学校の帰り道。
家並みの中で出会った一匹の猫。
目が合うと、猫は塀と生垣に挟まれた細い径に身を翻した。
その細い径の先には何があるんだろう。
そう思ったところで僕は知ることが出来ない。
僕にその径は狭すぎる。
小径の入口で立ち止まった猫は振り返って僕のほうへ顔を向けた。
ここは君には無理さ。知ることの出来ない世界だってあるのだから。
そう言われた気がした。
僕は色んな世界を見たいと思う。
カメラを持つと、さらに色んな世界を見たくなった。
でもその分、世界は少し広がった。
しかし、それでも知ることの出来ない世界はある。
知らない世界への入口を見つけたのに、そこにすら立つ事が出来ないなんて。
僕は諦めて見慣れた世界へ戻った。
振り返ると、猫は知らない世界へ進んでいった。