関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

小児医療質問・答弁全文

2010年09月15日 | 子育て・教育

 一般質問と答弁の全文を、小児医療の方から掲載します。

関質問
 通告に従って、小児医療について質問します。
 日本小児科学会が10年近く前に骨格を提言した「小児医療提供体制の改革ビジョン」では、「患者の小児科専門志向とあいまって時間外受診が増加の一途をたどり、サービスの低下を招くようになっている」ことなどから、医療供給体制の集約化を中心とする大きな改革案を打ち出しています。
 状況は一層深刻さを増す一方、その案の具体化には大きな困難があるようですが、ともあれ、小児医療の中心を担う小児科医の方々が抱いている危機感は、いよいよ国民的な関心事になっています。
 根本的な解決のためには、国レベルでの大きな改革が求められると考えますが、
そのことを念頭におきながらも、今回は、夜間診療所の拡大に関わってなどの当面の限られた問題について取り上げます。
 第一は、救急医療、時間外の受診状況の改善についてです。
 H21年度、15才未満の子どもの荘内病院の救急受診は、8200件に上っています。
 小児科・小児外科に分類されるものはその8割強のようですが、副院長を含めて8人の小児科医が、年間延べ2万件近い外来、8千件を超える入院の診療と並行して、診療
にあたっている訳であります(6610件、一日平均26.3件)
 それでも長年の努力により、他の同規模病院に較べれば恵まれた診療体制を築かれているのだと思いますが、そのご労苦は想像するに余りあるものです。
 一方、受診の中には、本来、救急診療が必要ではないと思われる事例があるということが問題とされています。
 それは、子どもの健康と医療機関の受診についての知識の不足や、子育てへの不安、小児救急が困難に直面していることについての認識不足、職場環境の問題などを背景とするものとされているようですが、過重な医師の負担を更に増大させることはもちろん、本当に急がれる患者への対応の遅れや、子どもと保護者にも不要の負担をもたらすものであることから、その改善を図ることが求められています。
 ただし留意しなければならないのは、
 救急受診の必要性は、多くの場合医師にしか判断できないものであり、必要性の低い受診の削減を訴えることによって、必要な受診が些かも損なわれてはならないということであります。
 また、「コンビニ受診」などと言われるような、常識を欠く不要受診は、全体の件数から見ればわずかなものであって、「コンビニ受診たたき」で事態が抜本的に改善するような簡単な話ではないということです。
 さらに、「適切な受診の知識」といった情報提供だけで小児救急受診件数を有意に減少させたという事例は、全国的にも中々聞かれないようです。
 以上留意しながらの質問項目の第一は、子どもの健康と適切な受診の知識と共に、小児救急を始めとする病院小児医療の実態を知らせ、理解を広げる取り組みを進めるということです。
 滋賀県の柏原市を始め、救急件数が減少した事例では、地域医療の危機が顕在化し、「市民自らが小児医療を守る取り組みに立ち上がった」ようなことを特徴としているようです。
 本市においても、健康と受診の知識と一体に、病院小児科の現状などについて、あらゆる機会にお知らせし理解を図るということです。
 子どもに関わる様々な教室活動・健診等の機会、保育園での各種行事、子育てサークル等々の機会、広報つるおかの掲載はもちろん、マスコミの協力などの可能性を汲んではいかがでしょうか。
二つ目は、休日・夜間診療所への誘導策の強化です。
 今般、「救急ではない時間外の受診」の受け皿として、休日・夜間診療所が診療を拡充することになったことは、地区医師会の先生方の地域医療に対する高い使命感と情熱の表れとして、敬意を表するものであります。
 その目的を達成するための一助として、県がおこなっている「小児救急電話相談=#8000番」と言われていますけども、その利用を奨励してはどうかと思うのであります。
 電話相談は、それによって受診率が低下するという明確な証明は無いようでありますが、救急か夜間診療かの判断について資することには可能性があるのではないかと思います。
  本来、診療所が電話相談機能を持つこと、「心配ならまず診療所に相談してみる」という体制が一番良いのではないかとも思うのですが、それは置いての質問です。
 三つ目の問題は、予防接種の推進、現在国の制度には無い、任意接種となっているところの各種の予防接種の推進です。
 日本医師会は丁度昨日9月12日から10月末までを期間として、6つのワクチンの定期予防接種化をめざす「希望するすべての子どもに予防接種を!」と題したキャンペーンを始めています。
 鶴岡地区医師会も期間中に3つの講演会を企画するなど、奮闘されているということであります。
 詳しく説明する時間はありませんが、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、水疱瘡、おたふく風邪、HPVと呼ばれる6種類ですが、そのほとんどが小児の疾患を予防し、或いは症状を軽減することで、子どもの命と健康のために大きく役立つワクチンとされています。
 同時にそれは、小児科の受診機会を大きく減らし、救急・夜間の医療体制の安定にも貢献することになります。
 市当局は本年6月議会の党市議団の質問に対して、市として費用を補助する考えは無い」と答弁しています。
 大変残念な市政であります。
 しかし、市として費用を負担してこれらの予防接種を推進しないとする現段階でも、医師会が主張する効果などを積極的に知らせ、保護者が予防接種の意義を理解し実施が進むようにすべきと考えます。
 特に、子ども手当支給の機会には、実施の仕方、申込み方などの案内も含めて、情報提供に努めてはいかがでしょうか。これも日本医師会のスローガンでありますけども、考えを伺います。

