MIYAGI VILLAGE

夏は雷、冬はからっ風、人は義理人情を重んじる・・・。

日印同盟の必要性

2005-12-14 23:26:56 | 政治・経済
初めて開かれた東アジアサミットが閉幕しました。

メディアは日本と中国の主導権争いが行なわれたと報道していますが、結果は中国の有利におわったようです。

東アジア共同体はASEAN+3で、というのが中国の主張、対して日本はインド、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカも加えろという主張で、これがぶつかったわけです。

日本の外交の稚拙さというか、最近の日本の外交はいいところがありません。小泉さんに戦略というものがあるのかどうか疑問ですらあります。

俺は、アメリカを加えよう、という意見には賛成できません。日本が東アジア共同体に参加するのはアメリカからの独立を目指すという意味が多分にあると思うからです。アジア外交まですべてアメリカに牛耳られてしまう、そんなの独立国ではありません。より幅広い独自外交を日本が進めるために、日本は東アジア共同体の中で輝いていくべきだろうと考えます。

俺が東アジア外交を考える上で重視すべきはインドとの関係です。アメリカとの同盟があり、日本に近い政治状況のオーストラリアよりも、中国と対抗しうるだけの国力を秘め、日本と同じく、アジア外交の主導権を握っていきたいインドと日本は連携するほうが特だと思います。両国ともに中国一極支配への激しい抵抗感を持っています。

現在、両国の思惑は非常に近いと思います。日本とインドが同盟を結ぶことで日本のアジア外交への影響力は倍増することは間違いありません。中国は日本には文句を言いますが、国境を接しているインドには文句が言いにくいわけです。中国が日本を疎外することはすなわちインドを敵に回すことになる、そう中国政府が考えれば大きな抑止力になるでしょう。

日本・韓国・台湾・フィリピン・シンガポール・インドで中国を包囲し、シーレーンを防衛する、これはの日本の国益にかないます。対中国の体制を日本は整えておくべきだと思います。中国の野望は太平洋に出ること。太平洋の制海権を巡ってアメリカと中国の間で争いになるような事態は絶対に避けねばなりません。各国は連係して、海のイニシアチブを守っていく必要があります。

日本は中韓との仲が修復困難なところまでアジア外交では追い詰められています。今は新たなパートナーと組み、影響力を回復させることを考える必要があります。確かに、中韓と仲良くいい関係を築ければベストでしょうが、日本の友好国である台湾にミサイルを向ける国と、仲良く過ごしていくことは現状では厳しいのが実情です。

台湾に関していえば、大きさの大小に関わらず、侵略の意図を中国は持っています。ミサイルを配置し、反国家分裂法を制定したことからも明らかですが、中国は台湾が独立の動きを見せたら即座に攻めることでしょう。もし、台湾が落ちたら、中国は容易に太平洋に出ることが可能になります。起こるのは米中の制海権争い。

政治的に、中国と仲良くするのは日本にとっては難しいのです。政冷経熱はそう簡単には収まらないでしょう。靖国参拝を止めたところで大した意味はありません。東シナ海のガス田の掘削、尖閣諸島問題、課題は山積みです。(ちなみに俺は靖国の教義に怒りを覚えるという理由で首相の靖国参拝には反対していますが。)

そう考えると中短期的には、日本と中国の関係はなかなか改善しないでしょう。つまり、中国はしばらくの間日本にとっては脅威であり続けると思います。脅威には対抗しなければならないのです。円満解決は理想です、しかし中国が日本に対して譲歩してくれるでしょうか。確かに、露印に対しては中国は領土問題で譲歩しました。それは譲歩した土地が山岳地帯であったり辺境であったりと、そんなに重要な土地ではなかったことが一つの要因だと思います。

しかし尖閣には資源があります。これを中国が手放すとは思えません。尖閣諸島の問題はこれからずっと先も政治問題であり続けると思います。それが嫌なら、片方が降伏するしかありません。中国と今すぐ関係を改善したいなら、日本は尖閣を放棄し靖国を取り潰せばいいのです。しかし、そんなことができるはずがありません。

