台湾留学備忘録

ポスドク生活in台湾(2005~2008)。台湾在留の楽しみや苦労を書きためております。中国語が話せ無くったって大丈夫!

観測所でのこと

2007年06月03日 | 研究関係
たどり着いた観測所は、周囲牧場と草原と海岸のなかにあるような、今までに見た事のない環境にあった。こういった、特異な環境のためなのかどうなのかわからないけれど、onsala観測所の20m望遠鏡はドームの中にある。観測中ドームが空くわけでなく、観測する電波領域はちゃんと通るような素材や編み方にしてある。

観測所までの道のりはこちら

観測所の真横にオフィスやら宿舎がある。宿舎はそれぞれ個室。私だけダブルの部屋で、他の二人はシングル。私がダブルなのは、体が大きいからではなくて、その3室しかないから、年齢の関係で一番上の私が広い部屋となった。
リビングルーム ベッドルーム バスルーム

室内は、なんだか雰囲気がお洒落だ。リビングにしても、ベッドルームにしても、バスルームにしても。北欧家具という先入観があるのかどうかわからないけれど、なんだか、居心地の良い空間ではあった。

観測は、アンテナそばにあるコンソールのPCの画面ですべての調整やチューニングが出来る。
コンソール アンテナ チューニング中


今回は天体3つ一日24時間を6日間行うという結構大変な観測だ。といっても、天体が空に上がっている関係上、一日のうち12時間は3つとも上がってるが、残りの12時間は1つしか上がってない。一つしか上がってないときは、それを見るしかないので、ほとんど初めのセットだけして、あとは観測所の常駐サイエンティストに旨く動いているか見ててもらうことにした。

初日、操作を覚えるためにということもあって、後輩W(今回の観測のメイン研究者)が24時間というか、次の日も併せて40時間ぐらいぶっ通しでいろいろ試しながらやっていたら、夜中に来た常駐サイエンティストが「おまえはいつ寝るんだ」って驚かれたらしい。
こっちの研究者の人は朝来るのが早い。だいたい早い人が7時前後にきて、8時にはほぼ全員そろっている。でも、帰るのも早い。夜担当の常駐サイエンティストをのぞいてはほぼ4時でほぼ全員いなくなる。時々、残業している人もいたけどね。

その、常駐サイエンティストは朝担当の人と夜担当の二人がいる。彼らにはかなりお世話になった。日本の観測所でも、常駐サイエンティストというのはいるのだけれど、なんかよっぽどの事(セッティングを変えるとか、トラブル発生とか)がないと、頼みにくい。でも、こっちの人は「なんでも頼んでくれ、それが僕たちがここにいる理由だから」とかなんとかかっこいい事を言ってくれる。

結局、二日目からは、セッティングを変える事がない夜の12時間のうち朝までの部分はほぼサイエンティストさんに見ていてもらう事になって、24時間観測でありんがら、3人とも一日6時間睡眠(寝る前後あわせて8じかんぐらいの休息)はちゃんと取れた。

観測結果は・・・私は途中で帰ったので、今のところ最終結果を聞いていないのだけれど、あんまり芳しくなかったなぁ、いろいろ概算まちがいとか、見落としているところがあったようだ。まぁあとはWの仕事かな。今回、私がD論でやった事の続きだったので、Wにいろいろ伝授をしておく。旨く伝わったかな。どうかな。

私はD2ぐらいから天文に興味をもちだして、そっからほぼ独学でやってきたので、知識も技術も中途半端だ。というか、観測に関してはほぼ素人並み。主にあがってきたデータを解析して、意味をつけていったのがD論の仕事だった。Wは4回生のころから観測に来ていて、M1ですでにヨーロッパの天文台のサマースクールに行ったりした。(先輩のわれわれが、冗談半分にたきつけて、サマースクールに応募させたら、みごと通ったw)
修士論文のテーマの観測では、日本の野辺山天文台で外部の研究者としてはちょっと異例と言われる100時間超の観測とかやってる(もちろん責任者は教授だけれど、100時間通して観測、解析したのはW)。今回は概算まちがいというようなこともあったけれど、観測所での立ち居振る舞いとか、研究者としての自覚やらなんやら成長したなぁ(なんて私が言える立場でもないけれど)と思った観測だった。


アムステルダムへ続く