荘内病院事務部長 
 小児医療に関する適切な受診のあり方などに関してでございますが、まず、荘内病院の小児医療と小児救急の実態についてご説明いたします。当院の小児科は、出生直後の新生児から主に15歳までを対象に、救急を含む急性期の疾患から慢性期の疾患まで幅広い分野で診療を行っております。
 平成21年度の実績では、入院患者数は約8300人、外来患者数は約21700人となっております。また、当院は庄内地域の周産期医療を担う基幹病院として、本年4月に山形県地域周産期母子医療センターの認定を受け、NICU3床、GCU4床と4階西入院棟33床の計40床を有する周産期母子医療センターを開設したところです。NICUには、24時間体制で小児科の医師が勤務しており、看護師も16名専任で配置し昼夜を問わず新生児の診療にあたっておりまして、この6月には診療報酬上の新生児特定治療管理料の施設基準を満たし、周産期医療の充実を図ったところでございます。
 当院には現在、常勤の小児科医が8名と小児外科医1名が在籍しており、周産期医療と小児医療を担うと同時に、小児救急への対応も行っております。当院の小児救急の体制ですが、救急センターに365日、午後5時から9時までの間、小児科医が常駐して対応しております。昨年度の救急患者の小児科受診件数は6,610件に及んでおり、当院の救急患者全体の約4分の1を占めております。
 議員お話がありましたけども、小児科の医師は、小児科外来の診療をはじめ、入院患者・救急患者の対応やNICUでの勤務とあわせ、大変過重な勤務状態となっております。
 こうした過重な勤務状況は、全国の病院でも問題になっており、地方の病院では小児科医がいなく一なり、その地域の小児医療が危機的な状況に陥っている所もございます。当院では、小児科の医師に関しては幸い関連大学のご協力をいただき、これまで医師の増員が図られて参りましたが、今後もなお増員に努力してまいりたいと存じます。また、今議会に提案されております休日夜間診療所の平日夜間の診療が実現すれば、当院の小児科医の負担もいくらか軽減されるものと期待しているところでございます。
 ご質問の適切な小児の受診知織を市民に広げることにつきましては、山形県が小児救急電話相談事業を昨年9月から実施しておりますし、また、庄内保健所では、山形県小児救急医療啓発事業を平成19年度から実施しております。
 この事業は、乳幼児の保護者等に対して、小児の救急時の対応方法等について講習会を開催するとともに、ガイドブックを作成し小児の救急時に家族ができる応急処置などの普及啓発を図るものでありまして、昨年度は鶴岡地区医師会の協力のもと、市では8つの保育園で開催され、鶴岡地区医師会の協力のもと、講師として荘内病院の小児科医師が協力しております。
 また、広く市民一般を対象とした啓発活動としては、休日夜間診療所における平日夜間の診療開始を見据え、夜間診療所の利用や受診のあり方などについて市広報10月15日号で周知を図るとともに、12月1日号では、救急診療の現状や症状に応じた救急の受診先などに関する特集を計画しております。
 いずれにいたしましても、荘内病院の救急医療の現状を市民に知っていただくことや、子供の急な発熱、急な病気への対応に関する正しい知職を市民に理解していただくことは、子供を病気から守るために大変重要な取組みであると考えておりますので、今後とも、山形県、鶴岡市、庄内.保健所、鶴岡地区医師会などと連携し、その昔及・啓発などを図ってまいりたいと存じます。

