10月28日(火)夜、「緊急企画~アフガニスタン発~『農業復興の最前線から』国際NGOペシャワール会活動報告会」に行って見ました。
出羽庄内国際交流財団の主催によるもので、ペシャワール会に所属してアフガニスタン農業担当スタッフをしていたという進藤陽一郎さん(酒田市出身)のお話を聞くという内容でした。
言うまでもありませんがアフガニスタンは、2001年9月11日の「同時多発テロ」に対するアメリカの報復戦争の標的とされ、日本がその戦争の片棒を担いでいるという関係の国です。
今国政の焦点となっている新テロ対策特別措置法も、まさにこの戦争への協力の是非が問われているという点で、アフガニスタンを知ることは、日本の政治の行方を考えるために欠かせない問題となっています。
進藤さんからは、最初にNHKの「知るを楽しむ」で8回シリーズで放送された番組のダイジェストビデオ使ってペシャワール会の説明がありました。
その中で特に印象に残ったことは、
ペシャワール会は、会の代表である中村哲医師が、アフガニスタンへの医療支援をおこなう中で、「この人々の命を救うためには、水が必要」と井戸の建設を始め、さらに人々が暮らしていくことができるように農業技術の普及や灌漑事業にまで取り組んでいて、20年来の活動を通して現地の人々の厚い信頼を得ている。
会の事業は、
1.医療
2.井戸の掘削ー生活用1500本、灌漑用大口径12本。20万人(!)に供給。
3.農業計画
4.用水路建設・・最大の事業になっている。
の4つ。
現在、タリバン崩壊から7年経つ。タリバンは実行組織としては実態が無くなっているが、社会は荒廃に近い状態になっている。
アメリカ系のNGOや国際団体が落とす援助で経済が支えられているが、産業が全く育っていない。
完全の農業社会であったところに貨幣経済が急速に浸透してきたが、多くの人々には収入が無く、貧富の差が激化している。
「世界のケシの95%がアフガンで栽培される」と言われ、「ケシ撲滅運動」がおこなわれたが、効果は上がらなかった。「ケシでしか生活できない」という根本問題抜きには解決しない。
従来、テロは「反米」「反政府」だったが、この一年以上、無差別化している。
周辺国も合わせて300万人以上の難民があふれ、行き場の無くなったものが山賊化して犯罪を犯している。
伊藤和也さんを殺害したのもそういうグループ。そういう意味で、大きな流れの流れの中で生まれたひずみの現れであり、象徴的な事件。
(講師の進藤さんは、農業計画グループの一員として、伊藤さんを兄のように慕っていたとのこと。
あの事件がもたらした悲惨さ、関係者の悔しさが生々しく伝わってきました。)
進藤さんが見せてくれた写真から。
後ろに立っているのが故伊藤さん
困難ではあるが、いつか平和が達成されると信じている。
ただし、平和とは、戦争が無いだけでなく、人々が平和の暮らしを送れるということ。
ペシャワール会は、「現地の自立のための援助」をおこない、日本を代表して、「平和貢献」をおこなっていると、私は思っている。
皆さんには、「自分に何ができるか」考えて欲しい。
一つは、私たちに「できること」と「してはいけないことをしない」という視点を持つこと。
二つ目は、アフガンの人々に何が本当に大切なのか考える視点。
直接関わることは普通の人はできないが、「してはいけないことをしない」ことが大事。
今日聞いたことを「人に伝える」ことはいつでもできる。
世の中には色々な仕事があり、軽重は無い。
「どこで何をするか」ではなく、「何が大切か」を考えることが大事。すると、「日本」「アジア」を問わない普遍的なものがわかってくる。
「一隅を照らす」という人が大切。
最も大切なのは、「命 家族 食べ物」
進藤さんのお話の後、進行役の渡部直人さん(国際農業開発コンサルタント。元JICAパキスタン)から、若干のお話がありました。
アフガンの人々は、ほとんどの人がホスピタリティーにあふれ、寛容な人々。(女性の問題に関しては色々な問題がある)
日本は、「何をやらない方がいいか」考えて欲しい。「仲介役」こそが求められているし、できるはず。
etc.・・。
その後、参加者からの質疑や感想の時間があり、私も、
「報復戦争の開始は世界を暗くしたが、その後、明るい方向への歩みが始まった。鶴岡でも『九条の会』がつくられたし、命を大切にする社会への願いが広がっている。今日聞いたことをできるだけ市民に伝えていくことで、更に運動を広げていきたい」と感想を述べさせてもらいました。
本当にその国の人々を思って、人々と通じ合って働いている人が語るアフガンの現実は、政府・与党が叫ぶ「国際貢献」論がいかに空虚なものであるかを明らかにするものでした。
また、進藤さん達の思いを活かし、取り組みを応援することが、憲法九条の精神であり、私の鶴岡での取り組みもそこで通じ合うものかなと思われ、嬉しい気持ちがしました。
「連帯感」というヤツでしょうか。
参加者は少なかったですが、皆さん真剣でいい学習会でした。