関とおるの鶴岡・山形県政通信

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鶴南を中高一貫校にしてはならない

2017年08月03日 | 子育て・教育
 今年度中に検討されることになっている、庄内地区への中高一貫校の設置について、去る6月議会で取り上げました。

進学型の中高一貫校の問題点
 鶴岡市は、「進学を見据えた併設型の中高一貫校の設置」を県に求めています。
 中高一貫教育は、「6年間の計画的・継続的な指導により、生徒の個性や能力を十分に伸ばす。選択の幅を広げる」などを掲げて導入されましたが、地域によっては受験競争の低年齢化が発生、しかも、受験対策は高校受験以上に経済力など家庭環境が左右しています。
 遊びを含めた豊かな体験を通して、人間性や多様な能力を発達させるべき小学生期を受験で潰してしまう中学受験競争については、制度導入時に国会決議でも「受験競争の低年齢化」とならないことが求めています。
 競争主義を推進する規制改革会議は(規制改革会議でさえ)、「エリート進学校への併設等は、中高一貫校が受験エリート校化する蓋然性が大きく、(中高一貫校の)設置の趣旨に反する。・・高い進学実績を誇る地域のトップ校への併設等は行わないこととする」と提言しています。
 鶴岡市で言えば、鶴南を中高一貫校にすると中学受験競争になる、そのような形の中高一貫校は設置すべきでは無い、と警鐘が鳴らされているのです。
 更に、その場合の問題は中学受験競争だけではありません。
 リーダー的な役割を果たすことの多い学力の高い生徒が中高一貫中学に行ってしまうため、既存の中学校と大きな格差が生まれます。
 また、旧町村地区からの子育て世代の流出の動きも加速させ、地域の衰退に拍車をかけることが強く懸念されます。
 何より子ども自身が、中学で地域との結びつきを失うことになります。
 教育は本来、地域の歴史と文化を受け継いで、学校と住民が共同しておこなう個性豊かな営みでなければなりません。
 中等教育が地域から離れてしまうことは、教育の質の低下と言えるものです。

目的は先端研・バイオ産業支援
 加えて指摘しなければならない問題は、鶴岡市が進学型の中高一貫校の設置を求める理由です。
 H26年3月議会の新政クラブ佐藤聡議員(現県議)の一般質問に対して、教育長はこう答えています。
 「(先端研関係で)多くの研究者やその家族が鶴岡を訪れ、鶴岡で生活することになります。すぐれた人材の流入や定着、そして交流のためにも、教育環境が整備されることは大変必要なことと考えておりますし、その選択肢の一つとして中高一貫教育校の存在は大きな意味のあることと考えている」。
 先端研の研究者のために必要だというあからさまな答弁に、私は自分の耳を疑いました。
 更に、「グローバル人材にとって必要な生活環境の一つに、子弟への教育にもグローバルな教育を求めるのは当然のことというふうに思います。なかなか地方都市に行きますと、そういった教育の水準を懸念しまして、東京に残して単身赴任せざるを得ないとか、そういった実態が人材の中にもあるようですけれども、そういった懸念を払拭できるような形での学校教育といったものも企業の集積には必要なことだろうというふうに思います」という質問を受けて、
「言い方は少しおかしいかもしれませんけれども、中学校も全ての中学校が受験校なわけですね。進学校なわけです、考え方によってはですね。そういったことも含めて、どこに進学をするかということについて、現在の子供たちの小学校から中学校へ行く際の進学先、それから中学校から高校へ行く際の進学先の高校教育ですね、そういったところを、これから経年変化をたどって、影響がどのようにあるものかを・・庁内の検討委員会を早急に開催し、考えていきたい」などと、中学から受験競争が進むことを肯定すると読み取れる答弁をおこなっています。
 
教育は誰のために、何のために 小学生に与える弊害から国会決議でも戒められている進学型の中高一貫校を、先端研支援のために設置しようといる鶴岡市。
 教育は、子どものためにあるのではないか、行政は誰のためにおこなわれるのか、この問題でも厳しく問われています。


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