
たびたび目頭があつくなるのを感じました。

星新一の生々しい姿は
星新一の書くショートショートがすばらしく抑制されているが故に
からだに響いてきました。

このひとはずっとずっと戦っていたのだ。

人物の記録を読むと
私は
どうしてもジャグリングに置き換えて読んでしまいます。

最後に
星新一の言葉を、本書より引用。

ぼくの考えだとSFというのはないのじゃないかということです。あるのは作家と作品だけで、SFの世界などはないのじゃないかと思うのです。各、個人個人のSF的手法における手法における世界はあるけれども、SFという一つの世界はないのじゃないかという気がしてきたのです。だからこそ内的宇宙の再確認なのです。そうでなければいかん。SFという既成概念で作っちゃって、それで合わせていくと、ろくな作品はでてこない。


茂木健一郎「脳と仮想」

2007-04-26 02:28:48 | 
数年前。
マジックを師事していた故 村上正洋先生が

---芸とは何ぞや?

と問われました。

芸について
あいまいな考えしか持っていなかった私は
答えに窮してしまい
当たり障りのない表面的なことを
あわあわ
としゃべりました。

ひとしきり
私に話をさせると先生は一言。

---芸とは絵になっていることだ。



雨の一日

茂木健一郎「脳と仮想」(新潮社, 文庫版, 2007)
を読んでいて
ふとそんなエピソードが蘇ってきました。

先生の言葉を初めて聞いたときは
ふむふむ
とわかったようなわからないような気持ちになったものですが---

芸とは演者と観客が「仮想」を共有して
初めて
芸として
エンターテイメントとして成立するものなのですよね。

そして
茂木健一郎氏、曰く

「私たち一人一人にとっての絶対与件は、世界が根本的に断絶しているということである。その断絶を何とか乗りこえて他者と行き交おうとする中で、私たちは他者の心という仮想を生み出す。
それが私たち人間が生きるということなのである。」



クオリアから出発し
仮想を手掛かりに進む思索の旅は
とてもスリリングです。

そして
今の私には

切実に「生きて行く」ということに結びついた
その考察が
創造の意欲を刺激して止まない一冊でありました。


クリエイティブ脳のからくり

2007-04-12 23:35:03 | 
「クリエイティブ頭のからくり 7つの発想法」
(袖川芳之著、朝日新聞社)
を読みました。

「企画」という仕事に携わる著者による
クリエイティブな発想法

「学問的」に展開されています。
(読むにあたっては、硬派な展開に、はじめのうちは面喰らいました。)

いまだすべてを飲みこめた訳ではないのですが---

「表現」の
もしくは
「表現ビジネス」の
学問的ベースに無知な私には
散乱していた感想を
整理してくれた貴重な本でした。

「記号=表現+意味」

に代表される
記号論
の下りは
とりわけ面白く思いました。


ジャグリングをやっていると
どうしても
ジャグリングが持つ

「意味」

の弱さが気になります。

演劇、ダンス、パントマイム、あるいは、マジック
これらと比べて
ジャグリング単体では

「意味」

を表現するのに弱いように感じています。

ジャグリングにおける「意味」
というのは
考えるのに
(試行するのに)
とても面白い課題であり

私自身のここ数年の課題でもあります。

(ヌーボーシルクの流れの中で
この課題にひとつの答えを与えている演技が存在するのも
知っていますが。)

改めて
この課題に取り組むモチベーションを
この本から得ました。

そして、
このようなモチベーションを持つジャグラー(もしくはパフォーマ-)には
ぜひ
この本を読んでもらいたいな
と思います。



すごい人の頭ん中

2007-03-28 01:31:31 | 
起業家へのインタビューを集めた書
「すごい人の頭ん中 すごい起業家」(ビジョネット編 ゴマブックス)
を読んでいます。

どの起業家の方も
事業への情熱と
生きることへのパワーに満ちていて
とても刺激を受けます。

そして
分野が異なっても
語る言葉がとても近しいのが印象的です。

---自分が好きだと思えることに取り組んでいること
---あきらめず続けること
---明確なビジョンをもつこと
---今を大切にすること

等々。

中でも
ワタミ株式会社代表取締役社長である
渡邊美樹さん
の言葉のひとうひとつは強烈でした。

---我々は「損得の判断を超えろ」と常に言っていますから。ワタミとしてかっこいい判断か、美しい判断か、これが一番重要になります。

素敵です。
惚れますね。

いつかお話をじっくりと聞いてみたいなぁ。


起業家の方々の発言には

「ジャグリング」という営みの中で感じること

と共通点が
多々あるように感じました。

実は
それが今回
この本を読んでいて
共感を覚えたことの理由のひとつです。

「ジャグリング」は
ただただジャグリングに過ぎないのですが
それでも
たくさんの気付きを得られる可能性を秘めたものだと
私は信じています。

もちろん
そんなこととは関係なく
とてもとても単純にたのしい
ことでもあるのですが。

ジャグリングは
人生を豊かにするすべてでは決してありませんが
人生を豊かにする道のひとつであるなぁ
と感じています。

こんな道もあるんだよ
とこれからも示して行きたいです。


ちょっと大袈裟な話になってしまいました。

たかがジャグリング
されどジャグリング

ジャグリング、すきです。