現状においては和解への動きと同時に、対抗姿勢も建てていかなければならない現実があります。日中間の諸問題を解決していくには国際社会の理解が不可欠。インドと組みともに国際社会に中国、東アジアの問題点を提案していくことが大切です。領土問題でインドに譲歩した中国はなぜ日本には譲歩できないのか、と迫ることも可能でしょう。

日印同盟の国力は巨大です。結ばれれば世界の一つの極になりえます。日本がアジア、そして世界で輝いていくには必要な選択肢だと思います。

(写真は、東アジアサミットにおいて、小泉首相と中国の温家宝首相がペンのやり取りを行なっている写真)



PS.日本、インドにインドネシア、シンガポールを加えて4カ国同盟を作るのも手だと思います。中国VS日印、世界は民主主義を好みます。アジアの中では中国が優勢だとしても、国際社会の中では日印の主張が支持されるのではないでしょうか。そのためには世界が納得できるだけの主張を日印ができるかどうかでしょう。日本の外交手腕が問われます。


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2 コメント

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偶然にも (天野)
2005-12-15 18:12:02
丁度ゼミで勉強している範囲なので発言を。ただし自分の知識は浅はかなものなのであんまり深い突っ込みをもらっても返しきれませんのでご了承下さいw



現在、東アジアでは貿易・直接投資を通じた経済的な相互依存が深まりつつありますが、これは市場ベースで進められてきたものであって、必ずしも公式な制度的枠組みによって進められてきたものではないといるようです。経済的相互依存の関係はもちろん政策や制度調整の必要を迫られるのですが、政治的観点よりも経済効果を優先視した外交が執り行われているのではないか?という有識者達の意見もあるようです。



かつてのヨーロッパのように、非戦争・平和という政治的共通意識の下で、経済統合の進化を通じて再び戦争を出来なくさせると言う明確な意図があるわけでもない状況下で経済統合が推し進められているといえるようです。強い政治的意思が存在しない中で経済ロジックによって進められています。そのために経済統合の諸問題と安全保障の枠組みとは別個のものとして捉えられがちのようです。ただし、経済統合の制度化は東アジアの平和と繁栄に効果的だという認識は暗黙裡にしても各国共有されているといってもいいようです。すなわち経済統合を基点とした外交が各国の政治的諸問題の解決にもつながるのではないかということです。



さて、東アジア共同体を作るうえで参加国の意見が割れるのにはその共同体を作る必要性その原点に違いがあると考えられます。

そもそも、東アジア共同体・経済統合を提唱するきっかけになったのは1997~98のアジア通貨危機であります。この時影響を受けたアジアの発展途上国はみな、少なくとも通貨・金融の分野において域内協力の必要性を認識したと言えます。なぜならこの時、IMFはアジアの通貨危機に対して特別な措置をとろうとしなかったためです。この通貨危機はその後のアジア経済に大きな影響をもたらしたのですが、東アジアの中ですでに自国の経済基盤をある程度完成させていた中国はその影響をこうむることが無かったのです(たぶん。いきなり弱気)



通貨危機の影響を受けることなく、中国は独自の路線で近年爆発的経済成長を遂げ、世界でも上位の経済大国となり世界各国もその動向を無視できないまでになりました。広大な国土、人材、資源も豊富で今後の成長にも無限の可能性を秘めているといって過言ではないでしょう。日本のODAの享受にたいして強い姿勢をみせたりしていたのはその自信からくるものといって間違いないでしょう。



長くなってきましたね…どうにか切り上げたい…



日本はある程度成熟してしまった経済に加え、人口問題、資源不足などの問題に直面しています。そこで近年、アジア諸国の経済成長を助長し、通貨危機のような自体を回避し、なおかつ自国の経済効果を望める東アジア共同体に積極的な姿勢を見せていると思われます。各国とのFTAの締結、さらにはEPA(経済連携協定)などなど、日本がアジアにおいて主導権を握るためには諸国との連携を強めて経済的弱点の補完をする必要があるのです。。そうすることでまた、アジアでの主導権を目指すことが叶うのでしょう。



