このところ普通の読書の合間に、ここ10年ぐらい以前の「○○賞受賞ミステリー」をちょこちょこと読んでいます。
昨日読み終えたのが 池井戸 潤 氏による「果つる底なき」 。
第44回江戸川乱歩賞受賞作とのことです。
ミステリーなのであらすじは書きませんが、
「私は高畠が考え込んでいる間、まわりで飲んでいる連中の表情を観察した。楽しそうな表情もあれば、沈み、鉛色をした瞳の持ち主もいる。弾けるような笑いもあれば、怒りに顔を赤らめ何事かを必死で主張するものもいる。これだけ大勢の人間がいながら、集団として捉えることはできない。あるのは個だ。都会特有の隔絶した感覚に、長い間かかって慣れてきた気がする。いま私の胸中には、この世の中で生きていくことの醜さ、むなしさが漂流するだけだ。
守るものが欲しい。何か。・・・」(p303-304より引用)
たとえば、こういったフレーズが、この類のミステリーの読者と世代感覚を一にするのかもしれません。
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