コピーライターを目指す人の日記

言葉と、人と、文章を書くことが、僕はきっと好きです。

青年に学ぶ

2014-04-23 23:19:33 | 日記
その青年に会ったのは
1年と少し前、
あるアルバイト先で、だ。

青年は少し変わっていた。

話し方が妙だった。
たしか僕より1つ下で、
つまり青年は当時22歳だったのだが、
会話がおぼつかず、まるで小学生と話しているかのようだった。

仕事も散々だった。

仕事内容は非常に簡単で、
それこそ小学生でもできるようなことだったのだが、
青年にはできなかった。
その度に注意されたが、
聞こえているのかいないのか
よくわからない反応で周囲の人も戸惑っていた。

仕事は簡単だったが人手が足りておらず、
猫の手も借りたい状況だった。

そんな状況にも関わらず、
青年は仕事場を外され、「ダンボールをつぶす」という仕事が命じられた。
何時間も延々とダンボールをつぶすだけの。
つまり、青年は邪魔者として扱われた。
「使えない人間」として。

僕は上の人に掛け合った。
青年をこういう役割として使わせてほしい。
僕は青年を「使える」と考えていた。
(人に対して「使う」という言い方は好きではないが。)

なぜなら青年は「素直」だったからだ。

さっそく次の日から僕の指導のもと
青年は動くことになった。
(僕が権力者だったわけではなく、
青年や仕事に対してそこまで真面目に考えていた僕が
稀な存在だっただけだ。)

青年は活きた。

一般的にではなく、
青年のできる範囲を考え、
それ以上はやらせなかった。
仕事内容自体は誰でもできる簡単なものだったから、
そこからさらに簡単なことを選び、
青年にやってもらえばいいだけだった。

ある日の休憩時間、青年に聞いた。
「ダンボールつぶしとった時と比べて今どう?」
青年は言った。
「楽しいです。」

「楽」を基準として生きる人間なら「ダンボールをつぶすだけ」という
考えうる限り最高に楽な仕事からは離れたくはなかっただろう。
青年はそうではなかった。


この体験は少しだけ僕の自信になった。

僕より何年も多く生きてきた人が
「使えない」と判断した人を
僕は「使える」と判断して、
結果、みんなを助けて本人も楽しいと感じてくれた。


そのアルバイトは2ヶ月程度のものだった。
青年が今、どこで何をしているか僕は知らない。
きっと普通に仕事をすることは
青年にとって困難なことだと思うけれど、
どこかで元気にしているといいな。

僕は青年に感謝している。

明日の座右の銘は
「人間はみんな違う。」

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