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ミラーニューロン

2007-01-10 22:22:34 | 読書編
ブログを読んで貰えるというのは,ことの他うれしいものですね.多分,こうやって教授をやっていなければ私のブログなど誰も読まないだろうことを思うと,さすがに責任なりというものは大きいものだなあと思います(しかし,ここまで文字だけのブログも珍しいですよね.そのうち,デジカメ写真も載せたいと思います).
さて,このブログでは,本などの感想が多いわけでありますが,今回はリチャードパワーズ氏について.この人は,イリノイ大学で物理学を専攻した後,文学に魅せられ文学修士号をとったという異色のアメリカ人作家です.なんで今日,こんなことを書くかというと,近刊である「世界は村上春樹をどう読むか」でこの人の基調講演がのっているのですが,評論家顔負けのというか,ミラーニューロン(恥ずかしながら,ミラーニューロンがここ10年の最大の発見であることを初めて知った!)から村上作品を解説するというこの人にしかできそうにない極めて的を得た基調講演(芸の域です.まさに)をしているのに感動したからであります.このヒトの小説は何冊か読みましたが,こういつた最先端の科学を熟知したところから,それを物語に折り込みながら非常によい物語をつくるがすごいのですよね.柴田元幸が8人の外国人作家にインタビューする「nine interviews」(村上春樹をいれると9人)という本があるのですが(CD付きで),そのインタビューを聞いていると賢い人というのはこういう人なのだというのがよくわかります.知性があるのに,情熱的で,暖かい人なのですよね.ごく自然に.こういう作家はさすがに日本にはいないのではないかなあ.というわけで,文学者に科学のことで負けているようではいかん,と反省した一日でもありました.
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