対する中国は通貨危機の影響も知らず、また、自国の力に自信があるが故に東アジア共同体に対してあまり意欲的でないと考えられます。しかし、近年の日本を中心とした各国の動向をみているとそこの加わらずして主導権を握れないのもまた事実。しかし、ASEAN+3ならまだしも、それに加えて大国インド、オーストラリア、ニュージーランドが加盟することには強い反対姿勢を示しているのだと思われます。



小泉がアメリカの参加も提示しているのはよくわかりませんが。



疲れてきました。



この他にも、将来的な共通通貨に関する問題であったり、いろいろいろいろいろいろいろ話し出すとキリがないわけですが、今日はこんなところにしておきます。



長々失礼しました。
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勉強してるねー! (setamiyagi)
2005-12-15 22:07:19
経済面からのアプローチどうもありがとう。自分は専門は政治学なんで、弱いところを補完してくださると非常に助かります。



ところでさ、日本の外交は方向性が見えないんだよね。東アジア共同体に入って何がしたいのか。説明不足だと思わないか?



共通通貨や域内関税廃止とかはまだ無理だろう。経済の成熟度が日本だけ別格なわけで、ヨーロッパとはだいぶ事情が異なる。他の国を支えるだけの余裕、関税を撤廃して他の国と戦う経済的な余裕は今の日本にはないんじゃないかな。



では、なぜ日本は東アジア共同体に参加しなければならないのか。俺なりに日本の外交を分析してみたい。



言うまでもなく日本は成熟国家であり、これから先の爆発的な経済成長は望めない。それどころか人口が減少し国力は落ちていくだろう。



つまり、今が日本のピークなのだ。



国威を発揚できるのは今しかないのである。だから日本は必死になって国連安保理の常任理事国入りを目指している。今の分担金を維持するのは困難。いずれはその割合は減らしていかなければならない。国連の安保理入りを目指すことができるのは経済的影響力が大きい今しかないのである。



アジアにおいても同じである。アジアは成長著しく、それと反比例するように日本の力は弱体化していく。アジアで孤立していては日本は将来栄光ある孤立からアジアの放置プレイにさらされることになる。アジアで日本が影響力を保持するには、今、日本はその土台を作っておかなければならないのである。だから日本は東アジア共同体に関しては本腰を入れて外交を行なうのである。



さて、そうは言っても、いずれは中国が盟主になるだろう。でも、そうなったときにあっても日本はアジアで2~3番目の地位にいるだろう。そして途上国の中で将来株で中国の次位にいるのがインド。しかし、インドも中国に単独で勝つのは無理。



そうなったときにこの2国(日本・インド)が考えるのが両国の力を併せて中国に対抗するという手段である。東アジアのバランス維持のためにもこの枠組みは欠かせないと思う。この3大国の緩衝地帯としてのASEAN、そうなるのではないか。



将来において日本がアジアで影響力を保持するには、政治的には以上のような理由から日本は東アジア共同体構想に積極的にかかわっていかなければならないのである。





さて、経済的な理由であるが、アジアは経済が政治を大きくリードして先に進んでいる地域であると考えることが出来る。政治的には民族や宗教、領土などの問題を抱えながらももはや経済的関係の加速はとどまることを知らない。



「この船に乗り遅れるな」というのが経済界の正直な意見であろう。政治的放置プレイと違い、経済的放置プレイは日本に決定的なダメージを与えうる。原料を輸入し加工して輸出する形が日本の産業の基本的な形であり、日本は自給自足が出来ない国である。もし、アジアの経済統合に乗り遅れた場合、日本の産業モデルは崩壊しかねない。日本の多くの貿易相手はアジアであり、こことの関係で日本が不利な貿易を強いられることは避けなければならない。



共通通貨や域内関税の廃止なんていうことはまだ無理である。しかしFTAを結ぶ等のことならできる。日本は経済的にアジアに置いていかれるということはあってはならない。経済的なダメージは国家のモデルを崩壊させかねないのだ。





以上2点の理由で日本は東アジア共同体に積極的に参加していかなければならないと思う。



というわけで俺も長くなってしまったが、この問題に関しては他にも中韓との関係も論じていかなければならないし、課題は山積み。また、機会があったら書いてみたいですね。
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