健康福祉部長

 休日夜間診療所への誘導策、それから予防接種、看護師養成の奨学金制度について。
 まず休日夜間診療所への誘導策でありますが、鶴岡市休日夜間診療所につきましては、昭和49年の開設以来、診療時間の拡大、午前中の小児科専門医の配置など、機能強化をおこなっておりまして、現在は日曜祝日及び年末年始の午前9時から正午、午後は1時30分から5時、夜間は午後6時から9時までの診療をおこなっております。
 平均利用人数は50人強となっておりますけども、年末年始それからゴールデンウィークなどは1日百人前後の利用者がありまして、休日の救急医療につきましては一定の役割を果たしているものと考えております。
 さらに、本議会に条例の一部改正などをおはかりしておりますが、この10月から月曜から土曜までの平日の午後7時から9時30分まで夜間診療を開始致しまして、開業医が診療していない時間帯の救急医療体制の充実を図って参りたいと考えておるところです。
 休日夜間診療所につきましては、応急医療を受け持つということで、重症のばあいは専門医、主に荘内病院と言うことになりますが、こちらへ紹介する体制をとっておりますし、また、診療について事前に電話でお問い合わせを頂く場合もたびたびありまして、そういった場合は、症状をお聞きしながら、休日夜間診療所か荘内病院か誘導もおこなっているところであります。
 この度の条例改正等によりまして、平日夜間の態勢がととのえば、時間外の受診に関してまずは軽症の場合はまずは休日夜間診療所へといった広報を地区医師会などの協力もいただきながら、広く市民の皆様へ周知を図りご理解を頂くとともに、休日夜間診療所と荘内病院が相互に連携をとりながら市民の皆さんが安心して受診できる体制をとっていきたいと考えております。
 なお、ご提案のありました#8000につきましては、現在でも県が作成したリーフレットなどを健診の際にお配りするとか、それから子育て支援のためのサービスを紹介しましたガイドブックなどに掲載しまして、#8000の利用を呼びかけているところでございますが、この度の平日夜間の広報活動の中で検討させて頂きたいと考えております。
 二点目の予防接種の推進について、ご承知の通り、予防接種には予防接種法に基づき市町村がおこなう定期予防接種と個人の希望で接種する任意の予防接種がありまして、定期の予防接種については全額公費負担で実施しており、各関係機関の連携の下、高い接種率を維持すべく事業を推進しております。
 おたずねの任意予防接種につきましては、おたふく風邪などに加えまして、インフルエンザ菌B型、いわゆるヒブワクチン、小児用肺炎球菌、子宮頸ガンなどのワクチンが相次いで承認され発売されておりまして、市民の予防接種に関する関心が高まっているところでございます。
 先の議会でもご説明しておりますが、これら法律に基づかない任意予防接種につきましては、接種費用助成の財政的な負担や、健康被害が発生した場合の補償のあり方など、種々の課題が伴っておることから、市として積極的接種勧奨及び費用助成などの実施には至っていない
 ご提案がありました啓発の取り組みにつきましては、初めて予防接種をおこなうすべてのお子さんの保護者に対して、予防接種に関する啓発雑誌、「予防接種と子どもの健康」を作成しこれを配布して詳しくご説明しておりますし、訪問指導や健康診査、健康相談の時の問い合わせに適宜情報提供するなど、保護者の方々が任意接種について正しく判断できるよう支援をおこなっている。
 ご紹介がありました今年9月12日から10月末までの期間ですが、日本医師会と予防接種推進専門協議会が任意予防接種の啓蒙キャンペーンを展開中でありまして、鶴岡地区医師会でもこれに取り組んでいることから、本市としましても、医師会が作成した啓蒙チラシを乳幼児健診の際や、保育園などに配布を致しまして、任意予防接種の啓蒙活動にご協力を申し上げると共に、地区医師会が開催する任意予防接種講演会を後援を致しまして協力体制を敷いている。
 予防接種のあり方に関しましては、現在国の厚生科学審議会予防接種部会におきまして、予防接種の対象疾病や費用負担などについて抜本改革論議が進められておりますが、その動向を注視しながら対応していきたいと考えておりますし、また、子宮頸ガンワクチン接種につきましては、市の重要事業と致しまして、県や国にご要望を申し上げているところであります。

 



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